PMマガジン
「目標設定の難しさと重要性(プロジェクトと「OKライン」)」

2014年12月号
  • 「目標設定の難しさと重要性(プロジェクトと「OKライン」)」
    OCP−プロジェクトマネジャー(L5) 岸田 秀雄 

かねてより、何をするにも、高パフォーマンスを導き出すには、モチベーションの維持向上が重要だと感じていました。そのためには、自分にあった適切な目標設定が重要だと考えています。自分では決められない目標を設定する必要もあるかも知れませんが、その場合でも、それに向かった自分なりの目標を設定することが重要だと思っています。与えられた目標だけでは、適切な目標とは言えないでしょう。何をするにも、目標なしに活動していると達成感がなく、日々のモチベーションも全く上がりません。また、単に適当に目標を立てれば良い訳でなく、適切な目標を設定する事が必要です。身の丈に合わない無理に高望みをした目標設定では、途中で破綻してしまいます。一方、楽な低い目標設定では、達成できたとしても達成感が味わえない事になりますし、結果的に目標に達しない状況に陥るケースもあるかと思います。いわゆる慢心です。

そのような思いを持っている中、最近話題となっているメンタルトレーニングの1つの考え方である「OKライン」(メンタルトレーナー森川陽太郎(もりかわ ようたろう)さん考案)に共感を覚えました。私の認識として、「OKライン」とは、アスリートが不調や故障から好成績を上げられないでもがく負のサイクルから脱出するための1つの手法で、本来求められている目標や目指している目標からは、若干ゆるい、その時点での身の丈にあった目標を設定し、モチベーションを維持向上させるものだと思います。また、好調状態であっても、不調に陥らないためや無理をして怪我をしないための手法でもあると思います。そういった思いから、万事に於いて、目標設定が最も重要ではないかと再認識しました。スポーツは勿論の事、プロジェクトや人生に於いても目標設定は、大切にすべき事でしょう。

もう一つ、目標設定に焦点を当てるようになった理由は、昨年からフルマラソンを走るようになって、レース当日や練習の目標タイムの設定の難しさを感じ出したからです。通常、レースの目標タイムは、単純に過去のベスト成績より上を目指す事が普通だと思います。ただし、ある程度以上のレベルになると、その目標設定が適切なものかを分析して進めないと、現実的な目標とならず、結果的にモチベーションを低下させて最悪の結果を引き起こす事になってしまいます。目標設定するにあたって、私のようなアマチュアランナーでも次のような要素を考慮しています。
1)外部環境
季節(気温)、コース設定、当日の天候、スタートポジション
2)内部環境
現在の力量(年齢・技術・体力・体調)、練習内容

練習でも目標を立てる事になりますが、練習をしても伸びない、練習を目標通りできないような状況になるとモチベーションが上がらず、負のサイクルに陥ったり、変な無理をして怪我をしたりします。先日のマラソンでも、目標のペースに持っていけない状況でしたが、「OKライン」を設定している事で、モチベーションを保つ事ができ、最低ラインの結果は残せました。

プロジェクトは、マラソンのような個人競技ではなく団体競技ではありますが、下記のような要素を考慮して目標設定してきました。みなさんも同様だと思いますが、そこで重要になってくるのは、プロジェクト全体としての目標設定だけではなく、個々のメンバーの自分なりの目標設定がモチベーションの維持向上に重要な点です。私としては、発揮能力は、モチベーションによって本来の能力の少なくとも5〜10%のプラス・マイナスになる事は、十分あり得ると思っています。
1)外部環境
制度、顧客の状況
2)内部環境
メンバー構成(性格・能力・人数・体調)、教育内容

個々のメンバーが最大のパフォーマンスを発揮できている状況と、モチベーションが低下してパフォーマンスが悪くなっている状況で、それぞれ1割のプラス・マイナスの差があるとした場合、50名のプロジェクトで、状況によっては2割10名分の力の差が出てくる事になります。プロジェクトが良くない方向に行き出した時に、10名のメンバーの補充を考えるより、その時点での個々の配置、役割を見直し、「OKライン」を再定義する方が、個々のメンバーのモチベーションの維持向上となり、発揮能力を向上させ、効果的ではないでしょうか。更に、プロジェクトでのチーム力を考えると、それ以上の効果があると考えられます。プロジェクトでの変調や、負のサイクルに入りだしたと感じた場合は、思い切った目標の転換や立直しが重要であり、そうでないと、変に無理をして状況をこじらせたり、一部や全体のモチベーションが下がりきって、立直しが効かないようになってしまいます。

個人的な見解ですが、個々のプロジェクトにも専属のメンタルトレーナーが付く日が来るのではないかと思っています。

*本PMマガジンの内容は執筆者個人の見解に基づいており、株式会社オージス総研の見解を示すものではありません。

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