IFRSコミュニティ ワークショップ
第4回IFRSコミュニティワークショップ誌上公開(一部)
ビジネスイノベーションセンター

 お客様を招待して、セミナーおよびワークショップを行いました。ワークショップの内容の一部を公開致します。

 講師の近藤 誠 氏(プライマル株式会社 代表取締役 ITCPA常務理事)と共に、連結会計について議論を行いました。

○ 連結におけるIFRS対応について次のような議論がありました。
 IFRSのため、連結で修正仕訳を入れるにしても、日々の細かなデータの積み上げになるので裏で何かしらデータを抜いておく必要があります。この仕組みが難しければ、毎日仕訳データレベルで押さえる必要があるのではないでしょうか?
 一方、昔ネスレさんの事例を聞いたとき、二重帳簿にしているが、日本の仕訳は月末に一括して入れているというお話もありました。

近藤氏:結局、連結会計システム上で修正すると言っても、エビデンスというか根拠データは各業務システムのレベルで、何らかの形で保持する必要があります。それが業務システムの外のEXCELなのか、別のシステムなのか、どちらにしろ何らかの形で保持していなくてはいけません。そのため、3段階のアプローチ※1の線引きも中々難しくなります。先ほどのネスレさんの話ではないですが、単体会計の、月次決算にて対応しているケースは、この3段階だと2番目になるのかも知れないですね。その辺の切り分けがなかなか難しくて、ごっちゃに議論されているために、話があまり噛み合ってないところもあるんじゃないかと思います。
 二重帳簿とか完全二重帳簿などの言葉に関しても、話している方の定義が異なるので話が噛み合わないという状況になるのではないかと思います。

※1 次の3段階
1.完全複数帳簿対応(グループ各社業務システムレベルでの対応)
2.グループ各社単体財務会計(組替)対応
3.連結決算組替対応

○ 欧米の企業だと修正仕訳で初年度は何とか乗り切ったんですが、2年目3年目になって、過年度修正が入ってきて、やはり二重帳簿にしますという話を聞いたことがあります。
 過年度遡及修正は結構あるものでしょうか?

近藤氏:昨今の訂正報告書の提出量を見ていると、電子開示になってからかなり増えたようで、決算スケジュールの短縮なども影響しているのでしょう。
 とはいえ、過年度遡及修正の対象となる誤謬や会計方針の変更が、各社でいったいどれくらいの頻度で発生するかというと、さほど多いとは言えず、このためだけに多額のコストをかけて業務システムまで含めて完全二重帳簿対応するかどうかについては意見が分かれるところだと思います。過年度遡及修正は開示の要請ですから、誤謬や会計方針の変更に伴う金額調整は、例えばシステム外のExcel等で計算・資料作成をしておいて、会計システム上は期間データをコピーする等した上で、調整仕訳を投入して繰越処理を経て開示対象期間に係る数値を算出する、といったプロセスになるのではないでしょうか。ここは各会計システムでもポリシーが分かれるところかもしれません。

○ 業務システム、財務会計システム、管理会計システムの連携について。

近藤氏:そうですね。最近SAPとかEBSとか洋物のERPが普及したお陰なのかもしれないのですけれども、業務システム、財務会計、単体の財務会計システム、連結会計システム、開示システムのデータ連携が、この10年くらいで相当進化したんじゃないかと思います。
 それでもやっぱり何というか、連携はしているんですけれども疎結合が好まれるという印象を持っています。
 例えば、ある業務システム上の明細数値を修正することで、連結ベースの開示数値まで自動的に変わっちゃっていいのかというと、やはり実務を考えるとそこまではしてくれるな、というユーザーさんが圧倒的に多いと感じています。業務システムから月次のバッチや日次バッチで財務会計側に仕訳データを流して、財務会計システム上で好きなようにいじることが出来る方が都合が良いですし、個別会計と連結会計の関係においても同様で、連結会計側にデータを流してから連結会計の世界で各社数値をいじることが出来ないと実務上不便だと思います。なんでそうなるのか良く分からないところもあるんですが、今までの実務慣行なんでしょう。
 二重入力はしたくないし、転記ミスは嫌だけれども、疎結合であって欲しいという。それはいろんな制度の問題もあるのだと思います。税務用の数値も作らないといけないですし、会社法も金商法も・・・、あるいは管理会計上の数値はPLで計上くらいまでしか見ないとか、そこを全部制度会計を前提にガチガチに連動させてしまっているとどうしても取り回しがしづらいので、どこかで疎結合的に切れていて欲しい。

○ コンバージェンスを追っているよりも、いっそIFRSを任意適用してしまった方が楽ということはないですか?

