モデルベース開発 導入事例日本ペイント株式会社様

モデルベース開発に基づくオブジェクト指向/UMLで、10年来メインフレームで構築されてきた基幹システムをオープン環境へと全面刷新。

10年来メインフレームで構築されてきた日本ペイントの基幹システムを、オープン環境へと全面刷新する。それが今回の開発プロジェクトのミッションだ。開発にあたり日本ペイントが選択したのは、リリース後の対応力に高いポテンシャルを持つオブジェクト指向開発、そしてドキュメント標準化のためのUML(統一モデリング言語)。そこで開発パートナーに選出されたのが、両分野を極め、モデルベース開発として統合し大きな実績をあげているオージス総研だった。
オージス総研は、反復型開発に徹底したUMLによる可視化を取り入れ、モデルベース開発を実施し開発を軌道に乗せた。その結果、第一期「物流」、第二期「受発注・在庫」、第三期「生産」の3期に分けた3ヶ年開発は無事リリースの時を迎え、2005年8月、基幹システムのオープン化が完了。メインフレームは撤廃された。日本ペイントの未来戦略の鍵を握る新しい基幹システムは、オージス総研の高い技術力と優れたプロジェクト運営管理力によってみごとに実現され、今、業界の覇者たる同社の大きな戦力として稼働している。


導入前の課題

システムの老朽化に対応する

長らく使ってきた汎用機の老朽化に伴い、バッチ処理に時間がかかる、ユーザインターフェースが限られるなど、さまざまな問題が顕在化。ハードウェアのリプレースが急務となっていた。また、アプリケーションシステムも10数年開発を重ねてきたことにより、これ以上の変更が難しく、ドキュメントとの整合性もすでにとれなくなっていた。


変化に柔軟に対応できるシステムを構築する

市場の変化を迅速にキャッチアップするには、情報提供速度を向上させる必要がある。しかし現行のメインフレームでは、変更に柔軟かつ短期間に対応できない。加えて、ベンダー依存に伴うロックオン現象によるコスト高も引き起こしていた。今後、グループ企業のシステム展開も視野に収めた場合、日本ペイント本体が自由度の高いシステムであることが大前提となるため、メインフレーム上からオープン環境への完全移行が望まれた。また、事業領域の拡大や収益体質の改善といった経営戦略推進に対し、情報システム部としてITによる直接的貢献が不可欠であった。

課題解決策

オブジェクト指向/UMLの実践的活用

長期使用に伴う柔軟性のあるプラットフォームの確立という観点から、モデルベース開発に基づくオブジェクト指向分析とオブジェクト指向言語を採用。併せて、オブジェクト指向分析/設計によるモデリングと社内標準開発ドキュメントの必要性から、世界レベルのデファクトスタンダードであるUMLを採用した。それに基づき、現行システムの業務フローを明確化したユースケース・シナリオをもとに、オージス総研はハイレベルなモデリング/クラス設計を実施。オブジェクト指向/UMLが業務システム開発にアプライするかという日本ペイントの心配をよそに、過去の豊富な実績に裏打ちされた高い経験値を用いて、情報システム像を「現状(AsIs)」から、「あるべき姿(ToBe)」へと結実させた。


反復型開発手法・RUPの採用

開発プロセスには、ユーザ側にとってプロジェクト最終まで仕上がりの見えにくいウォーターフォール開発ではなく、プロジェクト中途でシステムの全容がつかみやすいスパイラルプロセス・RUPを採用した。検証したアーキテクチャを決定し、システムの幹から細部へと詰めていくイテレーション開発により、日本ペイントとオージス総研間で、プロジェクトの最終イメージと各スパイラルの最終目的を明確に共有。各イテレーション完了後にシステムの動作確認をしたうえで、目標の達成度や達成できなかった理由を分析・評価し、次のスパイラルへフィードバックすることで開発を成功へと導いた。また、いくつかの仕様変更にも即座に対応できた点も大きい。


モデルベースの開発の推進


メインフレームとの機能分割をしながら3回の順次移行に成功した要因としては、モデルベース開発を推進したことが挙げられる。モデリングによりシステムの可視化と抽象化を行うことで、得られた成果物は単なるドキュメントとしてでなく、再利用可能なソフトウエアのモジュールの一部としてソフトウエア開発の生産性を高め、継続した開発の強力な武器となった。

問題解決策

Java(J2EE)を用いたWebシステム

システム開発の成否を左右するアーキテクチャにおいては、カスタマイズやバージョンアップといったリリース後の要件も考慮し、世界でも実績のあるJavaのフレームワークをオージス総研サイドで検証したうえで採用。システム的には、クライアントにWebブラウザを使う3階層システムとした。また、システムトラブルで出荷できない状況を避けるために、アプリケーションサーバ、データベースサーバ、帳票出力サーバのいずれも2重化を行い、システム停止しない仕組みを考案し導入している。


