IFRSコミュニティ ワークショップ
第1回IFRSコミュニティワークショップ誌上公開(一部)
ビジネスイノベーションセンター

 お客様を招待して、セミナーおよびワークショップを行いました。ワークショップの内容の一部を公開致します。

 講師のプライマル株式会社の森貞副社長に加えて、飛び入りでプライマル株式会社の近藤社長。オブザーバーとして石島隆先生(法政大学大学院イノベーション・マネジメント研究科教授)と共に、収益認識や複数帳簿の問題などについて議論を行いました。

議論は、まず売り上げ収益認識基準についてです。 

森貞氏:様々なことが言われていますが一つ私が聞いたお話の中で非常にショッキングだったのは、期末付近の出荷をやめるという選択肢を取られている会社さんもあるということです。
確かにリスクと経済価値の移転ということを考えると着荷基準というのが自然な流れなのかもしれないですが、それによって経済活動が制限されるというのは本末転倒なお話ですし、且つインパクト分析をやられている会社さん等では、ほとんど着荷基準に関しての影響について、インパクトがほぼゼロという評価をされています。
というのはなぜかと言うと単なる期ずれの状態になっているにすぎないからです。
そのため実際の業務に適用するケースにおいては監査法人等との折衝が大いに必要だと思うんですけれども、ごくごく個人的な意見としては、一般的な商品販売プロセスにおいて、現在の出荷基準というものは合理的に、私は認められてしかるべきだと認識しています。ちょっと極論かもしれないですが私の私見としてはそういうとらえ方をしています。

近藤氏:皆さんご存知の方も多いかと思うんですけれども、2010年3月期から一応IFRSの任意適用というのが日本でも認められておりまして、日本電波工業さんという会社が、第一号のIFRS基準での開示をされました。私も有報・短信とかを見ましたが、販売収益認識のところに関して、出荷基準を着荷基準に変更する必要があったという注記が記載されておりました。その影響額は、その会社さん連結ベースで確か400億だか500億くらいの売り上げだったかと思いますが、出荷基準を着荷基準に変更したことによる影響額は6000万円程度でしたと注記されています。
おそらくどういう作業をされたかというと、販売の請求書などいろいろな証憑類を明細単位に出荷基準を着荷基準に変えるために取引を洗い出したと思います。出荷時から着荷までのリードタイムが、推測ですが5日〜10日ぐらいだったんでしょうね。それを前提に取引を洗い出してみると6000万円分くらいのずれがあります。そのため、恐らくですね、来期もう一回決算をやると同じくらいの額の(そんなに急に取引規模が変わったり取引の形態が変わらなければという前提がありますけれども、)同じような期ずれが生じますので、年間を通して売り上げで見ると、収益の金額としてあまり変わらないという一つの例だと思います。

出席者の方から商社において、手数料のみが収益として認識される件について質問がありました。

近藤氏:商社などで、手数料だけが売り上げになってしまうことについては、収益の金額、認識、測定、金額へのインパクトというのは大きいですね。
実際、日本の総合商社が昔日本基準で開示していたのをですね米国基準の開示に直して、SEC基準で開示している総合商社が何社かあります。売り上げの開示を取扱額の総額から手数料に変えたタイミングがありました。確か4-5年前だったと思うんですけど、その時に例えば三菱商事とか三井物産がですね取り扱い高10数兆円という開示をしていたんですが、それを純額に変えると、3兆とか4兆程度の金額になりました。
開示書類上どうなっているかと言うと、両方の数字を売上高と収益と言う項目でそれぞれ併記しています。

リスク管理などに関して石島先生から。

石島先生:収益認識との関係から言うと、先ほども契約資産と契約負債の話がありましたが、これは、受注時点からのリスク管理などに繋がるところがあると思います。受注のシステムはかなり早い時点から情報を保持していますが、その情報が今までは会計処理に繋がっていなかったわけです。ただし、会計処理にその情報を単に繋げれば良いというだけではなく、今までどこまできっちりデータを入れていたかが重要です。会計処理するということになると今までよりかなり精度を上げる必要があります。
そして早い時点から経営管理に有用な情報をきちんと捕捉する、すなわち、経営管理やリスク管理との繋がりという意味で効果的な面があるのではないかと思います。

