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レポート

Agile 2016参加レポート

Enterprise Agileに関する講演の概要
株式会社オージス総研 技術部アジャイル開発センター
藤井拓
2016年10月27日

7/25-28に米国AtlantaのHyatt Regency Atlantaで開催されたAgile 2016に参加しました。本記事では筆者が主に聴講したEnterprise Agileトラックの講演を中心に、講演内容の概要をお伝えします。

目次

各講演タイトルの前の[]内に、その講演のトラック(分類)を記載しています

はじめに

今年のAgile 2016は、技術系のセッションがAgile Alliance Technical Conferenceとして分かれて開催したにも関わらず、Agile Conferenceの参加者数は2500名と過去最多でした。中でも、(筆者が会話した範囲では)アジャイルコーチの参加が多い様でした。プログラムはLeadershipトラック、Enterprise Agileトラック、Governmentトラックなど、企業のアジャイルへの転換や政府でのアジャイル開発の実践に関する内容が目立ちました。私が、主に聴講したのはEnterprise Agileトラックでしたが、そこではSAI(Scaled Agile, Inc.)社の関係の2件の講演以外にも、SAFe (Scaled Agile Framework) [1], [2]の安全な導入方法などSAFeの実践に役立つセッションが多く発表されていました。

基調講演前の会場の様子

このレポートでは私が聴講した講演の簡単な概要をご紹介します。本レポートで紹介した以外にもAgile2016では非常に多くの講演がありました。ご興味のある方は以下のプログラムから要旨をご覧ください。

7/25の講演

Keynote:Managing for Happiness

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基調講演(Keynote)

講演者

Jurgen Appelo氏

講演資料

概要

マネジメントが良くないと、その結果として得られる成果も良くないという因果関係を変えるために、組織(システム)のメンバーの幸せのためにマネジメントし、意味のあるプロダクトを提供するというマネジメントスタイルを提案する。このマネジメントを実践する上でのプラクティス等としては以下のものを提案している。

  • 意味あるように作る
  • マネジメントを革新する
  • 学びを加速する
  • 実験を行う
  • 楽しさを大切にする
  • 幸せを育む
  • 組織を管理する

さらに新たなマネジメントを実践するための以下のようなツールを紹介している。

  • 個人マップ
  • 委譲ボードと委譲カード

個人マップは組織のメンバーが自分自身をマインドマップで表現し、その結果として相互理解を深めるためのものである。委譲ボートと委譲カードは、組織の勤務時間帯、新たなメンバーの採用等組織で行う様々なことについて判断を上司に集中するのか、メンバーに委譲するのかを設定するためのものである。 講演の最後に、幸せになるための12ステップが紹介された。

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Intro to Agile Product Management

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プロジェクト、プログラム、ポートフォリオ管理(Project, Program and Portfolio Management)

講演者

Rich Mironov (CEO, Mironov Consulting)

講演資料

概要

講演者本人は、プロダクト管理者 (Product manager) の経験が長い。自らの経験に基づいて、プロダクト管理者とプロダクトオーナー (Product owner)の間の役割分担や連携のあり得る形を紹介した。

  • 基本的に、プロダクト管理者はビジネス寄りで顧客の声を聞きながら、優先順位の衝突をさばくという役割を担い、プロダクトオーナーは技術寄りで開発チームと密に連携するという役割分担。
  • また、プロジェクトの初期にプロダクト管理者がプロジェクト憲章 (charter) を作らないことで失敗することが多いと述べていた

筆者の所感:この講演のプロダクト管理者とプロダクトオーナーの役割分担は、SAFeやSAFeの解説書である「アジャイルソフトウェア要求」 [1] で推奨しているものとほぼ同じだと思います。このため、SAFeでのプロダクト管理者の役割設定は割と一般的であることが確認できました。

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Deploying a Data-Centric Approach to Enterprise Agility(ワークショップ)

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エンタープライズアジャイル(Enterprise Agile)

講演者

Jorgen Hesselberg (Director - Agile Enterprise Transformation, Intel)
Rajan Seriampalayam (Director, Software Engineering Best Practices, Intel)

