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「【DATA】ビジネスにおけるIoTとデータ分析を考える」
株式会社オージス総研

2016年11月号
  • 「【DATA】ビジネスにおけるIoTとデータ分析を考える」
株式会社オージス総研   小林 祐介

■IoTとデータ分析の位置付け

人間の身体に例えると、IoTは外からの刺激を感知し、それに応じて体を動かすための末梢神経であると考えることができます。企業にとって、この末梢神経は新しく手に入る機能であり、自らの活動範囲を広げることができることを意味します。

もう少し具体的なIoTの構造を示します。デバイス側でデータを取得し、ネットワークを通じて送り、エッジ(※1)やクラウドにそのデータを蓄積します。そして蓄積したデータは、事前に作成したアルゴリズムで処理し、その処理結果を人やデバイスにフィードバックします。さらにそのフィードバックを受けて、人やデバイスが動きを変えることにより業務が改善され、ビジネス上の価値が生まれるわけです。この具体的な流れを末梢神経の例に対応させると、データを蓄積する部分や作成するアルゴリズムは、企業の中枢神経の一部と言えるでしょう。

※1. クラウドコンピューティングに対して、デバイスの近くでコンピューティング処理をすること

IoTの構造
図 1. IoTの構造

そしてデータ分析は、これらのアルゴリズムを作成するために必要な作業となります。アルゴリズムの作成については、ディープラーニングの登場によって、人工知能技術群(AI)に光が当たっていますので、ここで少し掘り下げておきます。今後の人工知能技術群(AI)の急速な進展によって、顧客のさまざまなビジネス環境や業務内容を踏まえて、あらゆるアルゴリズムが自動的に作成される世界が到来する可能性を否定することはできませんが、現時点では専門家(データサイエンティスト)によるアルゴリズムの作成およびチューニングに一日の長があると言えるでしょう。この理由は、業務に必要となる予測の的中率と補足率について、現時点では専門家のほうが優れていることが多いからです。加えて、なぜそのような予測になるのかを現場に説明できる点も大きいようです。もちろん、アルゴリズムの作成にかかる時間や手間については、人工知能群(AI)を使ったほうが効率的です。

また用語を補足しておくと、人工知能技術群(AI)のざっくりとした包含関係は、【人工知能技術群(AI)】>【機械学習、他いろいろ】>【ニューラルネットワーク、他いろいろ】>【ディープラーニング、他いろいろ】となります。もちろん専門家によるアルゴリズムの作成においても、これらの技術が検討・利用されるケースがあります。

 人工知能技術群(AI)の包含関係
図 2. 人工知能技術群(AI)の包含関係

■ビジネスに貢献するIoT利活用を進めるためには

IoTは手段ですので、まずはビジネス上の狙いを明確にすることが必須です。たとえば、「製品を販売した後のアフターサービスを強化する」という目的があったとします。競合と差別化するために新しいサービスを開発するのか、先行している競合に後れを取らないように同種のサービスを用意するのか、といった取り組みの方向性を決める必要があります。また、取り組みのファーストステップとして、外部環境の分析を含めたサービスコンセプトの検討を行う必要があるでしょう。

そのうえで、情報通信白書 ICT白書(平成27年度)にも記載されているように、IoTの実現に向けたアプローチとして、「ユースケースごとの議論」と「技術分野ごとの議論」に進むのがよいでしょう。

 出典:情報通信白書 ICT白書(平成27年度)
※2. 出典:情報通信白書 ICT白書(平成27年度)

次に、IoTアーキテクチャとデータ分析のフィージビリティ・スタディを行う必要があります。これらのフィージビリティ・スタディに共通するポイントの1つは、収集データです。「何のデータを」、「いつ」、「どれくらいのボリューム」で収集できるのかといったような要素が、フィージビリティ・スタディに影響を与えることになるでしょう。また、これらの2つのフィージビリティ・スタディ以外に必要なチェックとしては、ビジネスとして成立するか、業務に対して十分な貢献が期待できるかというビジネスのフィージビリティ・スタディがあります。

ビジネスに貢献するIoT利活用を強力に推進するためには、全体のロードマップを策定し、これら3つのフィージビリティ・スタディを適切なタイミングでしっかり実施することが重要です。

3つのフィージビリティ・スタディ
図 3. 3つのフィージビリティ・スタディ

*本Webマガジンの内容は執筆者個人の見解に基づいており、株式会社オージス総研およびさくら情報システム株式会社、株式会社宇部情報システムのいずれの見解を示すものでもありません。

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