ObjectSquare [2005 年 10 月号]

[技術書籍紹介]


ソフトウェアパターン入門の表紙

ソフトウェアパターン入門
〜基礎から応用へ〜


羽生田栄一 監修
パターンワーキンググループ 著
井上健/沖田直幸/金澤典子/瀬戸川教彦/佃軍治/
細谷竜一/森下民平/山野裕司/鷲崎弘宜
ソフト・リサーチ・センター 2,940 円 (税抜き 2,800円)
ISBN4-88373-215-9

対象読者 対象読者
内容紹介 内容紹介
目次 目次
パターンワーキンググループについて パターンワーキンググループについて

対象読者

本書は以下のような幅広い方々を対象読者として考えています。

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内容紹介

パターンという言葉を聞いて、多くのソフトウェアエンジニアが最初に思いうかべるのは、GoFのデザインパターンでしょう。Erich Gammaらによる「デザインパターン」が1995年に出版されてから、ソフトウェア開発者のコミュニティの中でパターンは大きなムーブメントとなりました。そして、世界中のソフトウェア開発者たちがアーキテクチャパターンやイディオム(スタイル)のようなテクニカルなパターンに夢中になりました。 しかしながら、ソフトウェアパターンは、テクニカルなパターンに限定されているわけではありません。分析のためのパターンや、組織作りやプロジェクト管理のパターン、テストパターン、セキュリティやリエンジニアリングのためのパターンなど、ソフトウェアにかかわるさまざまな領域の先人の知恵がパターンとしてまとめられ、使い続けられています。 本書は、このようなソフトウェアパターンの広がりを紹介し、私たちのソフトウェアパターン活動にかかわる経験や想いをまとめたものです。

ソフトウェアパターンをまったく知らない方

第一部 概説」から読み始めるとよいでしょう。ここでは、パターンとはどのようなもので、パターンを使うことによってどのような効果が得られるのかについて説明しています。また、パターンの歴史や広がり、パターンコミュニティの活動についてもふれています。ここからはじめて、第二部、第三部と読みすすめれば、ソフトウェアパターンの広がりや有効性、導入方法などについて理解することができるでしょう。

ソフトウェアパターンの広がりに興味のある方

第二部 いろいろなパターン」を読むとよいでしょう。ここでは、POSAアーキテクチャパターンやGoFのデザインパターンのような有名なパターンから、PofEAAパターン、J2EEパターン、リファクタリング、スタイル(イディオム)のようなテクニカルパターンが紹介されています。また、組織作りやプロジェクト管理のための組織のパターンや、ビジネスモデリングに使うことのできるHayのデータモデルパターン、Fowlerのアナリシスパターン、Eriksson-Penkerのビジネスモデルパターンや、ストリームラインオブジェクトモデリングのパターンなどのようなちょっと毛色の変わったパターンも紹介されています。ここで紹介されているパターンに興味を持った方は、ぜひオリジナルのパターンカタログを読み、味わってみてください。

GoFのデザインパターンをうまく使いこなしたいと考えている方

第六章 デザインパターン:設計の原則とフレームワークの視点から」を読んでみてください。ここでは、GoFのデザインパターンの背後にある設計の原則を紹介しています。デザインパターンは特定の問題に関する設計のノウハウであるため、その背後にある一般的な設計原則は自明なものとして扱われ、パターンカタログの中では、きちんと説明されていません。そのため、ソフトウェアの設計原則を知らない若いソフトウェア開発者にとっては、GoFのデザインパターンを正しく理解することは非常に困難です。デザインパターンとその背後にある設計原則の関係を知ることにより、デザインパターンを効果的に使うことができるようになるでしょう。

ツールを使ったGoFのデザインパターンの適用に興味のある方

第七章 デザインパターン適用支援ツール」を読むとよいでしょう。ここでは、ツールを使ったデザインパターンの適用の可能性について説明しています。デザインパターンの適用は、白か黒かといった単純な判断ではなく、文脈に大きく依存する非常に知的な作業です。第七章を読むことにより、ツールによってどれだけ作業が軽減できるか、そしてツールの限界などについて知ることができます。

ソフトウェアパターンを組織に導入してみたいと考えている方

第四部 パターンの導入」が参考になります。ここでは、ソフトウェアパターンを導入した体験談、組織でパターンを活用するメリット、陥りがちな誤解についてふれています。また、ソフトウェア開発プロセスのフレーム、SLCP-JCF98とパターンの関係についての説明、パターン運用プロセスのフレーム、パターンエンジンの提案もおこなっています。パターンの重要な価値のひとつは知識の共有です。自分がパターンをある程度使いこなせるようになったら、組織でパターンを使うことを検討してみるとよいでしょう。

本書が、ソフトウェアパターンを使ってさまざまな問題を解決し、楽しく仕事をする手助けとなれば幸いです。

Enjoy Patterns!

