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[オージス総研の本]


Visual Basicによる
ビジネスアプリケーション開発

原題:Business Objects
Rockford Lhotka 著 藤原淳一、羽生田栄一 監訳
翔泳社 6,300円 (税抜き 6,000円)

『監修者のことば』より
『目次』より
第1刷の正誤表(翔泳社のホームページ)
翻訳担当者の一言

正誤表(翔泳社さんのホームページ)が随時更新されています。


『監修者のことば』より

本書を手に取られた人の大半はまずあっと驚くのではないでしょうか。

VisualBasicでこんな本格的な3層クライアント/サーバーのシステムを、しかもオブジェクト指向で完全に実現するということに。しかも、本書はその手順を、理論的な基礎から説き起こしつつも、最終的には具体的なソースコードで実践的に例示してくれていることに。ですから本書は、読了後には誰でも現在のVisualBasicの凄さに感激し、自分でもやってみようという気にさせてくれるという、いい意味で行動に駆り立ててくれる実用の書です。

本書のテーマは単なるオブジェクト指向開発ではありません。システムやアプリケーションを再利用可能な部品として、プラグ&プレイで自由に好きなプラットホーム上で実行できる「コンポーネント」という、オブジェクトを進化させた概念にもとづく実装が目標です。そのためにMicrosoftのActiveX/COMの技術を縦横に利用します。

読者の一部には、「なぜOMG標準のCORBAではないのだ」と疑問に思われる方もおられるでしょう。確かにCORBAはすばらしい技術です(実際、我々の事業部でもCORBA製品としてメジャーなVisiBrokerを販売しています)。しかし、一方でPCプラットホームの雄MicrosoftがActiveXを分散コンポーネント技術として整備している動向を見ると、今後はCORBAとActiveX/COMがうまく棲み分けしつつ必要に応じてブリッジすることで分散システムが実現されるだろう、というのが我々の現実的な予想です。したがって、読者の皆さんには、ぜひCORBA、ActiveXこの両者をうまく使いこなす柔軟性をもっていただきたいと思います。

原題に"Business Objects"とあることからわかる通り、本書はビジネスオブジェクトの入門書でもあります。ビジネスオブジェトの定義にはいろいろありますが、本書では、ビジネスをモデル化した際に登場する基本概念であり、業務システム内で共通に実行し再利用できるコンポーネントのことをビジネスオブジェクトと呼ぶのです。このビジネスオブジェクトの協調動作として業務を的確にモデル化できるだけでなく、現実の業務をシミュレーションすることがまさに業務システムの実現ともなるわけです。新しいアプリケーションを作る際も、ゼロから作るのではなく、適切なビジネスオブジェクトをそのままブラックボックスとして部品利用し、それらの組み合わせと追加コンポーネントの実装で対応できるようになるのです。まさに新しいソフトウェア開発パラダイムの出現といえるでしょう。コンポーネントとビジネスオブジェクトはこの新しい技術革新を支える基礎となります。

それだけではありません。3層クライアント/サーバー(C/S)という最新のアーキテクチャを知っている人は多いでしょうが、それがなぜ今後の分散システムに有効なのか、そして具体的にどうデザインし特定のプラットホームやネットワーク環境の上にいかに構築するかを、自信を持って説明できる人は意外に少ないのではないでしょうか。本書では、3層C/Sアーキテクチャを、論理アーキテクチャと物理アーキテクチャという2つの観点から考察し、CSLA(Component-based Scalable Logical Architecture : コンポーネントベースのスケーラブルな論理アーキテクチャ)という標準的に使えるアイデアを提案しています。中でもプレゼンテーション層とデータサービス層に挟まれた中間のビジネス層を、UI中心型オブジェクトとデータ中心型オブジェクトの2タイプに分離して設計するアイデアは皆さんの参考になるのではないでしょうか。そしてこのアーキテクチャ設計さえきちんとできれば、言語がC++だろうがJavaだろうが、本書のようにVisualBasicだろうが、基本的に同じ発想で設計を進めていけることがおわかりいただけるでしょう。

そして、本テキストの圧巻は、かなり詳細なレンタルビデオ店問題のビジネスオブジェクトにもとづく分析、設計、そしてVisualBasicによる段階的な実装プロセスの具体的・実践的な提示にあります。ぜひじっくりとこの部分を味わってください。

