ObjectSquare [2004 年 4 月号]

[書籍紹介]


オブジェクトの広場編集員が贈るオススメ書籍
- 今、この本がアツい!-

◆◇ その他書籍編 ◇◆


パタン・ランゲージ ― 環境設計の手引

著者クリストファー・アレグザンダー
翻訳平田 翰那
発行鹿島出版会
ISBN4306041719

ソフトウェアにおけるパターン運動のモトネタとなった本の一冊。
「地域国家」というスケールの大きいパターンから、自分をかたる小物」まで、都市、建築、個人の生活に関係する様々なパターンが編みこまれています。ここでのパターンランゲージは、活気あるコミュニティを作りだすとともに個人の人生に意味と質をあたえることを目的としていると思います。素敵ですね。この感覚を、プロセスパターン、EPISODES や XP は引き継いでる気がちょっとします。

★★★★★本当の意味でパターンの源流本
こんな人ですコンサルという名の何でも屋 (YK)

コードコンプリート ― 完全なプログラミングを目指して

著者スティーブ・マコネル
翻訳石川 勝
発行アスキー
ISBN4756102107

プログラミングをする際に気をつけるべき作法について書かれた本です。この本ではオブジェクト指向等の話題ではなく、完全なコーディングを行う方法についての指針が詳細に述べられています。

たとえば、ルーチンを作成するときの考慮点、独自データ型や制御構造を使用するときの注意点や作法、読みやすいコードレイアウト、効果的なコメントの付け方、コードのチューニングテクニック、リビューの役割と種類、単体テストを行う観点、ソフトウェア開発者としての心得等々、のアドバイスが満載です。

上記のような内容が、例や考慮点を列挙して非常に詳細なレベルまで説明されているのでとても読み易く、すぐに利用できる内容になっています。コードを書く者としては是非一読しておきたい本の一つです。

★★★★★プログラミングのお作法を網羅
こんな人です入社 3 年目に突入ビジネス系システムの Java エンジニア(みつる)

図解でわかる Linux のすべて ― コマンド操作 & パッケージ管理

著者西村 めぐみ
発行日本実業出版社
ISBN4534030967

今まで UNIX 系の OS にあまり ( というよりほとんど ) 触れる機会が無かったのですが、憶えておいて損は無いだろうと自宅の五世代ぐらい前のノート PC に Turbolinux を入れて遊んでいます。 Windows の GUI 環境にどっぷり使っていた人には「入門レベルの書籍やドキュメントはいっぱいあるのでとりあえずインストールして最低限の設定はしたけど、それからどうすればいいの?」という方も多いのではないかと思います。

完全な初心者からもう少し踏み込んだ初級レベルへのステップアップを図るのにお勧めの一冊です。

★★★★★わかりやすい図解と一歩踏み込んだ内容のバランス
こんな人ですよく考えてみたらもう 3 年目の Java エンジニア ( 瀬戸 )

発想する会社! ― 世界最高のデザイン・ファーム IDEO に学ぶイノベーションの技法

著者トム・ケリー , ジョナサン・リットマン
翻訳 鈴木 主税 , 秀岡 尚子
発行早川書房
ISBN415208426

「クールな発想 ( イノベーション ) は、ホットなチームから生み出される」
本書は、IDEO( アイデイオ ) 社が生み出すイノベーションの秘密について、同社の創始者であるデイヴィッド・ケリーの弟であり、同社のゼネラルマネージャーである、トム・ケリーによって著された書籍です。IDEO 社は、Lisa や Macintosh のマウスのデザインを初めとして、パーム V など、数々の個性的で、斬新なデザインや製品を、世に知らしめてきました。その源泉というべき「イノベーションの技法」について、同社の洗練されたマインドセットとツールを紹介しています。具体的には、IDEO の方法論を理解、観察、視覚化、評価と改良、実現の5つのステップに分け、ブレインストーミングの技法や、ホット・チームの作り方、仕事について同社のコンセプト、ブレイクスルーを生み出す思考法について、様々な事例をまじえながらわかりやすく解説されています。本書を読み進めていくうちに、IDEO 社の持つ文化に魅了され、その深い洞察に共感を覚えることでしょう。
また、本自体のデザインも洗練されており、写真も豊富で眺めるだけでも愉しい書籍です。