近藤氏:そうですね。そんな風におっしゃる会社さんもいらっしゃいます。毎年毎年、マイナーチェンジみたいな事をしてシステムに少しずつ手を入れていくよりも、いっそ工数を1年掛けてIFRS任意適用への対応を一発でやってしまったほうが楽なんじゃないかと考える会社さんもあるのではないかと。ただ、そこは残念ながらそういう風にいかないのは、2012年くらいにIFRS自体が次世代のIFRSになることで、再度見直しが必要となるため、今はタイミングとしては実はかなり難しいのかなと思っています。

近藤氏: 2011年3月期にIFRSを早期適用する会社がもっとあっても良かったと思うんですけれども、某大手商社を含めてほんの一部ですよね、本当にその数社くらいで済んでしまうんじゃないかなと思います。その一つの理由として、今後控えているIFRS自体の改訂にあると思います。自分が事業会社の経理・財務の担当者で、IFRS導入について意思決定する立場であれば、そこまで待った方がいいよ、と考えるかもしれないです。

○ 財管一致に関して

近藤氏:例えば、製造業の会社で品種別の管理等を行うため、セグメントが50とか60に分れているものを前提に財管理一致でやろうとすると、日々の入力業務がとんでもなく大変になってしまうので、結局、日々の入力業務は制度開示のセグメントのメッシュでやって、管理は後割りで一定の配布基準を決めてやるとか、まとめて勘定科目に入れて配布基準で後でセグメント管理の数値を作っていく。その合計値が制度開示の数値と別にあっていなくてもいいわけです。
 当初、財管一致の会計業務・システムを構築する、という目標を掲げてスタートしたプロジェクトも、結局現場レベルの日々の業務を鑑みると、ちょっと難しいね、という判断が下されて、ある程度のデータ共有は行うが、完全な財管一致はやっぱり難しいね、というところに落ち着くものが多いのではないかと思います。

これ以外にも広く、深く、議論は行われました。

第3回セミナー&ワークショップ開催概要

開催日:

2月17日(木)
場所:
オージス総研田町オフィス 8F Alabama&Georgia
講師:
プライマル株式会社 代表取締役
ITCPA常務理事
公認会計士 近藤 誠 氏
内容:
? 15:00〜15:05
ご挨拶
? 15:05〜16:05
第一部 セミナー ? 「IFRSとグループ経営管理(連結会計)」
? 16:15〜17:30
第二部 ワークショップ 「セミナー内容を中心とした質問やディスカッション」
? 17:45〜
第三部 懇親会

第4回目概要 「IFRSとグループ経営管理(連結会計)」

 IFRSを導入するにあたって、導入時あるいは導入後の情報システムのあり方について、グループ経営管理(連結会計)という視点で考察してまいります。
 巷では、IFRSを導入するにあたって3段階のアプローチがある、という解説が定着しつつあります。1つ目は連結決算における組み替え・調整対応、2つ目は単体決算における組み替え・調整対応、3つ目は個別業務にまで踏み込んだマルチGAAP対応です。今回はそれぞれの対応アプローチについて、グループ経営管理という視点から、特徴やメリット・デメリットを解説してまいります。


近藤 誠氏 プロファイル

1998年〜2002年 監査法人トーマツにて、メーカー・小売・金融機関の監査業務やデューデリジェンス業務等に従事。監査チーム内での利用を目的としたExcel/Access VBAベースの監査ツールの開発を行う等、監査業務のIT化を推進。(2002年は外部協力者として)

2001年〜2006年 某ITベンチャーにてシステムエンジニアとして勤務し、C#.NET、Java、VB(A)等のプログラミング言語や SQLServer等のRDBMSを利用した大規模システムの構築業務に従事。企画・設計・実装から運用サポートまで幅広く実務経験を積み、プロジェクトマネジメントのノウハウも身につける。

2006年6月〜 プライマル株式会社を設立し、代表取締役に就任。会計分野に特化し、パッケージソフトウェアの開発・販売及び保守サポート、テーラーメイドのシステム構築、及びそれらに付随する業務・システム両面からのコンサルティングサービスを提供する。

近藤 誠氏


今後の開催予定 タイトル(内容および時期は変更する場合があります。)
開催日未定
連結、固定資産など、詳細未定


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