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[ObjectDay2001特集]






UML入門 トラック

ObjectDay2001レポート

by Stone



はじめに

オブジェクトの広場編集員でもある我が敬愛すべき先輩 K正氏から内線がかかってきたのは、梅雨入り前の妙に蒸し暑い5月下旬の夜。
内容は、ObjectDay2001 RoomAのスタッフとして何かコメントを書いてくれないかというもの。
まあ、コメント程度なら・・・という軽い気持ちで

「良いですよ。で、分量はどれくらいを書けば?」
「うん。原稿用紙四枚程度で。」
「!?」

コメントという言葉から私が想像したのは、数行そこそこの簡単な走り書き。いや、普通の人ならば間違いなくそう思うだろう。そう信じたい。
原稿用紙数枚を要する文章は「記事」と言わねば私には伝わらない。
と、軽くお茶をにごしたところで、寝耳に硫酸の RoomA スタッフによる「コメント」をお届けします。

Room A の各セッション内容は、

とあるように、ソフトウェア開発技術者を名乗る方なら思わず食指をのばしてしまいそうな内容がめじろ押しです。Room A は Room Bと並び、300人は収容可能な会場で行われましたが、セッション開始後も次々に聴講者が押し寄せて、 いずれも立ち見が出るほどの盛況ぶりでした。

Room A のスタッフに割り当てられた私は、これらのセッションをぶち抜きで拝聴できる機会を得たわけですが、これが甘かった...。
当初は、会場の一番後ろの壁にはりつきながらゆっくり見物するつもりでいました。しかし、立ち見の方が増えるに従って、自然と私の位置は会場の入り口の方へ。最終的には入り口からもはじき出された聴講者に混じって見物するハメになりました。
後ろの壁際で見るのも、入り口の外で見るのも大して変わらないだろうって?
変わるんですねぇ、これが。特に、講演者のスピーチの聞こえ方がまるで違います。
実際、講演中に部屋の外から中に移動してみると分かるのですが、部屋の中では天井や壁の音響効果も手伝って、部屋全体が喋っているような印象を受けます。
それに対して部屋の外は......大音量でWALKMANをかけている人の隣に座って漏れてくる音楽を聴くのに似ています。とにかく聴きづらい。
加えて、視力が弱い私はスクリーンの文字もロクに読めないというていたらくでした。(スクリーンに投影された Windowsのアイコンは大人の平手と同じ大きさがあるのですが。)こういうセミナーや講演をきちんと聴講するなら、当日おしかけるのではなく、きちんと予約をいれて前の座席に座りましょうという良い教訓でした。



UML入門

「電気製品販売店の販売・営業支援システム」を例に挙げながら、UMLで定義されているダイアグラム(ユースケース図・アクティビティ図・クラス図・シーケンス図・コラボレーション図・ステートチャート図・コンポーネント図・配置図)を逐次解説するというセッションです。まだ午前中ということで、寝ぼけまなこの脳味噌や胃腸にやさしい内容にしようという、主催者側の心憎い配慮があったに違いありません。
UMLという言葉は聞いたことがあるけど、一体全体どんなモノなの? という方にピッタリのセッションではないかと思います。配布資料やスライドの方も図がふんだんに使われていて、資料を眺めるだけでもそれとなくUMLの臭・・・もとい、香気を感じることができるのではないでしょうか。

しかし、午前中にも関わらずセッション開始時で既に会場はほぼ満席。おまけに開始後も続々と聴講者が詰め掛けたため、早くも立ち見が出るという状況に。
はからずも、オブジェクト指向開発に対する関心の高さを生で見せつけられる結果になりました。



今すぐ使えるデザインパターン

スライドの最初に「※実践的な話題を中心に」と銘打ってある通り、具体的な実装を見せながら

という2つの切り口で GoFのデザインパターンを解説するセッションです。
前の「UML入門」が広く浅くというスタンスならば、こちらは対象を徹底して絞り込んだ内容といえるでしょう。事実、GoFのパターンの中でも Abstract Factory・Singleton・Iterator といった超頻出のものがとり上げられていました。
ちなみに、サンプルコードに使用されていた言語は Javaです。

入り口に立って入場者チェックをしていた感想としては、前のセッションと連続して聴講された方がそこそこいたような気がします。こちらは、開始時で既に立ち見が出るという恐ろしい状況になってしまったため、急遽、ホテル側の方で用意していただいた追加の椅子に座っていただくことになりました。しかし、部屋の外ということで聴講場所としてははっきり言って最悪です。むしろ、空席がない限り着席できないオージス社員(会場後ろの壁際で立って聴講)の方が、恵まれていた・・・??



XP談義

ObjectDay2001の全セッションの中でも、あらゆる面で異色の存在ではないかと思います。
パネルディスカッション形式で、時間は2セッション分ぶち抜き。パネラーは、XP擁護派とXP懐疑派でそれぞれ4人ずつ(+ 司会の藤井氏)の計9人。ちなみにパネラーの服装は、XP懐疑派が全員スーツ姿なのに対し、XP擁護派はカジュアルでラフな出で立ちが中心でした。
明らかに、話し合い以外の面でも対決姿勢を強めようという意図が明白です。恐らくステージのスペースに余裕があれば、両派閥の机は平行かハの字型に並んでいたことでしょう。
なお、見物に来ていたオージス社員が最も多いセッションでもありました。立ち見をしている方に入り口に用意した椅子を勧めたら、「いえ、社内の者ですから」。・・・失礼しました。

セッションの内容ですが、パネラーの方々の実体験に裏打ちされた個性的かつ論理的な応酬に、聴講者の方々が真剣に聞き入っている様子や、しばしば放たれるシニカルな台詞に会場がどっと沸く場面が印象的でした。唯一残念だったのは、時間の関係で最後をビシッと締めるだけの余裕が無かった事でしょうか。結局最後はパネラーの方々が今回のディスカッションに対する所感を述べて終了となりました。

ルームスタッフの作業をしていて一つ気になったのは、松葉杖をついて来られた方が数名いらっしゃった事でしょうか。今回のように狭い会場に大量の人が集まる場合は、せめて特別席を用意しておく位の準備があっても良いような気がしました。何しろ、机と机の狭い隙間を縫って移動しなければなりませんし、椅子に座った後も、嵩張る松葉杖をどこに立てかけておくかで結構不自由を強いられます。

最後に、やはりこういうイベントはスタッフではなく一般の参加者として聴講したかったです。まあ、ホテルの用意したスタッフ用弁当が食べられるというメリットもあるにはあるんですが。

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