開発技術移管のためのペアプロ

日本ペイントからの開発技術移管のリクエストを受け、二人一組で実装するペアプロワークを実施。オブジェクト指向開発の経験がほとんどない日本ペイント側メンバーが、プログラミングの手順を体感できる機会を設けた。また、クラス設計のレビューミーティングもオープンにするなど、あらゆる工程で技術移管のための取り組みを行った。結果として、モデリングによって可視化されたシステム開発のすべてが日本ペイント側に残ることとなり、今後の自立したシステム進化を容易にした。

お客様からのコメント

プロの技術者としての高いパフォーマンスに満足。

日本ペイント株式会社
情報システム部 部長
神原 謙一
(部署名・肩書等は取材時-2006年5月当時のもの)
オブジェクト指向やUML、RUPのメリットについては、長期にわたって調査・検討してきました。しかし、そのメリットを最大限に享受するには、やはり実際にそれらを使いこなせるプロの技術者の実践的なノウハウが必要です。私たちがオージス総研に期待したのはそこでした。オージス総研には、クラス設計・実装も含めたオブジェクト指向技術のノウハウと実績があり、モデリングの開発においても極めて高い優位性があります。さらに、開発計画の策定やプロジェクト全体の運営管理が行える人材を提供してくれるという点も魅力でした。オブジェクト指向、UML、RUP、すべてが初挑戦となる私たちにとって、それは強力な味方です。ユーザとしてはベンダに、技術力だけでなく属人的なメンタル面も期待したいところ。日本ペイントが実現したいことをしっかり把握したうえで、技術的・工程的に可能な着地点を見出すには、高い技術ノウハウに加え、最適なシステムを志向する強い熱意が不可欠です。オージス総研の担当プロジェクトマネジャーは、その点においても高いパフォーマンスを発揮してくれました。成果物の導入についても、大きな混乱もなく、『静かなリリース』となりました。 金額?コストはパフォーマンスによって測られるもの。大いに満足していますよ。

リリース後の評価

モデルベース開発により高い柔軟性と開発期間短縮を実現

  • リリース後に発生したユーザカスタマイズの実現や不具合の修正といった追加開発において、高い柔軟性を発揮し、早期に対応できた。
  • 追加開発におけるリリースまでの期間については、従来数ヵ月かかることもあったが、新システムでは約1週間、長くても1ヵ月程度と、旧システム時のほぼ半分に短縮した。また、FA(Factory Automation)など他システムとの連携においても接続性が向上し、開発期間は1年から3ヵ月へと短縮された。
  • Webアプリケーションの採用により、制約条件のない使用環境を実現。社内のシステム利用者数は劇的に増加した。
  • 基本的なところでは、出荷情報の反映速度やプリントアウト速度など、システム使用面のパフォーマンス向上が確認できた。
  • 旧システムでは現場からの要望に対応できず、断わるケースが多かったが、新システム導入後は積極的に受け入れることができるようになり、情報システム部メンバーのモチベーション向上にも貢献した。
  • 日本ペイントで行われたシステム監査において、システム改ざん防止対応、メンテナンスの痕跡を残す仕組み、記録がチェックされていることなどから、高い評価を得られた。

プロジェクトマネージャから
プロジェクトを成功に導いたオブジェクト指向/UMLの選択
今回のプロジェクトでめざしたのは、「システム変更の容易性の実現」と「システム信頼度・柔軟性の向上」という2点に集約できます。
実際リリースを果たした現在、その目的はほぼ達成できたと実感していますが、日本ペイント様ではグループ全体におけるコスト削減をめざされているため、一概に今回の脱メインフレームに伴うオープン化による効果を数値として表すのは難しいでしょう。ただ、リリース以降、エンドユーザからのリクエストも迅速に実装してシステムへ反映できていることや、システム監査においても高い評価をいただいていることから、モデルベース開発およびオブジェクト指向/UMLを選択し、使いこなせたことが成功の秘訣であったと確信しています。また、プロジェクト全体の運営管理という点においても大いに貢献できました。
株式会社オージス総研
ソリューション開発本部
オブジェクトテクノロジー ソリューション第三部
第一チーム シニアプロジェクトマネジャー
吉田 隆光
(部署名・肩書等は取材時-2006年5月当時のもの)

これからに向けて

EAの概念に基づく全体価値の追求がテーマ

FAなど他システムのレガシー環境が、基幹システムのクラス設計にも微妙に影響している。今後は、それら周辺システムおよびグループ企業への展開も含め、全体の底上げをねらい、システムの本質を見極めるEA(エンタープライズ・アーキテクチャ)がテーマになってくるだろう。それによって、日本ペイントグループ全体での利益体質改善という目標を達成し、システムの本当の価値を創出していく。

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