ObjectSquare [1999 年 11 月号]

[ESC(Embedded Systems Conference)参加報告]


ESC(Embedded Systems Conference)参加報告

オブジェクト技術ソリューション事業部

渡辺 博之


カンファレンス概況

ESCとは、USにおける組込み・リアルタイム製品をターゲットとした、製品展示と技術セミナーが主体のカンファレンスです。毎年シリコンバレーの中心地であるサンノゼで開催されており、今年は、9/26〜9/30までの計5日間(展示会は3日間)にわたり開かれました。特に、今年は、開催以来ちょうど10周年に当たるらしく、あちこちで10 years anniversaryの文字を見かけました。

展示会では、リアルタイムOS・開発環境・CASEツールなどといったソフトウェア製品と、ボード・CPUなどのハードウェア製品などが主に展示され、出展数はトータルすると約350社に届くほどの非常に大規模なものでした。訪れる参加者の数も多く、かなりの活況でした。

技術セミナーは、毎日違ったものが約40クラスずつ開催されており、こちらもかなりの盛況ぶりでした(この数だけでも凄い)。内容については、後ほど触れますが、改めてこちらのEmbedded / Real Timeに関わるエンジニアの数の多さに驚かされました。

前述したように、ソフトもハードもいろいろなものが数多く展示されているのですが、ここでは、主に組込み向けの開発環境、その中でも特に目を引いたリアルタイムOSとCASEツールに絞って紹介します。


リアルタイムOS

先ず、リアルタイムOSですが、開発ターゲットの規模拡大に合わせられる、柔軟なスケーラビリティを特徴に謳ったものが多く見られました。また、従来までの必要最小限の機能だけを持ったRTOSから、複数CPU間の統合などのような、ほとんどミドルウェアでサポートするような機能まで取り込んだ高機能なRTOSが目立っていたように思えます。

MicrosoftはWindows CEとNT Real Timeを大々的にPRしており、ブースではCEを使ったFA機器のデモが実施されていました。MSもかなり本気でこの分野への取り組みを考えているようです。

一方のJavaはというと、携帯端末やPDAなどのインタフェースを中心とした展示は色々ありましたが、まだSunを中心としたグループと、HPを中心としたグループとに分かれて仕様案が統一されていない状態ということもあり、各社ともブースにおいてそれぞれの標準化へ向けた動きを積極的にPRする姿が目立ちました。


CASEツール

CASEツールは、既存の状態遷移図をベースとした、アクション記述とシュミレーションができるものが中心でしたが、それに加え、上流工程としてユースケースをはじめとするUMLでのモデリングをサポートするもの、下流工程としてテストの自動生成を統合化したもの、などが目立っていました。

ブースとしては、Rational、ObjecTime、i-Logix、Telelogicなどが、前述したような特徴を中心に、強烈なPRを行っていました。また、CASEツールではありませんが、開発ツールの進歩もめざましいものがあり、一見するとPCのアプリを作っているかのような錯覚を起こしそうでした。


展示会全体の方向

全体的な方向としては、組込み機器の規模拡大に合わせた開発環境やOSの進化と、それを上流・中流・下流のあらゆる状態でサポートするCASEツールというのが、今回の展示会で見られた今後の開発の流れだと感じました。これからは、「コードを書く前にモデリングとシミュレーションをきちんとやって、コーディングとデバッグにはVC++のようなGUI環境」という開発スタイルが、この分野でも当たり前の世界になりつつあるようです。


UML・オブジェクト指向

従来、この分野のCASEツールは、ほとんどが状態遷移図とシュミレーションを主体にしていたのですが、今回の展示会では、ほぼ全てのツールが上流工程としてUMLをサポートしていました。UMLは、思った以上の早さで浸透しているようです。技術セミナーでも、オブジェクト指向やUMLを内容としたものがかなり多く、その内容も、UML自体の説明ではなく、どのように活用していくかといったアドバンストな内容が中心でした。


技術セミナー

その数が多いことは、前述した通りですが、内容的にカテゴリ分けすると、以下のような感じです。

内容の程度は、初心者向きからアドバンストなものまで幅広くありましたが、UMLやオブジェクト関係は割と高度な内容が多かったようです。逆に、プログラミングやプロジェクト管理といった実務系のセミナーの人気も非常に高く、実際に開発で苦労されている人たちはこちらを選択したのかもしれません。


日本とUSのカンファレンスの違い

一番の違いは、日本でありがちなコンパニオンが皆無なこと。コンパニオンの代わりに、いかつい男のエンジニアたちが迫力ある製品説明を行っていました。確かにこの方が内容もよく分かり、私としてはなかなかGOODだと感心しました。こちらでは、歌って踊れるエンジニアは相当重宝されそうです。また、説明をする前の集客も非常に派手で、マジシャンありの掛け合い漫才ありのといった、まるでお祭り騒ぎのような雰囲気でした。

以上、簡単にESCの様子を報告しましたが、如何せん、あの熱気を全て伝えることができないのがとても残念です。最近なにかと話題の多い組込み分野ですが、これからも、ますますHOT な状態が続きそうな感じです。



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