講演資料

概要

講演者たちは、Intel社での社内の所属のアジャイル度を測定(アセスメント)している。講演時間の半分以上は、事例を配り、その事例をグループで以下のようにロールプレイし、分析することに割り当てた。

  • 顧客、経営陣、マーケティング担当者、開発チームの立場でのシナリオが配布され、それらの役割を演じる人を決めた
  • 以下のステップで議論した
    • 問題を理解する(10-15分)
    • 問題の影響を議論する(10分)
    • 解決策を示す(15分)

筆者の所感:このセッションのように、従来開発で顧客ニーズに即した開発が行えない状況のシナリオを用意して、そのシナリオに基づいて改善策を考えるというワークショップは有効だと思いました。

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An Executive Insider’s Guide to Enterprise Agile Transformation

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エンタープライズアジャイル(Enterprise Agile)

講演者

Scott Richardson

講演資料

概要

講演者は、6つの企業で企業のアジャイルへの転換を推進した経験を持つ。講演の冒頭で、(データの出典は示されていないが)85%の企業が企業アジャイル(enterprise agility)への転換の途上にあると述べている。

講演者は、自らの企業のアジャイルへの転換支援の経験を以下の6ステップにまとめている。

  • Charting the Course:文化を評価し、戦術を選ぶ
  • Making the Journey:転換の旅路で前に進む
  • Leading Change:積極的なリーダーシップで目的地に着く
  • Scaling New Heights:企業の共有サービスをアジャイルに向けて転換する
  • Becoming One:企業の戦略実行能力を作りだす
  • Lightning Round-Metrics:不適切なメトリックスでアジャイルを殺さない

“Making the Journey"では、DevOpsの支援の下でアジャイル開発の成功事例を作成する。さらに、"Leading Change"ではアジャイル開発を活かすようにマネジメントスタイルを転換する。次いで、"Scaling New Heights"では人事、PMOなどの組織の共有サービスをアジャイル開発に適合するように変える。また、"Becoming One"ではUXやサービスデザイン思考などとアジャイル開発と組み合わせて強力なプロダクトやサービスを作る。"Lightning Round-Metrics"は、生産性などの従来のメトリックスではなく、アジャイルの良さや習熟度を評価するメトリックスを使う。

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7/26の講演

Introduction to Assumptions Mapping(ワークショップ)

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ユーザーエクスペリエンス(User Experience)

講演者

David Bland

講演資料

概要

まずデザイン思考、リーン・スタートアップ、リーンUX、ビジネスモデルジェネレーションなどを紹介した。これらを行う際に仮説の設定 (Learn) を出発点にして仮説の正しさの測定方法 (Measure)を選択し、構築 (Build) することで仮説の妥当性を確認する。このサイクルを繰り返しながら、時間とともに不確定性を減らし、詳細を増やす形でプロダクトを発展させる。

仮説には以下の3種類がある。

  • 望ましいか (Desirable):これを顧客が求めているか?
  • 実現可能か (Feasible):これが実現可能か?
  • 有効か (Viable):(ビジネスの面で)これを行うべきか?

ワークショップでは、各グループが3つのテーマから1つのテーマを選び、そのテーマに付随する3種類の仮説を書き出した。次に、得られた仮説を横軸(不明⇔既知)、縦軸(重要⇔重要ではない)の4象限にマッピングした。このマッピング結果を用いて、「不明」で「重要」な仮説から優先的にLearn, Measure, Buildのサイクルで仮説の妥当性を確認する。

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Service Design in the Enterprise(ワークショップ)

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ユーザーエクスペリエンス(User Experience)

講演者

Jabe Bloom (Chief Flow Officer, praxisflow)
Will Evans

講演資料

  • 公開されていません

概要

最初にサービスデザインの解説があり、その中でワードレイマップ (Wardley map)、サービスデザインブループリントの説明があった。続いて、「紅茶を入れるロボットの導入」など3つの課題でワードレイマップ、サービスデザインブループリントを作成する演習を行った。

  • ワードレイマップで顧客に提供する新たな価値を考え、サービスデザインブループリントで顧客体験の順にその体験を提供するために必要なシステムを階層的に考える。

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Stop Using Agile with Waterfall Goals: Good Agility with OKR (Objectives and Key Results)