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目次

第一部 概説

第1章 パターンとは

1.1 「パターン」とは
1.2 パターン技術はなぜ必要か
1.3 デザインパターンを例にしたパターン解説
1.4 ソフトウェアパターンの歴史
1.5 ソフトウェアパターンの広がり
1.6 パターンランゲージとは
1.7 パターンに関する活動
1.8 パターンの今後
1.9 まとめ

第二部 いろいろなパターン

第2章 ソフトウェア設計のためのパターン

2.1 ソフトウェア設計のためのパターンの種類
2.2 アーキテクチャパターン
2.3 デザインパターン
2.4 イディオム
2.5 ソリューションドメイン指向のパターン
2.6 まとめ

第3章 スタイルのためのパターン

3.1 はじめに
3.2 スタイルパターンの例
3.3 スタイルパターンの活用法
3.4 まとめ

第4章 組織のためのパターン

4.1 アジャイルなソフトウェア開発の組織パターン
4.2 新しいアイディアを組織に導入するためのパターン
4.3 まとめ

第5章 ビジネスモデリングのためのパターン

5.1 Hayのデータモデルパターン
5.2 Fowlerのアナリシスパターン
5.3 Eriksson-Penkerのビジネスモデリングパターン
5.4 ストリームラインオブジェクトモデリングのパターン
5.5 ビジネスモデリングのためのパターンをプロジェクトに導入する
5.6 まとめ

第三部 デザインパターン再考

第6章 デザインパターン:設計の原則とフレームワークの視点から

6.1 設計の原則とデザインパターン
6.2 デザインパターンとフレームワーク
6.3 この章のまとめ

第7章 デザインパターン適用支援ツール

7.1 デザインパターンの適用手順
7.2 デザインパターンの展開作業のUML表現
7.3 ツールによるデザインパターン展開
7.4 ツールによるデザインパターン検出
7.5 ツールの比較と有効性に関する議論
7.6 まとめ

第四部 パターンの導入

第8章 ナレッジマネジメントとパターン

8.1 パターンを探してみよう
8.2 パターンを味わってみよう
8.3 パターンをさらに味わってみよう
8.4 パターンを書いてみよう
8.5 パターンを組み合わせてみよう
8.6 まとめ

第9章 ソフトウェア開発へのパターンの導入

9.1 「きっかけ」としてのパターン
9.2 パターンの姿勢
9.3 パターンを導入する9つの理由
9.4 パターンに対する9つの誤解
9.5 パターンの7つの落とし穴
9.6 まとめ

第10章 組織のためのパターン活動プロセス構築ガイド

10.1 ソフトウェア開発のフレームとパターン
10.2 パターンエンジン
10.3 パターン文化の醸成
10.4 まとめ

付録

付録A GoFデザインパターン ―フレームワーク構成原理と拡張性
付録B SLCP-JCF98のプロセスとパターンの関連

コラム

拡張性とソフトウェア開発手法について
欲求−願望−要求モデルとパターン

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パターンワーキンググループについて

パターンワーキンググループは、日本におけるソフトウェアパターンの普及、知識の蓄積、共有、研究のために、2003年に設立されました。本書は、パターンワーキンググループの有志が執筆しました。

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ソフトウェアパターン入門〜基礎から応用へ〜 読者プレゼント

ソフト・リサーチ・センター様のご好意により、『 ソフトウェアパターン入門〜基礎から応用へ〜 』 を抽選で 3名 の方にプレゼントいたします。
ご希望の方は、以下の内容を明記の上、メールの Subject に「ソフトウェアパターン入門〜基礎から応用へ〜プレゼント係」と書いて OOSQUARE-EDITOR@ogis-ri.co.jp 宛にお送りください。

  1. お名前
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  6. 「オブジェクトの広場」で読んでみたい記事

締め切りは、2005 年 10 月 31 日まで。当選者の発表はご本人宛にメールにてお知らせいたします。

 ご応募で頂いた個人情報につきましては、本件「ソフトウェアパターン入門〜基礎から応用へ〜」プレゼントのご連絡のみに使用いたします。
 お客様の個人情報は、当社の個人情報保護方針に基づき、適切にお取り 扱いいたします。また、ご本人の承諾なしに、第三者機関へ提供することはありません。

プレゼントの応募は締め切らせていただきました。
たくさんのご応募ありがとうございました。
抽選の結果、当選された方には 11/18 までに案内メールをお送りいたします。
(2005/11/01)

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