PMマガジン

「問題解決とPMの孤独 ~後悔しない決断とは~」

2013年08月号 全般 OCP-プロジェクトマネジャー(L6)   佐藤 壽佳子

PMの大きな仕事の一つに、問題・課題を「都度」解決、もしくは影響を軽減していく事があげられます。本当は事前に手を打つべきですが、プロジェクトは生き物ですので事前に対処できるものばかりではありません。
特にプロジェクト運営上の問題は、論理的に検証できたり、データで見る事ができる問題ともかぎりません。お客さまも含め、それぞれの感情も入った利害関係が複雑に絡み合う問題も多くあります。

ではその場合どの様にして解決していくのでしょう?
私がよく用いる方法は以下の4点です。決まった答えはないので、状況によって順番に行う事もありますし、どれかだけの場合もあります。

(1)正論(プロジェクト方針や目的)をもう一度、共有する
←焦点がミクロになりすぎているもの、大人数が故の混乱については有効。
 但し、渦中にいると「筋」が見えなくなりますので、PL兼務のPMは注意。

(2)ステークホルダーの考えている優先順位とその理由を確認、共有する
←物理的な問題や技術が邪魔をしていれば、それぞれが譲歩策の検討を始めるので検討が次に進みだし、有効。

(3)問題提起者の気持ちにまずは同調し、問題の本質が見えるまで質問攻め
←感情的なものが含まれている場合、本当の問題点に気付くきっかけとなり、本人から解決策がでてくる事がある。顧客からの要求、クレームの場合などは、効果的な提案の為にもやってみる価値あり。

(4)配置がえ(構成がえ)
←合わないグループ構成、向かない役割が起因する場合は有効。
 但し、感情的な違和感を残さないように理由付け、事前ネゴなど必要。

どの案も、こちらが一方的に解決策を指示する訳ではなく、最終的には解決にむけてそれぞれが考える事になるところが良いのではないかと思っています。
そして、問題解決には最終的には「決断」も必要です。少し精神的な事も話してみたいと思います。

PMの立場としてシビアな二択を迫られるという状況があります。
選択によっては多大な損害を出すかもしれない、でも選択をしなければ問題は解決せず、別のところに大きな問題がでるかもしれない、という状況です。
しかも、正しさを示す客観的なデータはない。それでも、決めなければならない。この時は、胃が痛くなるほどの孤独を感じます。

孤独な決断はつらいものですが、実はとても精神的には大事な事なのだと、私は思っています。
誰かの「許可」をもらってやっているという意識を無くして、自分が選んだと意識すること。

それに大体難しい判断が必要な時はどの案をとっても反対者も賛成者もいるものです。
正しい方とはっきり選別出来ない場合は、選択した方を正しくすればいい(と割り切る事)。
その後は、これで大丈夫だろうか、まだ工夫の余地は無いだろうか、リスクは変わっていないだろうか、と『常に』考え続け、選択を正解にする為の対策を打ち続ける事、それが大切だと思っています。

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