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エンタープライズアジャイル(Enterprise Agile)

講演者

Felipe Castro (Partner, OKR Coach, Lean Performance)

講演資料

概要

アジャイル宣言の問題点を取り上げるという、ちょっと挑戦的なトピックスから始まり、アジャイル開発を実行する際にありえる文化、戦略、戦術、実行の組み合わせを挙げた。

  • 従来のスタック
    • 文化:トップダウン、指示と制御
    • 戦略:固定的な年間計画
    • 戦術:妥当性確認されていない大きな賭け、長いフィードバックサイクル
    • 実行:ウォーターフォール開発
  • 生焼けのアジャイルスタック
    • 文化:トップダウン、指示と制御
    • 戦略:固定的な年間計画
    • 戦術:リーン・スタートアップ+、リーンなプロダクト管理
    • 実行:アジャイル開発
  • フルのアジャイルスタック
    • 文化:“シリコン文化”→講演資料に説明あり
    • 戦略:データ駆動、反復的、仮説の妥当性確認
    • 戦術:リーン・スタートアップ+、リーンなプロダクト管理
    • 実行:アジャイル開発

「従来のスタック」や「生焼けのアジャイルスタック」では、文化や戦略が従来のままであり、アジャイル開発の潜在力を活かせない。

上位のマネジメントは、トップダウン、指示と制御ではなく、シリコンバレーのように目的(Objectives)と中心的な成果(Key Results)で方向性を示すべきである。

IT型の開発組織のアジャイルへの転換を考える上で、開発する中身とプロセスを分離して中身中心やプロセス中心等の複数の転換パスがありえる。

筆者の所感:「目的(Objectives)と中心的な成果(Key Results)で方向性を示す」というのは、DtoD(Discover to Deliver)[3], [4]でいう目的や目標に似ていると感じました。

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Agile Capitalization

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エンタープライズアジャイル(Enterprise Agile)

講演者

Dan Greening (Enterprise Coach, LeadingAgile)

講演資料

概要

まず資産と費用の分類の財務的なメリットを説明し、米国の会計プラクティス(GAAP)において資産と費用をどのような観点で分類するかを説明した。さらにアジャイル開発の費用を資産と費用に分類するための以下のテクニックを紹介した。

  • 作業時間の記録:作業時間を記録し、その時間数が費用を仕分ける
  • ストーリーポイント:プロダクトバックログの項目の種類とポイント数で費用を仕分ける
  • 新機能の開発、回帰エラーではないバグの修正→資産
  • 技術的な実現性確認のためのスパイク、回帰エラーの修正→費用

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7/27の講演

Value mapping with fewer dollars and more sense(ワークショップ)

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顧客との協同作業(Working with Customers)

講演者

Natalie Warnert (Agile Transformation Coach, Salesforce.com)

講演資料

概要

まず、ポートフォリオレベルの優先順位、プログラムレベルの優先順位、チームレベルの優先順位の得失を説明し、その後投資効果 (ROI) と遅延のコストという従来のビジネス価値に対する考え方を説明した。

  • ROIと遅延のコストに基づいて、プログラムレベルのフィーチャーのビジネス価値の高低を分類する演習を行った

次に、顧客価値を狩野モデルでワクワク、一元的、当たり前などに分類することを説明。さらに、横軸を価値の高低とし、縦軸を狩野モデルの価値の分類として作業項目を2次元的にマッピングする。

  • 最初のビジネス価値の高低で並べたフィーチャーを狩野モデルの顧客価値の分類で縦方向に動かす演習を行った

ポートフォリオレベルがビジネス価値の観点なのに対してチームレベルは顧客価値の観点になり、それらのバランスを取るのがプログラムレベルになる。

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Building a Fast, Flexible Flow Using SAFe 4.0 Lean Agile Portfolio Management

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プロジェクト、プログラム、ポートフォリオ管理(Project, Program and Portfolio Management)

講演者

Jean Dahl (VP-Global Portfolio Delivery, LexisNexis)

