PMマガジン
「担当者見積りとプロジェクト見積りの違い」

2013年01月号
  • 「担当者見積りとプロジェクト見積りの違い」
    OCP−プロジェクトマネジャー(L6) 佐藤 壽佳子 

新年明けましておめでとうございます。
毎日寒い日が続きます。皆さん、お元気でお過ごしでしょうか?
冬は風邪の季節、巷ではインフルエンザも流行っていますね。
実はこういった事もお見積りにも影響する可能性があるって知ってました?

今回はいわゆる担当者が開発に必要な工数を見積る場合とプロジェクト全体を見回したときに必要な見積りとの違いについて考えてみたいと思います。
論点がぶれるといけませんので、ここでの「見積り」は顧客に提示する金額の事ではなく、本当に費用として幾らかかるのか?という見積りに言及させていただきます。

いずれにしても必要なのが、まず成果物を定義すること。

通常は要件から想定されるプログラムコードの分割を行えば、
「生産性×必要成果物数」
で工数見積りが可能、と理屈は簡単。
生産性にも、自分がやったらこれぐらいでできる、もしくは巷や自社の「開発工程の生産性」というものを当てはめて、はい工数見積りの出来上がりです。

PM経験の少ない方に工数見積りを依頼すると、規模が大きくても小さくてもこの工数見積りに少々(多少?)のリスクをつけて上がってきます。これに要員をあてはめて、スケジュールもついでにはい、出来上がり!です。

まあちょっと乱暴でしたが、現状にルールや規程が存在し、追加仕様の制約となる現行システムが存在する場合は、この開発生産性かリスクに「過去実績」のエッセンスが加わっていればそれでも大きくぶれる事もなく見積もれるかもしれません。(もちろん、影響調査が正しく出来いる事が前提です。)

では、ここで言うプロジェクト見積りとは何か?

ルールや基準の策定が必要となる一定規模のある新規開発です。お客さまが毎回異なる様な部署の方はもちろん毎回かもしれません。お客さまが一定でも、新規業務のシステム化や現行システムの刷新などは当てはまります。これは、そう簡単に見積もれません。

まず見落としがちなのがプロジェクト内管理工数。これが恐ろしくかかります。規模が大きくなるにつれ要員も増え、生産単位は分割され、その管理単位毎にマネジメントが発生します。それでもここまでは計算範囲内ですが、本当に見落とされるのはコミュニケーション工数です。

担当者が集まってあーでもない、こーでもないと調整や検討している姿、大きな開発をしているプロジェクトの人はいつも何やら会議をしている印象がありませんか?
分割が進むと、何かを決めるにも進めるにもコミュニケーション工数がかかります。これが生産性に影響してきます。

次に品質管理工数。実際は品質維持工数というべきでしょうか。

担当者によるバラつきや担当範囲による偏りを是正する工数。
開発手法によって維持手法は色々ありますが、少なくともほっておくと出来る人はやりすぎ、そうでもない人はボロボロという結果に成りかねません。その為の仕掛けやルールを作り、実施、そして維持する工数がかかります。品質にはモチベーション管理も必要です。
そして、最初に出てきたインフルとの関係ですが、休む日数を見積りに乗せるのではありません。(笑)体制検討上の工数配慮です。

普通に考えると、工数÷期間=要員数になると思われますがそうではありませんよね。専門スキルの要否、教育、体制縮小時のオーバーヘッドなどを考慮して役割と要員配置を考えると単純には工数÷期間=要員数にはなりません。
さらに、開発期間が長い(もしくは終わりが見えない)場合は要員交代などのリスクなどにも考慮が必要で、要は「この人でなくてはならない」を減らすための工夫をする工数が必要になるということです。
その人がいないと進まない、になってしまわないように!

こういった内容は考慮してもリスクとしてざくっと計上されがちですが、本当はそうではなく出来るだけ仕掛けや運用イメージなどを考えて、明確に工数計上しておく。

つまり、スケジュールや体制に組み込んでおく事が重要です。
リスクが顕在化した時の一番の問題はお金よりも、いつ誰がどうやって対応するのか、です。リスクは体制にもスケジュールにも反映されないですからね。

「プロジェクト見積り−工数見積り=最小工数」にすることが安全で早くて、安い見積りにもつながります。
=PMの腕の見せ所であり,本当のPMお仕事ではないでしょうか?

*本PMマガジンの内容は執筆者個人の見解に基づいており、株式会社オージス総研の見解を示すものではありません。

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