[ソフトウェア開発3大メソロジスト来日特別セミナー 参加報告]
Session 1 「ソフトウェアエンジニアリングの未来」
11/17(火)、恵比寿のウエスティンホテル東京にて、特別セミナーの初回が開催されました。Booch氏による講演題目は、「ソフトウェアエンジニアリングの未来」。
セミナー受講前には、”新参者の私にとっては、まさに打って付けの題材やん?”と勝手に盛り上がっていたものの、果たして話しの流れについていけるか不安でもありました。
けれども、Booch氏が判りやすい喩を随所に散りばめながら話を展開したくれたおかげで、Booch氏の語るソフトウェアの世界は、すぐさま身近な世界のもの(主に建築関係)に変換して認識することができたので、ちゃんと最後まで講演を楽しむことができました。
話の流れは、以下のとおりです。
「ソフトウェアとは・・・」という前振りから始まり、
↓
「大規模なソフトウェア開発のためには、洗練されたモデリングの必要あり」
↓
「共通の概念としてアーキテクチャが重要」
だからこそ、アーキテクチャの定義を明確にする必要あり
ちなみに、アーキテクチャには、「4+1ビュー」が必要
そして、大事なことはアーキテクチャを元にモデルを作成すること
↓
「統一モデリング言語としてUMLの普及が鍵となる」
↓
締めとして、今後、目指すところについて語る。
Booch氏の話は、Booch氏(英語)→通訳の方(日本語)→私の脳(私のボキャブラリ)を経由することによって、以下のように変換されて頭に認識されます。
「ソフトウェアとは・・・
流動性、柔軟性があるものやねん。
ほんでもって、我々がソフトウェアをつくるときには、’コスト’と’期限’という2つの制約があるのよ。
これらの制約さえなかったら、何でもありやねんけど・・・
そんな訳ないやん?
しかも、変更に柔軟に対応できることがソフトウェアには、必要やねん。そのために、独立した部品の集まりを作る必要があるねん。
そやけども、一からものを造ることって、とても大変なことやねんで。
だから、建築学で言うところのarchitectureと同じ役割を果たす、体系だった共通の概念、やり方が必要やねん。」
このように言われると、”確かに、ちゃんと定義されたアーキテクチャは大事やね。”などと思ってしまいます。
4+1ビューが大事だという話のときも、「ものごとは様々な観点から見る必要があるんや。」と言われれば、”そうや、そうや、一つの側面しか見なくてどうするっ”と思ってしまうのです。
(今の私には、これらの話を実際にソフトウェア開発に活かしたことがないので、実際に、どれだけ説得力があるものか判らないところが残念です。そこは、Booch氏が、これまで携わってきたらしい現在も稼働中の大規模システムの数々を思えば・・・)
更に、Booch氏は語り続けます。
「共通の認識をもつための手段として、UML(統一モデリング言語)というものの存在が重要になってくるね。
今、このUMLを、洗練化してる最中やねんけど、そのうち実行可能な言語にまで持って行くつもりだから、楽しみにしててよ。
それから、共通のやり方としてデザインパターンというものがあるねん。
これの存在も重要やね。
デザインパターンは共通の問題に対する解法やから、うまい具合に活用すれば、再利用可能なソフトウェアがつくれるねん。・・・・・」
そして講演が終わる頃には、”確かに、UMLが普及しないことには、Booch氏の語るソフトウェアの世界は実現しないなぁ。”などという呟きと共に、無責任にも、”UMLが普及してくれへんやろうか・・・”と他力本願な願いを胸に抱くようになっていました。
おまけ −印象に残った言葉ー
セミナー全体で印象に残った言葉があります。
「特許とは・・・
プロセスを守るもので概念を特許にするものではないよ。
だって、そんなことしたら、進歩が止まるやん。」
これは、デザインパターンを特許として申請することに対してのコメントです。このコメントを耳にしたとき、”そういえば、自分も企業の一員なんや”ということに気づき、思案を別世界へと馳せてしまいました。どんな風に飛躍したのかというと・・・
今回の講演でBooch氏は、「ソフトウェアの世界にも共通の概念が必要や」ということを強調していました。このことに共感した場合、例えば、”共通の概念を実装レベルで実用できるCASEツールをつくるぞ!”と盛り上がることもあれば、”共通の概念を利用して(ツールも利用して)、ええシステムをつくるぞ!”と盛り上がることもあるのでしょう。どちらも、前向きで素敵な考えなのですが、きっと、その塩梅が難しいのだろうなぁ・・・なんて。
おまけ −セミナー体感レポートー
セミナーに参加すること自体が始めてだったので、全てが新鮮に映って仕方なかった様子を報告します。
会場案内の人に促されるまま、中央の前から2列目という、とっても参加する気に溢れた席に着席する。
机上に置いてある、水のカップ&ソーサを見て、サービスで飲み物が飲めることに喜ぶ。
次の瞬間、一体、このカップに飲み物を注ぐべき人物は、自分なのか、それとも、ホテルだけに給仕さんなのか悩む。
(休憩時間に、余計な悩みは解消する。給仕さんが一人ずつ注いでくれました。)
続いて、同時通訳用のイヤホンと思われるものをいじる。
耳にかけるタイプのイヤホン、しかも、耳全体を覆うような形のイヤホンは、初めて着用。
同時通訳のときには、このようなイヤホンを使うものなのかぁ・・・と思って、
新鮮な気分に浸る。
が、ふと周りを見渡すと、同じようにイヤホンをいじりながら頭をひねっている人達がいたので、単に珍しいイヤホンなんだと納得する。
このように、終始、落ち着きがありませんでした。
ちなみに、実際にBooch氏を見たときの感想は、”でかい。しかも、長髪で茶髪やん。”でした。事前のBooch氏のイメージ情報と言えば、日本ラショナルソフトウェア社さんのホームページで見たイメージしかなかったものですから・・・
以上、11/17(火)、恵比寿のウエスティンホテル東京にて開催されました特別セミナーの模様をお届けしました。
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