とにかく、オブジェクトによるコンポーネント指向開発、ビジネスオブジェクトによるモデリング、UMLにもとづくユースケース駆動の最新オブジェクト指向開発方法論、3層C/Sによる分散システム、ActiveX(や本書では直接扱ってはいませんがCORBA)による分散オブジェクト実現技術などについて、知識としてではなく具体的に使える実践的な技能として体得したいエンジニアにとっては必読の書だといえるでしょう。

CORBAやActiveX、そしてUMLがデファクトスタンダードとして認知され、さらに今Objectoryというユースケースにもとづくオブジェクト指向方法論がUnified Processとして産業界に迎えられつつあります。この中で、オージス総研オブジェクト第一事業部では、本書にも記述されているような、ビジネスオブジェクトにもとづくモデリングとその分散コンポーネント技術による実装を、体系的な方法論を土台とした技術トレーニングやコンサルティングを通じて提供しています。またオブジェクト指向技術の普及促進と若手エンジニアの技術的底上げを行うために、一企業の枠を超えた試みとしてUML技術者認定制度をWeb上で無料で公開しています(http://www.ogis-ri.co.jp/otc/hiroba/UMTP.html)。さらにプロジェクトを確実に運営するためのさまざまなソフトウェア工学上のツールのプロフェッショナル・サービスを通して、顧客のさまざまなニーズにきめ細かくお応えし、新しいソフトウェアのあり方を追求する皆さんのお役に立ちたいと願っています。そうした活動を通して、日本のソフトウェア産業界に新しい風を起こすことが我々翻訳メンバーの願いでもあります。

なお、本書中のVisualBasicソースコードに関しては、VB5.0のみならず、VB6.0での動作確認も済ませてありますので、ぜひ皆さんは最新のVisualBasicの環境で、実際にソフトウェアを実行しながら本書を楽しんでくださることを強くお勧めします。

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『目次』より

第1章 ビジネスオブジェクトとは何か
第2章 ビジネスオブジェクトのアプリケーションアーキテクチャ
第3章 ビジネスオブジェクトの分析
第4章 ビジネスオブジェクトの設計
第5章 Visual Basicを使用したビジネスオブジェクトの実装
第6章 ビジネスオブジェクトの実装 第2部−親オブジェクトと子オブジェクト
第7章 Visual Basicフォームでユーザーインターフェイスを設計する
第8章 1層または2層データアクセスの実装
第9章 Microsoft Officeをインターフェイスとして使用する
第10章 データ中心型オブジェクトの使用
第11章 DCOMを使用したオブジェクトの分散配置
第12章 MTSでサーバコンポーネントを実行する
第13章 Active Server Pagesを使った新しいインターフェイスを追加する
付録A Visual Basicでオブジェクトとコンポーネントを作成する
付録B UML(統一モデリング言語)

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翻訳担当者の一言

その1

この仕事のために何回週末自宅で夜なべをしたことか...。実は翻訳の仕事は前から一度やってみたかったのですが、実際にやってみてこんなに大変だとは思いませんでした。

技術的にわからない部分を文献で調べて、VB5とVB6の両方のバージョンでコードの動作確認をして、原著者が気軽に書いたと思われる文章の文法解釈をして、判断できないところは担当者で集まって検討して、という大変地道な仕事でした。

この分厚い本を手に取られた方が、そんな翻訳時の苦労を少しでも推察していただければと思います。でも本当は、そんなことを全く感じさせないのが良い翻訳なんでしょうね...

その2

翻訳をしていると、「この言葉はこの解釈でいいんだろうか?」などということがよくあります。

例えば今回の翻訳では、原著で「persistent object」と「persistence objects」が混在していました。これは何か意味があるんだろうか、著者が間違えただけだろうか、と侃侃諤諤したあげく、「persistent object」はデータベースに実際に格納されるオブジェクト、「persistence objects」は別のオブジェクトをデータベースに格納したり検索したりするための処理を行うオブジェクト、のように使い分けられていることがわかり、それぞれ、「永続オブジェクト」「永続化オブジェクト」と訳しました。

このようにいろいろと読み込んでいくと、翻訳作業をしながら、自分自身とても勉強になりました。読んでいただいた方にもお役に立てばいいなと思っています。

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