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「デザイン思考 その8 -プロトタイプ-」
株式会社オージス総研

2014年02月号
  • 「デザイン思考 その8 -プロトタイプ-」
株式会社オージス総研   竹政 昭利

 スタンフォード大学デザインスクール「d.school」※1では、デザイン思考のステップとして、"共感"、"問題定義"、"創造"、"プロトタイプ"、"テスト"の5つを定義しています。前回は"創造"のステップについて説明しました。今回は、"プロトタイプ"のステップについて見ていきます。

 "プロトタイプ"は解決策のアイディアを検証するために、実際に目で見て、手で触れることができるものを作ります。
 この"プロトタイプ"は、システム開発などで利用されるプロトタイプ(試作品)とは意味合いが少し異なります。一般にシステム開発では、プロトタイプ(試作品)とはある程度動かしてみせるプログラムを指します。エラー処理や例外処理などは省くにしても、主要な部分は動くようにプログラムを作成する必要があります。そのため、プロトタイプ(試作品)をつくるにもそれなりの時間がかかります。
 これに対して、デザイン思考のアイディアを検証する"プロトタイプ"ではそれほど時間をかけて手の込んだものを作る訳ではありません。初期のアイディアを検証する"プロトタイプ"ほど素早く作ります。写真は、10分~20分で作成したものです。このような簡素なものでも、アイディアを頭で考えているときには良いと思っていたものが、あまり効果的でないとわかったり、改善点が見つかったりするものです。作り上げた"プロトタイプ"は、手にとって見てもらえるものになっている事が重要です。
 けれども"プロトタイプ"は見た目、機能などすべてを備える必要はありません。

 ある場合は、見た目が重要かもしれません。写真1は靴です。実際に履くことはできませんが、見て手に取ることで、ユーザはそれが良いのか悪いのかイメージを膨らますことができます。
  また、見た目より機能が重要な場合もあります。写真2はサイコロを振って、休肝日を決めるものです。そのサイコロの目によって「今週は月、火」などと曜日を決定します。実際にサイコロを振って試すことで、スムースにいくかどうかを確かめます。
  サッカーやバスケットボールでは、作戦ボードを使用して、試合の大局を見て、戦術を考えます。同様に、事業などの全体像や、大きな仕組みなどを表現したいときには、写真3のように、ビジネスのプロセスを表現した“プロトタイプ”が良いでしょう。

 
写真1:
見た目を重視したプロトタイプの例
spacer 写真2:
機能を重視したプロトタイプの例
spacer 写真3:
プロセスを重視したプロトタイプの例
見た目を重視したプロトタイプの例 spacer 機能を重視したプロトタイプの例 spacer プロセスを重視したプロトタイプの例

 

 "プロトタイプ"作成に慣れていない人は、"プロトタイプ"を作成する必要があるのか疑問を持つかもしれません。紙で作った程度のものでは、頭の中で考えたものとたいして変わらないと思うのでしょう。しかし、次の"テスト"のステップでは、現実の使用をイメージして、寸劇を行います。この寸劇により、ユーザが本当に望んでいるものになっているかどうかを確かめることができます。"プロトタイプ"では、その寸劇用の小道具を作ると考えても良いでしょう。

プロトタイプ作成に対する抵抗
図1 プロトタイプ作成に対する抵抗

 "プロトタイプ"は、デザイン思考のステップの中でも重要です。早い段階で、ユーザに試してもらい、"素早く失敗する"ことで、すぐ改善したりまた別のアイディアを考え試すことができます。
 IT技術者は、設計書とプログラムを作ってきたので、実際に目に見えるものを作るのには慣れていないかもしれません。しかし、不確実性が高い分野においては、できるだけ早い段階において、解決案をユーザが見える形にまとめあげて実際に試してみることが重要です。

※1 スタンフォード大学デザインスクール(「d.school(Institute of Design at Stanford)」)
http://dschool.stanford.edu/

*本Webマガジンの内容は執筆者個人の見解に基づいており、株式会社オージス総研およびさくら情報システム株式会社、株式会社宇部情報システムのいずれの見解を示すものでもありません。

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