[Martin Fowler氏 講演レポート]
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冒頭から「私は反抗的です」という発言で茶目っ気たっぷりのところを披露したFowler氏は、生っ粋の英国人ということで非常に聞き取りやすい英語を話していました。 容貌もヒジョーに広いおでこ、髪との境界が分からないほど立派な髯、髭、鬚。グレーのセーターを着て大変印象的でした。 肝心の講演はFowler氏の著書である「UMLモデリングのエッセンス」と「アナリシスパターン」の二つのテーマに分けて行われました。
「UMLモデリングのエッセンス」のテーマでは、著書から更にエッセンスを抽出したような内容で、UMLの要点を押さえて簡潔にまとまっていて大変分かり易かったです。 具体的にはUML登場の経緯から始まり、ユースケース、クラス図、CRCカード、相互作用図をUMLの中核となるテクニックとして解説し、その他にパッケージ図、状態図、アクティビティ図、配置図とコンポーネント図にも簡単な説明を加えた後、最後にUMLを実際に導入するためのアドバイスを紹介するといった内容でした。
講演の全体を通してFowler氏が強調していたのは「UMLはコミュニケーションのための道具」であるということで、そのためには「モデリングの観点」に注意して、不要な情報を取り除いた「シンプルなモデル」を心掛けるのが重要と仰有ってました。
参加者からの質問も開発現場で実際に問題となるようなものが多く、とても充実した内容だったと思います。 ここで折角ですから、参加できなかった人のためにもUMLモデリングに対するFolwer氏の意見をまとめておきましょう。 (※ 私が理解した範囲でまとめてますので、誤った理解をしている部分もあるかもしれません。あしからず)
UMLとは直接関係のないテーマですが、モデリングのテクニックとしてあげたようです。
最後に会場の方からの質問で、UMLをユーザーとのコミュニケーションに利用するためのガイドラインを挙げていましたので紹介しましょう。
「アナリシスパターン」のテーマでは、著書に書かれている内容をベースに行われました。 モデルを提示する、問題点を挙げる、パターンを用いて解決する。この手順を繰り返してパターンの説明が行われ、それぞれのパターンのみならずパターン同士の関連や、パターンを適用していく過程まで疑似体験できる素晴らしい内容でした。本を読むよりはるかに分かり易く、難解といわれる文章に挫折しそうになった人でも十分に理解できるものだったと思います。 講演で扱われたパターンは以下の通りです。
こちらも「エッセンス」の例に倣って、Fowler氏の意見をまとめておきます。
パターンには欠点と利点があるので適用は慎重に行う必要がある。
パターンというテーマのためか「エッセンス」の時よりも参加者の反応はいまひとつという感じです。最後の質疑応答の時にようやくちらほらと質問が出ていました。 個人的にはどちらかというと今あるパターンについての即物的な傾向の質問が多かったように感じられました。 というわけで「パターンの認知度」は十分に高くなってきているのですが、「パターンの理解」についてはまだまだ十分ではないと感じる次第でした。
Fowler氏は自分の考えを相手に伝えること、つまりコミュニケーションを非常に大切にしている方でした。講演自体も質問に対する回答もたいへん丁寧に行っていました。 これはエンジニアが見落としがちな部分ですが、自己満足に陥らないようにするためにも自分自身気を付けていかねばと改めて思います。 またUMLに関しても、Fowler氏にとってUMLはコミュニケーションを円滑にする道具であってそれ以上の存在ではないようです。 ただUMLでモデルを書き散らしているだけでは、モデリングとはいえないという警句にも取れます。 「過ぎたるは及ばざるが如し」ですね。
以上、なんともとりとめのない内容ですが講演レポートとさせていただきます。
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