ObjectSquare [2000 年 6 月号]

[シリコンバレー放浪記]


シリコンバレー放浪記 連載第6回

〜インターネットショッピングII〜



最近アメリカの方では、”無料ソフトウェア”なるものが出てきました。
たとえば Qualcomm の e-mail ソフト Eudora や、 Corel の  WordPerfect Suite 8 OEM (これはプレインストールされたPC限定です)などです。仕組みとしては無料ISPなどと同様で、ソフトウェアに広告スポンサーをつけることによってソフトの代金を回収しようというもので、非常に単純明解で”おいしい”話のなのですが、一方でこういった無料ソフトによるプライバシーの侵害を心配している人もいるようです。つまり、”個人に最適な広告”を出すために、例えばメール上の文書をスキャンする、などの行為が行なわれないかどうか、ということです。今のところは杞憂のような気がしますが、将来無料ソフトが増えていけば、そういうものも出てしまうのかもしれませんね。

さて、今回は前回に引き続きインターネットショッピングについてのお話をしたいと思います.
実は、前回の原稿を書いた後 Amazon.com で注文した商品が一つ注文後10日ほどしても届きませんでした。今回はその後の Amazon.com の対応を見ながら、カスタマーサポート部分の仕組みについて書きたいと思います。

まずは簡単に Amazon の発送手続きについて書きますと、一連の注文を終えると、 (1) ユーザによる発送手段の指定、 (2) Amazon による発送、 (3) 宅配業者による顧客への受け渡し、 (4) 顧客からの返品対応、となります(私の場合は(3)の部分で例外処理となったわけです ;-< )

(1)に関していえば、ユーザは (a) 3-7日での宅配、 (b) 2日での宅配、 (c) 1日での宅配、から選択します。宅配にかかる値段は(a)から(c)の選択により異なりますが、例えば一番安い(a)だとシッピングコストは$3.00 + $0.99 × 商品数、になり、到着まで出荷までの時間+3-7日(経験上、3-5日で到着します)、ということにまります。
続いての(2)なのですが、複数商品を注文したときに Amazon では、発送準備が整ったものから順次発送する、ということを行なっています。例えば、人気のある本と取り寄せに時間のかかる本を同時に注文した場合は、人気のある本はすぐに発送し、もう一方の本は製造元から Amazon に到着後顧客に発送されることになります。なお、この際発送の追加費用はかかりません。
また(3)ですが、使用される宅配業者は時々により異なっているようです。この宅配業者の選択はどのように行なっているのか良く分からないのですが、発送する商品の重さやサイズによって、複数の宅配業者の中から最適なところを選んでいるのでは?と思います。
最後に(4)なのですが、アメリカでは本はもちろん電化製品等の返品は日常茶飯事、といった感じで、たいていの小売り店舗には"Custommer Support"にて返品受付を行なっており、店によってはいついっても返品の顧客でごった返している、という状況です。ということで、Amazon でも返品には気を遣っているようで、商品と一緒に送られてくる発送明細書の裏は返品明細書になっていまして、Amazon のカスタマーサポートへの住所が書かれたシールも付属、という至れり尽くせりのサービスとなっています。アメリカ人にとっては返品のサポートも重要な要因となっており、前回書きました EC サイト評価サイトの bizrate.com 等にも評価基準の一つとなっているぐらいです。

さて、話は戻りまして、Amazon の発送ミスの件ですが、注文時に指定した到着期限まで待った後、商品が届かないことに関して、サポートのアドレスにクレームの e-mail を投げました。その1時間後くらいには、お詫びと共に、すぐに再発送の手続きをとる、とのメールが。この後出荷すべき住所の確認などに2回ほどメールのやり取りをして手続きは全て終了。その日のうちに”2日で宅配”の発送手段にて発送するとのことで、結局商品は4日後に無事受け取ることができました。
それで、手続きの速さから見て、今回の私のクレームに対しては調査のようなものはせずに、無条件で再発送を決めたのだと思います。もしかすると、今回は複数注文した商品のうち紛失したのが一つだけだったので(上記(2)で書いたように、複数商品注文時は発送準備が整い次第順次出荷されますので)すぐに再発送されたのかもしれませんし、あるいは、郵便事故の場合は再発送は宅配業者持ちになっている、とのことで手続きが早かったのかもしれません。
どちらにせよ、”宅配業者に渡すまでが Amazon の仕事”、ではなく、”顧客の手に渡るまでが Amazon の仕事”という考えの元で、こういったトラブルに対していくつかのシナリオをあらかじめ持っているのでしょう。これって当たり前のようですが、余計な交渉をしなくていい上にこのサポートの速さというのはアメリカの企業中では秀逸のサービスだと思います。インターネットという直接顧客との接点が無い商売の分、ブランド確立のためにも顧客サポートには十分に神経を使っているのでしょう。

Amazon.com は最初”本が安く買える”というイメージで、 全米最大手の書店 Barnes & Noble との安売り競争でも話題になりましたが、最近のインターネット書店の中ではそんなに安いと印象はなく Yahoo! Shopping や、 bizrate.com を見ても安い!という印象は少ないです。その代わり、カスタマーサポートの面でしっかりしている”高級店”のような印象を持っています。
また、Amazon の場合、個人ユーザによる書評があり、インターネット上のコミュニティとしても機能しはじめています。このユーザによる書評は、その”ユーザからの書評”に対する他のユーザからの評価もあり、これから本を買おうというときに非常に参考になります。

とまぁ、インターネットショッピングと言うことで Amazon の例を挙げていろいろと書いてきたのですが、私は実際に本を買うときは Barnes & Noble の方を良く利用します(Amazon を使うのは DVD も買いたいときはですね)。
その理由は小さなことなのですが、Barnes & Noble では上記(1)の発送手段の選択時に発送コストの表示がある、と言うだけです。発送コスト自体は Amazon でも一緒だと思うのですが、Barnes & Noble の方がコストに敏感なユーザには親切だと思います。こういう UI のあたりって、システム自体の完成度云々に比べると些細なことのような気がするのですが、実際私のようにそれを基準に選んでいる顧客もいると思うので、システムエンジニアとしては考えさせられるところがありますね。

それでは今回はこの辺で。


by iwade@亜米利加




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