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「サービスデザイン思考と組織開発」
株式会社オージス総研

2017年02月号
  • 「サービスデザイン思考と組織開発」
株式会社オージス総研   竹政 昭利

1.はじめに

サービスデザインにおける顧客経験価値の考察」で、『新訳 経験経済』※1を参考に、顧客経験価値について見ていきました。この書籍では、図1のように、経済価値を、コモディティ、製品、サービス、経験、変革の5つに分けています。

経済価値の進展の最終形態
図1. 経済価値の進展の最終形態
出典:『新訳 経験経済』B.Joseph Pine Ⅱ James H.Gilmore P178

この4段階目の「経験」は、「顧客を魅了し、サービスを思い出に残る出来事に変える」です。
単に製品やサービスを提供しているだけではコモディティ化してしまいます。
例えば、単なる遊園地として遊具を備えて提供するだけでなく、ディズニーランドの「エレクトリカルパレード」やユニバーサル・スタジオ・ジャパンの「ウィザーディング・ワールド・オブ・ハリー・ポッター」は、「経験」を提供しています。
この「経験」を考案する上で、「サービスデザイン思考」が必要になります。単に製品やサービスを提供するだけではなく、「経験」を提供することで、顧客は他にはない満足感を得られるわけです。
しかし、「経験」といえども、ずっと同じものを提供し続けていれば、それもまたコモディティ化してしまいます。
そのため、5段階目の「変革」することで「経験」を連続的に提供する必要があります。
この段階になると、単なる手法の導入だけは足りません。サービスデザイン思考の手法を導入して、新しい製品やサービスを導入することに成功しても、部分的、あるいは一時的なものにとどまります。永続的にイノベーティブな商品やサービスの提供を行うには、組織の体質や構造を変える必要があります。この組織の体質や構造を変えるには、対話型組織開発が有効ではないかと思います。

2.対話型組織開発

組織が持続するには、外部環境の変化に対して対応していく必要があります。組織開発とは行動科学の知識を用いて、組織の変革を行うことを言います。組織開発には、診断型組織開発と対話型組織開発があります。
診断型組織開発は外部のコンサルタントなどが、客観的に診断をして、問題点を改善していきます。それに対して、対話型組織開発は、外部のコンサルタントが判断するのではなく、自分たちの主観で判断します。
それぞれの組織でその状況は異なります。そのそれぞれの組織における最善策を探すことが必要になる訳です。
対話型組織開発には、ワールドカフェ、アプリシエイティブ・インクワイアリー (AI) 、オープン・スペース・テクノロジー(OST)などのツール(手法)があり、必要に応じこれらを組み合わせて使っていきます。しかし重要なのは、ツール(手法)手法の裏にあるマインドセットです。「対話型組織開発はマインドセットであって、手法ではない」と言われます。

3.なぜ、サービスデザイン思考、対話型組織開発が必要なのか。

問題を、Simple(単純な問題)、 Complicated(煩雑な問題)、Complex(複雑な問題)、 Caostic(カオス)の4つで考えるとしましょう。SimpleやComplicatedな問題ならば、今までの蓄積でベストプラクティスが存在していたり、専門家に任せたりすることで問題を解決できます。
しかし、Complexな問題だと、不確実性が高く、予測が困難なため、ある程度の方向性しか把握できないため、試行錯誤で行っていく必要があります。
昨今はこのComplexな問題に直面する場面が多くなってきています。その対処方法として、製品、サービスの開発では、サービスデザイン思考が注目されており、組織開発においては、対話型組織開発が注目されています。

4.まとめ

不確実性が高く、顧客自身も、どのような製品やサービスが良いのかわかっていません。
このような場合には、定型的なやり方では解決するのは難しくなります。
解決手法を専門家だけが考えるのではなく、専門家と顧客がいっしょになって考えていく必要があります。このような場合に、サービスデザイン思考、対話型組織開発がうまく作用すると思います。

対話型組織開発は、マインドセットが重要でありいくつかのツールを組み合わせます。サービスデザイン思考もエスノグラフィ、カスタマージャーニーマップなどいくつかのツール(手法)を必要に応じて組み合わせるという点で似ています。サービスデザイン思考もその意味でマインドセットが重要になります。
サービスデザイン思考は、新しい製品やサービスを開発するのに使用します。
しかし、サービスデザイン思考がうまく働くためには、組織という土壌が耕されている必要があります。それには対話型組織開発が有効です。

*本Webマガジンの内容は執筆者個人の見解に基づいており、株式会社オージス総研およびさくら情報システム株式会社、株式会社宇部情報システムのいずれの見解を示すものでもありません。

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