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デザイン思考

組織デザイン思考とは

組織デザイン思考による組織づくり [第一回]
オージス総研&さくら情報システム
ITAコミュニティ 組織デザイン思考分科会
2015年4月9日

私達は、組織は自ら変革する力を持ち、生き生きとした組織に変わることができると信じています。そのための手法として組織デザイン思考というものを考え、社内のコミュニティ活動で試しました。組織デザイン思考は生き生きとした組織を作るためにデザイン思考を取り入れた手法です。連載第一回目のこの記事では、我々の考えた組織デザイン思考の概要を説明します。

人は「なぜ」を示した時に動く

まず、次の3つの質問を読み、自分なりの答えを頭に思い浮かべて下さい。

  • なぜ皆さんの属する組織は存在しているのか?
  • 自分のやることにどんな意味があるのか?
  • 何を信じて行動するのか?

どうでしょう。意外と答えるのが難しい質問ではないでしょうか。これらは、組織の存在意義や目的を聞いている質問です。自分達の日々の業務の上位の目標や指針に関するものですから、全くわからないということはないと思います。でも、いざ言葉にしようとすると難しい。そうではありませんか。

ところで、人は「何を」ではなく「なぜ」を示した時に動くと言われています。例えば、アップルが消費者に向かってマーケティングするとき、自分達の「なぜ」(目的や大義)から始め、その後「なに」(機能等)を説明するコミュニケーションの順番をとっています。

「何を」から考える 「なぜ」から考える
われわれは、素晴らしいコンピュータをつくっています。

美しいデザイン、シンプルな操作方法、取り扱いも簡単。

一台いかがです?
現状に挑戦し、他社とは違う考え方をする、それが私たちの信条です。

製品を美しくデザインし、操作方法をシンプルにし、取り扱いを簡単にすることで、私たちは現状に挑戦しています。

その結果、素晴らしいコンピュータが誕生しました。

一台いかがですか?

上表の左側は一般的なマーケティングメッセージですが、同じ文章をアップルが実際にコミュニケーションしている順で並べ替えると右側のようになります。その結果、ご承知の通り多くの人にアップルの製品が受け入れられるようになりました。*1) 

*1) 出典)『WHYから始めよ!―インスパイア型リーダーはここが違う』, サイモン・シネック (著) 日本経済新聞出版社 (2012/01)

自分たちで「なぜ?」を考える

ここで、私達の仕事場に目を向けます。現場から上がってくる声というのは、往々にして下のような(少しネガティブな)声が少なくありません。例えば、次のようなものです。

  • 上司はいつも無理難題を言ってくるので困ります
  • 毎日淡々と割り振られた仕事をすることがミッションです
  • 今は、自分の仕事で手一杯で他の事は考えられません
  • 毎日帰るのが遅くて疲れました
  • 仕事って楽しい物なのですか!?
ネガティブな意見

メンバーそれぞれが生き生きとして自律的に活動している職場を理想とするならば、このような意見が多く上がってくる職場というのは理想からは遠い状態と言わざるをえません。

私たちは、「組織のメンバーが抱える「なぜ」を元に自ら目的や目標を設定すると、生き生きと自律した組織になる」と考え、その手法として「組織デザイン思考」というものをつくりました。「なぜ」を自分達で考えることで、当事者意識を持て、職場のメンバー自らが動くような組織をデザインすることができると考えたのです。また、「なぜ」を考えることで、目的志向型の考えができるようになり、先ほど紹介したようなネガティブ考えではなく、ポジティブな考えをすることができるようになるでしょう。

  • お客様の求める価値を提供する為に、我々チームは何ができるのだろうか!(顧客価値創造)
  • チームの力を最大限発揮する為に、日ごろからチームメンバーのことを知る取組みを続けよう!(チームビルディング)
  • あ、あの人困っている、私の作業少し余裕あるから手伝えること無いかな?聞いてみよう!(コミュニケーション)
  • お客様が気持ちよく使ってくれるシステムを作るぞ!(モチベーション)
  • 価値を生み出す仕事をするために、現在の作業プロセスの見直しをしないと!(プロセス改善)
ポジティブな意見

デザイン思考と適用領域

デザイン思考は、人間を中心に考えてイノベーションを起こす方法論です。製品やサービスの利用者に対しする深い共感状態を持つところから始め、問題定義、創造、プロトタイプ、テストというプロセスを経て、利用者が本当に求めているものを生み出すことを狙います。*2)

デザイン思考
*2) 出典)『スタンフォード・デザイン・ガイド デザイン思考5つのステップ』, スタンフォード大学ハッソ・プラットナー・デザイン研究所(著)慶應義塾大学SFCデザイン思考研究会(編) 柏野尊徳/中村珠希(訳) (2012/9), http://designthinking.or.jp/5steps.pdf

その適用領域は様々です。製品のデザインに着目をした狭義のデザイン思考やサービスのデザインに着目をしたサービスデザイン思考という方法論があります。

それに対して、今回我々 ITA コミュニティが着目をしたのは組織に関するするデザインです。それゆえ、組織デザイン思考という名前を付けました。

デザイン思考の適用領域

組織のデザインを行うためのもの

組織デザイン思考は、メンバーが協創しながら、"価値を創出できる組織"を作るための思考法です。組織のデザインを行うために、デザイン思考に組織変革の手法を追加したものになっています。組織に属するメンバーのやりたいことや、不安、問題意識を浮き彫りにし、そのうえで組織が価値を出していくのに必要な目的・目標をデザインします。

組織デザイン思考のプロセスは、通常のデザイン思考と同様のプロセスをとります。即ち、共感、問題定義、創造、プロトタイプ、テストの繰り返しです。

組織デザイン思考のプロセス

それぞれのステップの内容は下表のとおりです。

ステップ 内容
共感(Empathize) 組織のメンバーに共感し、組織の進みたい方向や問題を理解する
問題定義(Define) 解決したい問題を定義する
創造(Ideate) 組織の目的や目標を定義し、組織の構造を明らかにする
プロトタイプ(Prototype) 新しい組織になるための確認すべき項目を仮想的に表現する
テスト(Test) 仮想的な表現を発表してフィードバックを受け取る

そして、我々は各ステップで利用できるツールもまとめ、自分達のコミュニティ内、そしてオージス総研とさくら情報システムの技術フェスでもワークショップを開き、実際に試してみてもいます。

次回以降で各ステップのアクティビティとツールの具体的な紹介をしていきます。第二回目の次回は、共感ステップの予定です。お楽しみに。