ObjectSquare [1999 年 8 月号]

[オブジェクト指向モデリング言語 UML]
   - 情報処理 VOL.40 NO.1, NO.3より -


UMLにおける記法メカニズム

UMLは注釈と拡張という2種類の汎用的な記法メカニズムを提供する.注釈によって既存のモデル要素や関係に対してコメントを付加できる.注釈は仕様定義と修飾に分かれる.拡張は注釈と違って実際に既存のモデル要素や関係に対して実際に性質や規則等のセマンティクスを追加する.UMLは,制約とステレオタイプとプロパティという3種類の拡張メカニズムを提供する.制約とプロパティはモデル表現をより厳密かつ詳細に表現する.ステレオタイプはユーザがUMLの記法を拡張する自由度を与えてくれる.

(1)注釈メカニズム:仕様定義と修飾

「仕様定義メカニズム」を使い,各モデル要素のテキスト記述ができる.クラスに限らず,属性や操作,関連やパッケージ等の任意のモデル要素に対して仕様定義ができる.

一方,「修飾メカニズム」を使って各モデル要素を表す基本シンボルに対してさらにグラフィカルな装飾を追加できる.属性や操作の可視性を表すためにクラスシンボル内で各属性や操作の前に置かれるシンボル,+,#,-,はこの修飾メカニズムの適用例である.ユースケースのアクタを表す人型のシンボルもこの修飾シンボルの一種である.

(2)制約と制約拡張メカニズム

「制約」は,既存のモデル要素自体あるいはモデル要素間で常に成立する論理式のことで,中括弧{}の中に定義する.UMLでは,制約表現に特定の言語を指定していないので,自然言語や数式を使う.今後,厳密なモデル記述を望む設計者は,UML1.1で導入されたOCLを制約表現に使うのが望ましいだろう.


© 1999 OGIS-RI Co., Ltd.

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