講演資料

概要

講演者は、PMP (Project Managament Professional) としてポートフォリオ管理の支援を行ってきた。講演の中では、SAFe4.0の価値のストリームレベルのポートフォリオを部門レベルのポートフォリオと位置づけた。さらに、SAFeに基づいて以下のポートフォリオの6要素がどのように実践できるかを具体的例を交えて紹介した。

  • 戦略とビジョン
  • 要望管理とガバナンス
  • 優先順位づけとバックログ管理
  • リソースと容量の管理
  • メトリックスとレポーティング
  • プログラム管理

また、初期のバックログを作成するための10ステップを提示した(こちらは具体例無し)。

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How to make SAFe really SAFE - Scaling Agile using Pull/Invite rather than Push/Mandate

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エンタープライズアジャイル(Enterprise Agile)

講演者

Yuval Yeret (CTO, AgileSparks)

講演資料

概要

講演者は、複数の組織へのSAFeの導入支援の経験を持っている。導入する組織には、トマト(アジャイルへの反感を表に出す人)やスイカ(表向きは従いつつ、失敗するのを待つ人)などが混在している。その際に、強引に上から導入しよう (push) とすると導入は失敗する。

SAFeの導入では、安定したチームで構成されるプログラムレベルで開始することが肝心である。その際に、そのようなプログラムを発見することが大事になる。プログラムを見つけるためには、まず早く変化することが求められているような状況で事業の責任者に変化を売り込み(じょうご)、興味を抱いたリーダーに「SAFeリーダー研修」を受講してもらうというような段階的なマーケティング的な努力が必要になる。SAFe適用対象の組織の候補が見つかると、SAFeの概要を説明し、SAFeを適用するための課題等を洗い出すような“SAFe実装戦略ワークショップ (SAFe Implementation Strategy workshop)”を開催する。このような形でトップダウンではなく、プル思考 (pull thinking) を利用して候補プログラムを発見するのである。

つぎに、SAFeの候補プログラムのメンバー向けにワークショップを開催してどのようにSAFeを実践するかをで議論して決める。この際、自分たちの懸念を様々な分野に分かれて検討するためにオープンスペース (Open Space)というテクニックを使うことができる。(参考文献:”Open Space Agility”)

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7/28の講演

Agile Economics: Budgets, Contracts, Capitalization

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エンタープライズアジャイル(Enterprise Agile)

講演者

Pavel Dabrytski (Founder, Think Agile)

講演資料

概要

講演者は、もともとアジャイル開発を実践してきたが、その後財務の勉強をし、予算、契約、資産化という観点でアジャイル開発を公認会計士や弁護士に理解してもらうことに取り組んできた。これらの取り組みの結果を紹介した。

  • 予算:リーンな企業では、複数のプロジェクトを開始し、2週間、6か月という区切りで見込みのないプロジェクトを中止するようなアプローチが必要
  • 契約:
    • 上限設定契約:固定のスプリントの数で契約する
    • 反復契約:複数のスプリント単位で契約する
    • 固定利益契約:見込まれる利益について合意し、その固定の利益を前提とした契約をする(開発期間が延びても利益は増えない)→リスクを共有する
    • 目標価格契約:残期間について20%分の委託費用を支払って契約を途中でキャンセルできる
  • 資産化
    • プロダクトの開発のどの段階から資産化するかについては、積極的な考え方と保守的な考え方がある

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A Roadmap Towards An Agile Transformation(ワークショップ)

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エンタープライズアジャイル(Enterprise Agile)

講演者

Skip Angel (Chief Pathfinder, CA Technologies)
Andrew Sales

講演資料

概要

講演者たちは、いくつものアジャイルへの転換を支援してきた経験を持つ。それらの経験に基づいて、期待される成果や目標に基づいてアジャイルへの転換のロードマップを考えるためのカードデッキを開発した。

アジャイルへの転換のロードマップを考えるために、転換後に期待される「成果」として以下のようなものカードとして用意されている。

  • 生産性
  • 品質
  • 応答
  • 顧客満足
  • 従業員の関与
  • 予見性

さらに、これらの成果に対して期待される「目標」も複数のカードとして用意されている。これらの「成果」や「目標」のカードと付箋紙を使い、ロードマップを以下の手順で作成する。

