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人月の神話 狼人間を撃つ銀の弾はない
ISBN: 4795296758
出版社:
アジソン・ウェスレイ・パブリッシャ−ズ・ (星雲社
発売)
著者:
フレデリック・フィリップス・ブルックス
滝沢徹
出版日: 1996/02
ページ: 321
著者は知る人ぞ知る往年の名機 IBM360システムおよびOS/360の開発リーダーであったブルックス氏です.彼が、開発過程で遭遇したさまざまな困難にどう立ち向かったのかをエンジニアの立場,マネージャの立場を踏まえて非常に率直に反省(reflection)している書です.
特に本書で初めて指摘されたいわゆるブルックスの法則:『遅延したプロジェクトへの要員追加は、さらなる遅れをもたらす』はあまりにも有名です.
このようなスタンスの本が1960年代にもう既に書かれており,その内容がほとんど古びていない,ということに驚嘆するとともに,ソフトウェアというものの進歩の遅さにあきれることでしょう.
マネージャだけでなく,コンピュータに携わる人はかならず一度は目を通しておくべきバイブルといえるでしょう.わたしの知り合いのSEはお正月に必ず本書を読み返すそうです.
オブジェクトの世界ではまだこれほど含蓄のある本は残念ながら出てきてませんね.
なお,よく米国系のソフトウェア工学屋さんがありもしない夢のツールや方法論のことをSilver bullet(銀の弾)というジャーゴンで呼ぶのを聞くかと思うが,本書がその出典です.
あたしゃ子供の頃よく銀玉鉄砲で戦争ごっこやってたけど,ありゃ夢だったのか
(夏草や,マイクロソフトが夢のあと)
本書のタイトルとなった『人月の神話』とは,人月という数値が一人歩きしてあたかもその分母である「人数を増やしさえすれば工期を減らせる」という,とんでもない勘違いを皮肉ったものである.
さらにパンチの効いた格言がいくつも本書から生まれた.
それにしても狼人間って狼男のことですよね?
なお本書は長らく絶版になっていたものの新訳です.
(月夜の狼男は2度遠吠えする)
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