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[イベント特集]




ObjectDay 2001フライング企画!


企画1: Rubyのまつもとさんにリクエストしよう!

今年のオープニングセッションを飾るのは、オブジェクト指向スクリプト言語Rubyで世界的にも有名なまつもとゆきひろさんです。

皆さん「オブジェクト指向開発」と聞くと割と"きちんと作る、フォーマルなもの"というイメージが強いのではないでしょうか。
クラス図やシーケンス図をしっかりと書き、ソフトウェアが解決すべき問題について詳細な分析をする。システムの非機能的な要求に関しては、デザインパターンを適用し、Hotspotに対処できるよう設計を行う。コードはそうしたモデルや設計の情報をもとに、統括された中で整然と作られていく。
要は複雑な問題を整理し、大規模になっても破綻しないような堅牢なシステムを作るためにオブジェクト指向はあるのだと。

たしかにこうした考え方も納得のできるものです。モデリングやアーキテクチャ定義を中心に据えた、オブジェクト指向の"剛"の姿であるといえるでしょう。

しかし、オブジェクト指向は単にそうした質実剛健なシステム開発のためだけにあるものではありません。もっと肩のこらない、気軽な適用の仕方もあるはずです。

自分で1から作らずに既存の部品で使えそうなものを探してくる。意に沿わないところがあればそこだけちょこっとカスタマイズして使う。開発者は「良きにはからえ」と言えば、複雑な内部のアルゴリズムについては詳しく知らなくとも有能なオブジェクトが何とかしてくれる。

こうしたプログラマの楽をしたいという感覚、差分プログラミングができれば同じコードを2度書かずにすむといった横着な感覚に応える側面があったからこそ、オブジェクト指向は開発者の心を惹きつけ、現在にいたる広がりを見せていったのではないでしょうか。
もともとオブジェクト指向はプログラミング(OOP)のレベルから、より上位のオブジェクト指向分析・設計手法(OOA/OOD)へとボトムアップ的に発展していったという経緯を忘れてはいけません。

IT革命の吹き荒れる昨今、大仰で小回りの聞かないシステムは嫌がられるようになってきています。従来よりもっとラピッドに、もっと大胆にシステムを開発してくことが望まれてきているのです。そろそろオブジェクト指向がもともと備えていた"柔"の部分がもう一度見直されてもいい時期にきているのではないでしょうか。

さて、そのような思いもあり、今年はRubyのまつもとさんをオープニングセッションに招待することとしました。Rubyとは、"スクリプティング"という一見オブジェクト指向にはそぐわない場面で、Pureなオブジェクト指向を当てはめてみたという言語です。(Pythonという言語もありますが、OOのPure度はRubyが勝るでしょう。)

自分の思いの丈を即興でコーディングして実行できる、それも人間の思考に近いオブジェクトという単位で、となれば皆さんの興味も湧いてくるのではないでしょうか。

Rubyはオープンソースとして公開され、インターネットを通じて草の根的に、広がっていきました。米国でも最近は注目の度合いが高まり、"Programming Ruby: A Pragmatic Programmer's Guide"といった解説書が、向こうの著者の手(しかも"The Pragmatic Programmer"の!)によって書かれ、出版されているくらいです。もちろん日本でもRubyの解説本は続々と出版されてきています。 Rubyによるアプリケーションも、まつもとさんが本来予期しなかったものなども出てきており、動きはますます活発化しつつあります。

仕様が定まっており、速度性能を必要とする部分はC++やJavaなどの従来のOO言語で開発し、柔軟性が重要となる部分はRubyを使うといった、各言語の特質を活かしたAspect指向的な開発スタイルが今後は加速していくことでしょう。Rubyに今から着目しておいて損はありません。

講演ではまつもとさんに、

などを話していただく予定です。

この他、「こんなことを聞いてみたい」「ここに興味がある」などありましたら、以下のフォームでサブミットしてください。ObjectDayプログラム委員でまとめてまつもとさんにお伝えします。

まつもとさんもフィードバックを歓迎されています。皆でオープニングセッションを作っていきましょう!

※半角カタカナは文字化けの原因となりますのでご遠慮ください。

   





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