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「BSC(バランスト・スコアカード)を正しく理解する」
株式会社オージス総研

2010年07月号
  • 「BSC(バランスト・スコアカード)を正しく理解する」
株式会社オージス総研   宗平 順己

 今月から、BSCの連載を始めます。お話ししないといけないことがたくさんありますので、長期連載となりそうです。
 2006年度から隔年で米国で開催されるBSCのExecutive Conferenceに参加しています。私が参加した回のテーマは下記の通りです。残念ながら各回とも日本人の参加者は私一人でした。

2007 Executive Conference
PUTTING YOUR PEOPLE WHERE YOUR STRATEGY IS
~Creating a High-Performance Organization

2008 Business Performance Conference
Measure, Monitor & Manage What Matters

Palladium’s Business Performance Conference 2010
Measures That Matter,

 最終的には2010年5月に参加した内容をお伝えしたいのですが、その内容を正しく理解して頂くためには、事前にお話しいないといけないことがたくさんあります。というのもBSCの理論はどんどん進化していて、現在は第3世代にあると私は考えているのですが、いまだに第1世代のBSCをしかも誤って使っている人が多いからです。全く嘆かわしいことです。

第1世代のBSC

 私がバランスト・スコアカードに取り組み始めたのは、1998年度にJISA(社団法人情報サービス産業協会)の行政情報化委員会の部会長を務めてからです。この研究活動で、米国会計検査院(GAO)「エグゼクティブガイド~情報技術投資のパフォーマンス測定と成果の実証」(1997年9月)と米国国防総省(DOD)「投資としての情報技術(IT)管理とパフォーマンス測定についてのガイド」(1997年2月10日)を分析したのですが、その中でIT投資のパフォーマンス評価としてBSCを使うことが示されていました。
 ただし、このガイドラインには次の2つの視点が含まれていて、すぐには理解しがたいところがありました。

  1. 導入する情報システムやネットワークについての評価
  2. 情報システム部門や情報化人材についての評価

 そこで、特に1.の部分に特化して、当時専修大学の教授であった櫻井先生といっしょに、JISAの1999年度の事業で「バランスト・スコアカード活用による情報化投資評価の研究」というものに取り組みました。おそらく日本ではじめてBSCによるIT投資評価の実践方法をまとめたものだと思っています。
 この時に参照したのが、BSCの第一世代の理論と事例をとりまとめた「吉川武男訳『バランスト・スコアカード』生産性出版、1997年」です。
 第一世代のBSCの特徴は、以下の図に示されます。もし、この図をまだ使っている人がいれば、非常に古いBSCです。直ちに使うのをやめて下さい。また、そのコンサルタントとは話をしない方が良いです。

第一世代のBSCの特徴
図1 第一世代のBSCの特徴


 前述のJISAの研究では、最終的に以下の図を仕上げました。この図は戦略マップに良く似ていますが、見て頂ければわかるように、第1世代のBSCでは、指標間(事前指標と事後指標)の関係性を定義しています
 なお、この図でグレーの指標は、IT導入により直接目標達成に貢献ができる指標を示しています。システムを入れてどのような効果があるのか、BSCの構造の中で明示できるようにしています。

JISAの研究による第一世代のBSC
図2 JISAの研究による第一世代のBSC

 この第1世代のBSCは、実は作成しようとすると、非常に難易度が高いです。特に、指標間の因果関係を定義し始めると、あちこちに関係を定義したくなり、収集がつかなくなります。また、図も読解が難しく、戦略をわかりやすく伝えるという目的には使いづらいものでした。私もこの図を使って、クライアントの会社で今後の戦略を説明したのですが、皆途中で眠ってしまいかねない状況でした。コンサルタントや戦略担当者の自己満足の道具となっていたのかもしれません。
 このような反省から、第2世代のBSCが登場します。「キャプランとノートンの戦略バランスト・スコアカード」ロバート S・キャプラン、デビット P・ノートン著、 櫻井通晴 著(東洋経済新報社、2001年)がそれです。
 この内容については次号で説明しますが、戦略マネジメントツールとしてのBSCの基本体系が第2世代では整理されます。


*本Webマガジンの内容は執筆者個人の見解に基づいており、株式会社オージス総研およびさくら情報システム株式会社、株式会社宇部情報システムのいずれの見解を示すものでもありません。

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