  • 第1ステップ:求めるのはどの成果か?
    • 直面する最も大きな問題に基づいて、求める「成果」のカードを選ぶ
  • 第2ステップ:求めるのはどんな目標か?
    • 第1ステップで選んだ「成果」のカードに関係する「目標」のカードをレビューし、それを時間軸(左から右)に割り当てる(必要に応じて目標を追加する)
  • 第3ステップ:目標を達成するための活動をリストアップする
    • 「目標」のカードを達成するために考えられる「活動」を付箋紙で書き出し、それらを上から下に優先順位付けする
  • 第4ステップ:2つの波( wave )を識別する
    • 活動をリリース可能な塊にスライスし、それぞれの波にテーマを設定する
  • 振り返り

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A Complete Acceptance & Test-Driven Development Example(ワークショップ)

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開発プラクティスと技能(Development Practices & Craftmanship)

講演者

Don McGreal (VP, training, Improving)

講演資料

資料は公開されていません。サンプルアプリのコードが https://github.com/donmc で公開されています。

概要

フライトを追加すると、フリークエントフライヤープログラムの累積マイル数を計算するようなサンプルアプリを拡張する過程で、TDDやA-TDDをどのように使うのかを実演した。

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User Story Smells and Anti-patterns

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プロジェクト、プログラム、ポートフォリオ管理(Project, Program and Portfolio Management)

講演者

Fadi Stephan (Consultant, Excella)

講演資料

概要

講演者は、認定スクラムトレーナー(CST)である。以下のようなユーザーストーリーに関する悪い臭いとアンチパターンを紹介した。

悪い臭いとは以下のようなものである。

  • 会話するのを忘れる
  • すべてがユーザーストーリーでなければならない
  • ユーザーストーリーがすべてでなければならない
  • 受け入れ基準をスキップする
  • 完了基準がない
  • 大きすぎたり、リスクが大きなストーリーに取り掛かる
  • ストーリーを不適切に分割する
  • 開発準備の定義(Definition of Ready)がない
  • プロダクトバックログの手入れをスキップする

著者の所感:これらの大半は、DtoD(Discover to Deliver)[3], [4]を使えば回避できそうだと思いました。

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さいごに

SAI社のDean Leffingwell氏と筆者 写真はSAI社のブース前でDean Leffingwell氏と筆者(藤井)

今回、Agile 2016に参加して私が感じたのは、アジャイルに対する興味が開発から変化に対応し、競争に強いビジネスや組織を作るためのものへと変化してきているという点です。それをマネジメントのあるべき姿として述べたのがJurgen Appeloさんの"Managing for Happiness"の基調講演で、ビジネスや組織が共通に抱くべき原則として述べたのがJoshua Kerievskyさんの"Modern Agile"の基調講演だったのではないかと私は捉えています。これらの2つの基調講演で共通するキーワードとして以下のものが挙げられます。

  • プロダクトやサービスの意味や価値
  • 実験

これは、スクラムよりもさらに野中先生らが提唱された知識創造企業[5]に近いのではないかと思います。

ただ、多くの人にお叱りを受けるかもしれませんが、私には"Modern Agile"がリーン開発にすごく似ているような気がして、両者の違いは何だろうかと未だに悩んでいます。今後、リーンとアジャイルを統合した先が"Modern Agile"になるのか、別のものになるのかを見守っていきたいと思いました。

参考文献

[1] Dean Leffingwell, アジャイルソフトウェア要求―チーム、プログラム、企業のためのリーンな要求プラクティス, 翔泳社, 2014
[2] 藤井 拓, SAFe入門, http://www.ogis-ri.co.jp/pickup/agile/docs/safe_intro.pdf
[3] エレン・ゴッテスディーナー, メアリー・ゴーマン, 発見から納品へ: アジャイルなプロダクトの計画策定と分析, BookWay, 2014
[4] 藤井 拓, DtoDに基づくアジャイル要求入門, http://www.ogis-ri.co.jp/pickup/agile/docs/IntroARWithDtoD.pdf
[5] 野中郁次郎, 竹内弘高, 知識創造企業, 東洋経済新報社, 1996