ObjectSquare [2000 年 4 月号]

[シリコンバレー放浪記]


シリコンバレー放浪記 連載第4回

〜オフィスいろいろ〜



こんにちは!シリコンバレー一帯は雨季を終え、一年で最も美しいといわれる季節に入りました。この辺は乾燥地帯であるため、周辺の木々や芝生は一年を通してほとんど枯れているらしいのですが、雨季の終わるこの季節は町全体が青々として、みずみずしさにあふれています。日中も抜けるような青い空で本当に気持ちがいいです!

今回は遅ればせながら、弊社の東京オフィスの移転祝いも込めて(?)、ここシリコンバレーのオフィスについて少しお話したいと思います。
私が今勤務しているオフィスは、Palo Alto 市のダウンタウン University Ave. を少し下ったところにあり、スタンフォード大学とは目と鼻の先にあります。非常に良い場所にあるため賃料が高く、アメリカのオフィスとしては多少手狭であるようですが、それでも私が使っている部屋は2人で使うようになっており、日本に比べると贅沢なものになっています(さらに言えば、普段はオフィスには私しかいないので個室を一人占めにしています)。

とはいえシリコンバレーでは、2人で個室をシェア、というのは取りたてて贅沢というわけではないようです。
こちらに赴任してから今まで何社か地元企業を訪問しましたが、どこの企業でも個人を尊重する意味もあってか、各個人が個室、あるいは Cubicle と呼ばれるちょっとした高さのある(2mくらい)パーティションで区切られたスペースを持っています。個室にするか Cubicle にするかは会社の方針により異なるようで、40人未満のスタートアップカンパニーでありながら各個人に個室を用意している企業、個室を与えてはいるがドアはなるべく開けておくようにしている企業、個室は使わず Cubicle でお互いのアクセスをしやすくしている企業、など様々です。また、個室や Cubicle の内部についてはかなり個人の自由が認められているようで、家族の写真を飾ったり、自分の好きな芸能人のポスターを貼ったりするのはもちろん、宇宙船の内部のように飾り付けている個室まであり、それぞれのスペースを会社のものとしてでなく従業員個人のものとして使っているという印象を受けました。

シリコンバレーは最近の好況のおかげで、人材不足と並んでオフィス不足も問題になっており、実際、オフィスの賃料も5年ほど前から比べると2倍程度も!上昇しているようですが、それでも人材に投資する金額に比べれば微々たるものということなのでしょうか、従業員に個室や Cubicle を割り当てる、ということは当たり前のようです。日本では地価が高いためなかなか個室を与えるということは難しいでしょうが、最近では机をパーティションで区切る会社も増えてきたようで、開発などをする身としては集中しやすくなる分、喜ばしい限りだと思います。

最近のオフィス不足でシリコンバレーはちょっとした建設ブーム

また、シリコンバレーの会社が使っているオフィスというのは、2,3階建の平面的な建物が多く、ある程度の規模の会社になるとだだっ広い土地にオフィスが村のように集まっている、という感じになります。同じ会社の同じ敷地にあるオフィスでも、各建物間の移動には車が必要なくらいで、日本のような高層ビルというのは街の中心部にあるオフィスか、大会社でもないかぎり少ないようです。なんだか非効率な気もしますが、実際には建物間の移動なんてめったにないからいいんでしょうね。もっとも見晴らしという点で言うと、高いところが好きな私は日本のオフィスの方が断然好きだったりします。新しい東京のオフィスもセミナールームから東京タワーが見えたり、お台場が見えたりと旧オフィスにはなかった楽しみがあるようで早く行ってみたいものです。

その他、通常のオフィスとは少し毛色が違うのですが、このあたりにはインキュベーションを目的としたオフィスもいくつかあります。「インキュベーション」のためのオフィスとは、スタートアップカンパニーを支援することを目的に、各企業に個室あるいは Cubicle と共に机と電話、それにインターネットへの接続回線を貸し出し、共同で利用できる会議室やコピー機、書棚を用意したり、受付などのサービスを行う施設です。先日訪問した会社が入っているインキュベーション用オフィスの賃料は、Cubicle で $500 から、個室で $1000 から、という値段です。必ずしも安いわけではないと思うのですが、他のスタートアップカンパニーとの交流やそれによる新しいビジネスチャンス、といったこと考えると悪い値段ではないのかもしれません。訪問先の会社は Cubicle を使用していたのですが、パーティションの高さがそれほど高くないため、他の会社のオフィスも丸見えで仕事には少々集中しにくそうでしたが、その一方で雑然とした感じが活気にあふれているようでもあり、楽しそうにも思えました。

最後に、ここシリコンバレーオフィスの大家さんはこのあたりに3つほどビルを持っています。そのうち2つは5人から20人程度の規模のオフィスで、もう一つは2,3人規模の会社向けのオフィスになっています。テナントには個人経営のコンサルタントや、ベンチャーキャピタルの方もいらっしゃるので、インキュベーション用のオフィスというわけではありませんが、IT関連のスタートアップ企業などもいくつかテナントとして入っています。普段廊下ですれ違っている人たちの会社がそのうちIPOをして、大金持になるかもしれませんね。今のうちに人脈を広げておきますか(笑)。

大家さんの持つ個人用オフィスの建物。8畳くらいのオフィスが集まっている

それではまた来月お会いしましょう。


by iwade@亜米利加




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