[UMLとオブジェクト指向分析・設計が開発リスクを軽減する]
要求分析
オブジェクト指向開発での要求分析にはユースケースが使用されます.ユースケースを組み込みシステムで使用する場合には,アクターのとらえ方とユースケースの粒度がポイントになります.
今回の開発サンプルでは,アクターとしてフロアの乗客とエレベータ内の乗客が考えられます.これらをもとに作成したユースケース図を図2に示します.
図2:ユースケース図
エレベータシステムではアクターからのアクションで適度な大きさのユースケースを切り出せました.しかし通常の組み込みシステムでは,外部からの指示を受けた後はシステムが自動的に判断し処理を継続することが多く,アクターに合わせたユースケースでは粒度が大きくなる傾向があります.このような場合には,ユースケースを適度な粒度まで機能単位に分割します.
また,ユーザーからの入力をほとんど持たないロボットやクルーズコントロールなどの制御システムなどではアクターからの指示に該当する部分を,外部の状況を機能的に判断することで代行しているため,システムからサービスを受けるアクターに注目しただけではユースケースを見つけることができません.このような場合はシステムが監視したり操作したりするハードウェアや他のシステムなどの外部環境をアクターとして扱います.そして,これらとのやりとりの単位をユースケースとしてとらえるようにします.
なお,後者のような外部環境からの検討を行う際には,あらかじめコンテキスト図を作成します.コンテキスト図とはシステムと外部の間でやり取りされる情報を表わしたものです.ユースケースの契機となるような外部イベントは,コンテキスト図を元に検討すると容易に見つけることができます.
© 1999 OGIS-RI Co., Ltd. |
|