出席者からの、税法の対応や製造原価の把握を考えると、複数帳簿を持つべきか?組み替えで対応すべきかという質問に対しては。

近藤氏:そこを本当にどういう頻度でどういうタイミングでどういう粒度でその情報を把握したいかに依存すると思います。恐らく製造業で、日々原価管理、予実管理から、標準原価管理というのをされている場合は、どうしても補助簿レベルでの二重帳簿管理対応が必要だと思っています。
例えば先ほど減価償却の話も出ましたけど、税法の主旨からするといろんな会社で勝手に耐用年数を決められるのはたまったものではないので、IFRSが入ったからといって、今の税法基準が凄く大きく変わるとは、(石島先生の方がお詳しいかも知れませんが、)私は考えにくいと思っています。
固定資産の簿価とか減価償却費とかですね、あるいは減損とか減損の戻し入れなんかという考え方も入ってきますので、それはどうしても二重三重に管理していく必要があると思っています。
>決算の時に両方の数字を把握したいということであれば、会計上の組み替えみたいな小手先のことで対応出来るかもしれないですが、原価管理、標準原価の管理等も含めて日々数字を把握する必要があれば、二重三重に管理をしていく必要があり、それにはシステム的なサポートが必要になると思います。

森貞氏:一点、補足というか、私見レベルなのですが、IFRS導入を1つの契機として、税務の考え方がドラスティックに変わることもありえると考えられます。実際に2010年6月15日付で、公認会計士協会から租税調査会研究報告第20号「会計基準のコンバージェンスと確定決算主義」が公表され、上場企業における損金経理要件の見直しが提言されています。しかしながら現状は、申し上げたとおり、残念ながら二重、三重で管理せざるを得ないのかなと思います。

石島先生:税法改正で柔軟に対応してくれるように期待をしたいんですが、なかなか難しいかも知れません。情報を全て二重三重に持つのではなく、どれかベースになるものを決めてあとは調整計算で対応できるような仕組みも必要じゃないかと思います。そういう意味では、どちらかというと日本基準の単体決算の方がベースでそれを連結の時だけIFRSベースに調整する方法がよく言われるのですが、逆にIFRSをベースにした単体の決算を会社法決算のために日本基準に調整するといういわば逆進の方法もありうるんじゃないかと思います。その方が経営管理のための情報という意味では一貫性があると思います。現実にそういうことがスムーズに出来るかどうかというのは非常に難しいところがありますが。

これ以外にも予定時間をオーバーして広く議論は行われました。

第1回セミナー&ワークショップ開催概要

開催日:

8月23日(月)
場所:
オージス総研田町オフィス 8F Alabama&Georgia
講師:
プライマル株式会社 取締役副社長
CTO 公認会計士 森貞 裕文 氏
内容:
? 15:00〜15:05
ご挨拶
? 15:05〜16:05
第一部 セミナー 「IFRS総論(+XBRL)」
? 16:15〜17:30
第二部 ワークショップ 「セミナー内容を中心とした質問やディスカッション」
? 18:00〜
第三部 懇親会 (有志)

? 第1回目概要 IFRS総論(+XBRL)

IFRSのキーワードといたしまして、「原則主義」、「資産負債アプローチ」というものを耳にされたことがある方も多いことと思います。
この2つを軸としまして、今までの日本の会計と比較して何が変わってゆくのか、概括的にご説明し、みなさまとともに考えたいと思います。
また、IFRSはXBRL(eXtensible Business Reporting Language)という事業報告用の標準的なXML規格によって財務諸表・注記等を表現しており、今後、当XBRL規格に基づいてIFRS財務諸表・注記等データが提出・流通してゆくものと考えられます。

日本国内のEDINET,TDNet等でも既にXBRL規格が採用され流通しているのでよくご存じの方も多いかもしれませんが、IFRSのXBRLは基本的な部分では同一であるものの、設計思想等が若干異なりますので、このあたりもエッセンスを概括的にお話出来ればと思っております。ので、このあたりもエッセンスを概括的にお話出来ればと思っております。


森貞 裕文氏 プロファイル

監査法人トーマツにて小売・メーカー・商社・金融機関の監査業務等に従事。
ITベンチャーに転職後、大規模なWebアプリケーションシステムの開発の中心メンバーとして活躍。
Java,C#などのオブジェクト指向言語・XML関連技術(XBRL,XML Schema,XSLT,XSL-FO等)を用いたシステム設計・開発に強みを持つ。
2006年11月プライマル株式会社に参加と同時に取締役副社長に就任。
2010年5月 一般社団法人XBRL Japan理事就任。
2010年8月 日本公認会計士協会 XBRL対応専門委員就任。
森貞 裕文氏


今後の開催予定 タイトル(内容および時期は変更する場合があります。)
第2回 2010年10月
IFRS 固定資産
第3回2010年12月
IFRSの収益認識
第4回2011年2月 グループ経営管理(連結会計)


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