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「<Global Businessを通して得た>ビジネス英語の知見(1)」

2018.04.26 株式会社オージス総研  乾 昌弘

1.はじめに

(1)私は、決して英語の専門家でも英語が得意でもありません。また、英語を流暢に話せる能力もありません。私の頭は理系に偏っているためか、理屈を付けなければ英語を把握することができません。
(2)ここでは、Global Businessを通して得たビジネス英語についてお話しをしたいと思います。但し、ここで書いた内容が絶対的に正しいかの保証はありませんので、「ああ、そう」と軽い気持ちで読んでいただければと思います。
(Global Businessについては、以下も参考こと)
「AIなどを通じて経験したGlobal Business」
(3)今回は特に、misunderstandingsについて説明します。
 文末の「参考文献」も参考にしながら執筆しました。

2.概要

2-1.自分の好みの先生を設定する

(1)Eテレでよく登場する大西泰斗(ひろと)さんの「ネイティブスピーカ感覚の」独特の文法論がすばらしい。英会話では考える時間があまりないため「ストックフレーズ」を増やしていくことが重要とも言われている。
(2)以前から、Eテレの英語番組を断続的に見ている。教育テレビ時代とは違うおもしろさがある。

2-2.ビジネス英語のポイント

(1)〈外資系企業でやっかいな社員は?〉以前新聞に書いてあった記事によると――
(A) 一番優秀な社員は仕事と英語ができる人。(B) その次は仕事はできるが英語ができない人。(C) 一番やっかいな社員は英語ができて仕事ができない人。
 ○外国へ行って、ビジネスをぶち壊してくるそうである。外資系企業の社員でも英語のできない人は結構いると思うので、安心した方がよいと思う。

Business Skills の方が重要
図1.Business Skills の方が重要

(2)日本人以外のnon-native speakersは、英語が通じないと相手が悪いと思う。日本人も自信を持って話すべきです。
(3)企業がTOEICの高得点者(900点以上)を採用しても「まったく英語が話せない」場合があった。
TOEICには、Speakingを直接評価する質問・課題がなかったからである。
(4)通じるかどうかという点では「文法より発音の方が大事」という人がいる。
(5)ストックフレーズと関係するが「典型的な英文を何回も口に出して復唱し、暗記すれば、うまくいく」という人もいる。
(6)「意思決定は早くした方がよい」はわかっていても、難しい。
  あいまいな表現で誤解を与えることが一番ヤバい。
 "I can't give you an immediate answer. I will consult with the manager."
  (マネージャと相談する)と言った方がよい。
 参考:"I will consult with persons concerned." (関係者と相談します)

3.英語で気を付けるべきこと

3-1.相手が嫌な思いをする可能性

(1)随分以前の話になりますが、同じチームの人が英文メールでhad betterを使ったので「ビジネスでは使わない方がよい」とアドバイスしました。
 ○「~する方がよい」はshouldを使う方がよく、had betterは、かなりきつい表現です。
 ○例えば、コンビニ(drug store)の前で深夜、若者がたむろっている時、巡査が言います。"You had better go!"

should と had better の関係
図2.should と had better の関係

(2)「近畿は使わない方がよい」Kinky:変態
 ちなみに近畿大学は"Kinki Univ."から "Kindai Univ."に変更になりました。

(3)「Please は丁寧な表現ではない」
 ○"Please"は命令語を少し和らげた表現で、丁寧な表現ではありません。
 ○"Would you~?" " Could you~?" "I would appreciate if you ~" などの表現がよいかと思います。
 ○ホテルでは過去形で訊いてくる――>丁寧表現
  例: "How long did you want to stay, Sir"
  昔、なぜ過去形なのかわかず、戸惑いながら答えていました。

(4)「~ingと現在形の違い」
 ○「~ing」は、現在目の前で起こっている、頭の中で現実を想像している、いつか終了する。「現在形」は、習慣、性質や定常状態を表しています。
 ○"You are being rude."は、「そんなことやったら失礼だよ(一過性)」
"You are rude."は、「あなたは不作法な人だ(性格)」――> きつ過ぎる。
 ○アメリカ人によると「"You are stupid."は、人格を否定するので言ってはいけない。
言うとすれば "Your action was stupid."の方がよい」ということでした。

