PMマガジン

「お客様とのコミュニケーションで必要な物」

2014年01月号 コミュニケーション OCP-プロジェクトマネジャー(L5)   伊藤 泰子

 「オージスさんはいいですよね。関西弁で!」、お客様に言われた言葉の中で印象的だった言葉の一つです。逆に「関西弁はお笑いの言葉にしか聞こえない!」と言われた事もあります。無意識のうちに使っている関西弁一つとってもお客様(この場合は地域が大きかったような)によってとらえ方は様々です。

 ERPパッケージを導入するプロジェクトでの話です。お客様が、契約工数を大きくオーバーしてもどうしても開発したい機能がある!という主張をし続けられた時がありました。ERPパッケージを初めて導入するお客様で、パッケージ導入とはいえ、現在ある機能をなくしたくない!という強い思いがそのような主張につながったわけです。
 そこで、どうしたかと言いますと、代替案を出すのでちょっと時間が欲しい・・・という事にして時間稼ぎをしました。 その間に、

  1. お客様はERPパッケージが始めてで、特性をあまりご存じないので、ERPパッケージとはどういう特徴のものなのかを知っていただく。
  2. 他社ではどのようにその業務を処理しているかをご紹介する。
  3. 例えばEXCELなどを使って、今のやり方との橋渡しをする代替案を作成する。

という事をやりました。その結果ERPパッケージの特性を理解されたお客様はEXCEL案を受け入れ、大きな工数追加にはならずに済みました。

 お客様とのコミュニケーションで大切な事は、お客様とベンダーとの間で、直接会話には登らない前提となる認識が共通化できているかどうかだと思います。この場合は『ERPパッケージを使用してのシステムを導入』という事に不慣れなお客様に、『ERPパッケージ導入とはこういう事だ!』と理解いただくことです。
 前提認識の共通化については、お客様やお客様の業種の特徴を教えていただいて、こちらが歩みよる事も多くありますが、重要なのは、お客様と同じ土俵(共通認識)で落としどころを考えることです。
 特にPMがお客様と交渉する場合には、全体を俯瞰して、総合的な判断に基づいて話をする事が求められますので、表面的な問題だけでなく、どんな背景でこのお客様は問題と思われているのか?と一段高い視点から解決策を考えるように心がけています。
 お客様と共通認識を持つには、同じものを見ながら話をするのも有効です。今なら動くシステムにより短いサイクルで機能を確認するアジャイル開発も候補の一つです。
ちなみに時間稼ぎは、両刃の剣ですので、本当にやっても大丈夫か事前検証してください。時間切れになると悲惨です。

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