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UX, ユーザーエクスペリエンス

スタートボタンがなくなった。そして復活?

株式会社オージス総研
技術部 仙波真二
2013年7月4日

Windowsが登場した頃、私はMacを使っていました。Windowsが一般家庭にも普及したのは、Windows95の頃だと記憶していますが、そのときの私の印象はMacに影響を受けたGUIだということと、スタートボタンが画面左下にあるという点でした。

Windows8が登場してから、スタートボタンがなくなったということがずいぶん話題になりました。ここでは、なぜスタートボタンが無くなったかということではなく、スタートボタンの存在意義についてUXの視点で考えてみたいと思います。

まず、使用するユーザーについて、新規ユーザーと既存ユーザのそれぞれで考える必要があると思います。Windowsを初めて使用する新規ユーザーの場合は、Windowsの使用方法を白紙の状態から学習する必要がありますので、従来あったスタートボタンの影響ないと思われます。しかし、Windowsを使用してきた既存ユーザーの場合は、スタートボタンが無くなったことにより、ユーザビリティの低下を招き、心理的な不安感を覚えたのではないかと想像しています。私はWindows8を初めて触った際にそのような感覚を覚えました。

次に、ユーザビリティの側面について述べることにします。Windows7以前のスタートボタンでは、アプリケーションの起動、コントロールパネルの表示、PCのシャットダウンなど、多くのオペレーションの入口がここに集約されていました。そのため、学習のしやすさ、効率性、記憶しやすさなど、ユーザビリティ面で優れている点が多々ありました。Windowsの既存ユーザーにとっては、スタートボタンがなくなることにより、これらの要素が(一時的に)マイナス評価となってしまうと思われます。

最後に、心理的な側面について述べることにします。スタートボタンは画面の左下に君臨していて、Windowsの既存ユーザーにとっては、見た目としての座りのよさや安心感を感じるだけでなく、前述の機能性が加わることにより、見た目・機能面ともに欠かせない存在になっていたと思います。代替機能があるから問題ないというレベルではなく、あるべきものがないことによる心理的な不安やもの足りなさを感じてしまう人が多いのではないでしょうか。直感的な印象は、一時的なものであってもそのプロダクトの評価を強く印象づけるものですので、スタートボタンがないことはWindows8のマイナスイメージを印象付けたのではないかと思われます。

ユーザビリティに関心のある人はご存じだと思いますが、マイクロソフトはユーザビリティを重視する企業として有名です。スタートボタンをなくすことによる影響は、ユーザビリティテストで事前にわかっていたはずです。それでも、あえてスタートボタンをなくなったということは、既存のGUIよりも、新たなGUIを重要視するというマイクロソフトの決断だったと思われます。しかし、既存のWindowsユーザーが納得するユーザインタフェースが提供されていないにもかかわらず、そのような決断をしたことが今回のような騒動を招いたのかもしれません。

では、どうすればよいのでしょうか?私だったら以下のようなことを考えます。

  1. Modern UI の「左下」にDesktopUIに切り替わるボタンを配置しておき、それをクリックするとDesktop UIに切り替わります。ここで「左下」というのが重要なのは前述のとおりです。
  2. Desktop UIでは、Windows7以前と同等の機能を持つスタートボタンを定位置に配置します。
  3. Desktop UIの状態でWindowsを再起動するとDesktop UIの状態で起動します。 (スタートボタンにフォーカスして考えた意見ですので、偏っているかもしれませんがご了承ください)

このコラムを記述している最中に、スタートボタンが復活したというニュースが発表されました。Windows7以前の機能とは異なるようですが、歓迎する声は多いと思います。でも、話題作りのために、もともと復活する想定で一時的になくしたというわけではないですよね?マイクロソフトさん。