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「トレーディング業務基礎(バイサイド編 第二回)」
株式会社オージス総研

2011年03月号
  • 「トレーディング業務基礎(バイサイド編 第二回)」
株式会社オージス総研   有間 博道

 前回は「トレーディング業務の概要、業務の流れ、目的、役割分担」について記述させて頂きました。 今回は、トレーディング業務の中で、非常に重要な項目である「執行コスト」について概要レベルで記述し、次回「執行コスト分析の具体的な内容について」記述したいと思います。
 尚、本文中、意見にわたる部分は、筆者の私見であることを予めお断りしておきます。。

1.執行コストの概要と分類

 執行コストとは、「証券売買を執行する際に生じるコスト」の事で、大きく直接コストと間接コストに分類されます。

執行コスト
図1 執行コスト

 前回、私が証券会社に入社した1980年代、バイサイドのトレーディング業務は、まだきちんと確立されていませんでしたと記述しました。執行コストについても、直接コストの管理はされていましたが、間接コストの管理はまだ殆どされていませんでした。直接コストについては、手数料が自由化されていなかったため、無駄な売買を行わず回転率を最適化する事が中心で、間接コストについては、大量取引のマーケットへのインパクトコストなどは、認識されていましたが、定量的な管理・分析は殆どされていませんでした。
 現在は、直接コスト、間接コストを統合的に管理・分析する事が「最良執行義務」を果たす上で、重要となっており、執行コストを技術的に抑制する仕組み・実務が発展してきています。

※最良執行:証券売買において、顧客の利益の最大化を目的とした適正な売買の執行の事。

2.執行コスト分析

 執行コストの分析は、市場の動向(株価などの変化)、出来の結果(価格、数量)、手数料、税金などから、ある一定の仮定に基づいて、直接コスト、間接コストを定量化し分析する事です。トレーディングを実施する前での分析、トレーディング実施後の分析で、大きく二つに分けることが出来ます。

  • 事前分析 : 執行計画(売買案件)のチェックために行う。
  • 事後分析 : 今後のトレードの改善のために行う。IS法、VWAP法などがある。

 執行コスト管理・分析は、それ自体が目的ではなく、あくまで運用パフォーマンスを最大化するために存在するものです。
 執行コスト分析を行うことにより、事前に執行コストを含めた売買計画のチェックを行い、事後で執行の問題点を認識し、次回以降の執行を改善することで、最終的に運用パフォーマンスの向上に寄与することが重要です。

※IS法:
ファンドマネージャが売買案件を策定してから、実際にファンドにそれが反映されるまでの差異(価格、数量など)を執行に要したコストとそれは、直接コスト、間接コストの各要素に分解し分析する手法。
※VWAP法(Volume Weighted Average Price Method):
市場で制約した取引全体の加重平均であるVAPWと比較し、その乖離幅を見て執行の良否を判定する手法。

 次回は、執行コスト分析の内容について、株式の場合の具体的な例(IS法、VWAP法の詳細)を基に記述したいと思います。

*本Webマガジンの内容は執筆者個人の見解に基づいており、株式会社オージス総研およびさくら情報システム株式会社、株式会社宇部情報システムのいずれの見解を示すものでもありません。

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