3-2.相手が誤解する可能性

(1)「Could は基本的に可能性を表す」
 "I could do that." は「やろうと思えば、できたはず」という可能性を表します。「それができた」と言いたい場合は、"I was able to do that."
 can とbe able toは、同じ意味になる時もありますが、使い分けが必要になる時もあります。実際に成し遂げた場合、be able toが無難です。
 ○Couldなどの過去形は、過去表現以外に「控えめ(可能性が少ない場合)、丁寧、現実ではない(仮定法)」などにも用いられます。

過去形の意味
図3.過去形の意味

(2)「自分に過失がない時は、I'm sorry. を使うべきではない
  "Excuse me." あるいは "I'm afraid I can't."
 ※飛行機が遅れて待たした場合:
  "Unfortunately, the airplane delayed. Thank you for waiting."
  (どうしても謝りたい場合はさらに)
  "If I had come here by earlier flight, I would not be late. So I'm sorry."
  (でしょうか?)     注:仮定法過去完了+仮定法過去
 ※交通事故(米国)の場合: 「原則として」"I'm sorry." と言わない。必ず警察を呼ぶ。

日本人はSorry を多用する。
図4.日本人はSorry を多用する。


(3)「否定疑問文や"Do you mind~?" に注意」
 ○レストランで一人食事をしていた時、wait person に "Don't you need more French fries?" と訊かれて、いらないので "Yes." と答えると、ドサァと置いていかれた。その後、注意するようにしています。
 ○"Do you mind~?" と訊かれたら、通常は "Not at all." か "No. I don't." と答えます。
 ○アメリカ人からのアドバイスは「Yes/Noを言わずに、完全な文を言えばよい」というものでした。かなりの努力が必要と思われますが。

(4)「Maybe を多用しない」
 Maybe は5分5分か、もう少し確率が低いです。同じチームの人が使ったところ、アメリカ人から英語で「どっちやねん」と言われました。
 確率の高いprobably、most likelyなど他の副詞も使った方がよいと思います。

Maybe を多用しない
図5.Maybe を多用しない


(5)「warpはワープ?」
 ○画像理解の研究開発を米国のベンチャー企業と共同でやっていた時のことです。私が作成した仕様書を説明して理解してもらったのですが、一点だけ「さっぱりわからない」と言われました。
 ○正方形を菱形に「変形」するのを、間違って"reform"と表現しました。正しくは"warp"だそうです。"reform"は不良を更正させるイメージだそうです。
 ○日本語で「ワープ」と言いますが、英語では「オ」に近い発音です。下記の発音は"war"の部分は同じなので注意が必要です。(アメリカ人によるとフランス語に由来する発音だそうです)
  war, warm, warp, warning, warranty

(6)「ASAPimmediately の使い分け」
 私もメールでよく「ASAP (as soon as possible)」と書きましたが「あなたの御都合の良い時で速やかに」という意味のようです。緊急時は「immediately」の方がよさそうです。

(7)その他
 できない時に "It's difficult." と言うと「がんばればできる」と誤解されます。はっきりと "No." と答えましょう。

3-3.自分が誤解する可能性

(1)「日本語的な発音に惑わされない」
 ○acceptは日本語の発音では「アクセプト」ですが、英語の発音はexceptに近いです。実際に日本人がexceptと誤解して「おかしい」と言ったので、私が訂正してあげたことがあります。
 ○early adopter を日本語でも「アーリーアダプター」と言いますが、adaptadoptの発音も近いので、注意が必要です。

日本語的な発音に惑わされない
図6.日本語的な発音に惑わされない

(2)「学校で習った内容と変化していること」
 ○仮定法過去の場合「I were, he were」と習いましたが、「was」の方が普通のようです。
 ○come, goの後に動詞の原型が来る場合があります。「Come see me.」「Let's go eat out.」
 ○関係代名詞「which, who」は「that」を使う方が普通と言われています。ただ、あるアメリカ人によると「人にthatを使うのは物扱いみたいで失礼だ」と言う意見もありました。
 ○筆記体を練習しましたが、わかるように書けばよいのです。

※この続きは次号で行います。

「参考文献」

1.大西泰斗講師、番組「ハートで感じる英文法」Eテレ、2005年
2.大西泰斗講師、ルース・マリー・ジャーマン、番組「仕事の基礎英語」Eテレ、2013年度~2016年度
3.大西泰斗&ポール・マクベイ、書籍「ネイティブの感覚がわかる英文法」NOVA BOOKS、2001年
4.マーク・ピーターセン、書籍「図解英文法入門」アスコム、2006年
5.記事「英文法-疑問解消クリニック」TOEIC friends May 2002

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