★★★★★遊び心満載で内容も Cool
こんな人です自分のキャリアを振り返るとアイデンティティが判らなくなってきた、 6 年目 ( たぶん ) のエンジニア (trompette)

図で考える人の図解表現の技術 ― 思考力と発想力を鍛える 20 講

著者久恒 啓一
発行日本経済新聞社
ISBN4532402603

人に物を尋ねたり聞いたりするとき、言葉ではあまり通じないことでも、図に表して伝えることで、思いのほか上手く通じることがあります。
雑多な状態にある物事を、ミスプリントの裏紙を使って、図に書いていくと、より整理立てられたものにできることも少なくないです。

この本は、「よくわからないもの」を「よりわかりやすくする」ための手段として、図解の技法を紹介しています。この手の本は、理論中心のものが多いですが、この本には具体的事例を織り交ぜて、詳しい説明がなされており、スラスラと読むことができます。

★★★★★理論だけでなく、実践方法についても触れられている点が良い
こんな人です工期 <<<<<<< 工数 に苦しんでいる 2 年目社員

図説・宇宙科学発展史 ― アリストテレスからホーキングまで

著者本田 成親
発行工学図書
ISBN4769204566

宇宙はどのようにして始まったのか。宇宙はどのように終わるのか。宇宙が始まる前には何があったのか。初期宇宙はどのような状態だったのか。光速ではなぜ時間の進み方は変るわのか。重力とは何か。などの疑問に答える本です。古人が宇宙をどのように考えていたのかということから始まり、現在ではどのように考えられているかという流れになっているので、宇宙理論の発展の歴史を感じながら宇宙の謎に触れることができます。

基本的に1ページ毎にテーマが定まっており、それに対する説明が載っています。説明も宇宙理論や物理や数学を全く知らなくても理解できるように、数式ではなく極力図や文章で書かれているのでとても読み易くなっています。

内容は、普段の生活では全く縁のない『宇宙の謎を解明するための有力な理論』や、光速で動くと年をとらないなどの『聞いたことはあるけど理由はわからない』系の現象の説明が図を交えて適度な詳しさで説明されているので、今まで抱いてきた宇宙や時間や空間に対する知的好奇心を心地良く満足させることができます。

コーヒーブレイクにこのような本を読んでみるのもいかがでしょう?

★★★★★全く知らない人が「なぜ?」と思うことを適度な深さの解説
こんな人です時間よ止まれと思うことがある Java エンジニア

プラネテス 1-4

著者幸村 誠
発行講談社
ISBN4063287351,4063287785,4063288633 4063289370

なんというか、オブジェクト指向とも、ソフトウェアとも関係ありません。
今より 70-80 年後、軌道上でデブリ ( ゴミ ) 拾いの仕事をしている、宇宙飛行士のハチマキを主人公にした SF マンガです。
笑える話、泣ける話、冒険物、とにかくバリエーションに富んだイイ話が詰まってます。

ロボットもワープも出てこない。人類の危機は ( あんまり ) でてこない。あっと驚く、でっかいガジェット ( 仕掛け ) があるわけでもない。あくまで人間ドラマ中心。それでもなぜか SF ならでは「センスオブワンダー」を感じさせる作品です。

いや、ソフトウェア技術者だってそういう気持ちが大事って話ですよ。

★★★★★めったにないハード SF+ 人間ドラマ漫画
こんな人ですコンサルという名の何でも屋 (YK)

© 2004 OGIS-RI Co., Ltd.
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