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「BPI:ビジネスプロセスインテリジェンス」
株式会社オージス総研

2011年05月号
  • 「BPI:ビジネスプロセスインテリジェンス」
株式会社オージス総研   宗平 順己

 今年度後半にビジネスパフォーマンスマネージメントの連載をする予定ですが、その前段として、BPI(ビジネスプロセスインテリジェンス)についてご紹介します。

1.はじめに 何のためのKPIか

 企業がKPIを用いてモニタリングするのは、様々な企業活動における意思決定をするためです。
 一般に企業活動は経営レベル、マネジメントレベル、業務レベルの3つのレイヤに分けられ、従って、意思決定ならびにそれをサポートするKPIも3つのレベルがあるべきです。(実際には、このレイヤが意識されていないケースが多いです。)
 まず経営レベル=戦略レベルの意思決定ですが、これは言うまでもなく経営陣の責務であり、組織全体の方向性を決定づける再決定のできない非常に重要なものです。次に、マネジメントレベルの意思決定は、戦略の枠組み内において、短期的かつ限定された業務範囲におけるコントロールをするためのものです。
 一方、業務レベルの意思決定は、個々の顧客、一つの取引、ビジネスプロセス上の一つのタスクに対してのみ影響を与えるなど一つ一つのビジネス価値は小さいのですが総量が多く、蓄積された場合の価値は大きなものとなります。そのため、本来は、ルール化され標準として一連のビジネスプロセスに組み込まれているべきものです。[1]
 なお、この意思決定のレイヤ構造は、これまでの連載でご紹介したようにバランスト・スコアカードにおいても戦略マップおよびBSCの垂直構造として表現されています。

2.BPI (Business Process Intelligence)

2.1. BPIとBPM

 以上のように、特にオペレーションレベルにおいては、ビジネスプロセスとの関係においてKPIを捉えることが必要となります。
 このKPIを捉えるためのツールとしてBIがあります。従来BIは蓄積された過去データを分析して傾向を読み取るというようにビジネスプロセスとは無関係に利用されてきたのですが、SOAやSOXを契機としたプロセス志向の企業の増加に伴い、ビジネスプロセスとの関連からBIを利活用するBPI(Business Process Intelligence)という取り組みが、BPM、BI双方の陣営からはじまっています。
 BPIですが、BIによってビジネスプロセスがうまく回っているかどうかを知るというのが最もベーシックな使い方です。一方、良くも悪くも想定外のパフォーマンスをビジネスプロセスが示した時、その原因を探り、さらにどういう手を打てば良いのかを考え、決定することができるようになります。また、その決定が正しかったのかどうかを改良されたビジネスプロセスのパフォーマンスをモニタすることで考察し、これがまた次の意思決定へとつながります。BPM(ビジネスプロセスマネジメント)を確実に組織の根付かせるためには、このようにBPIの取り組みが必然的に必要となります。

2.2. BI活用の4つのフェーズ

 前述のようにBI、ビジネスプロセス、意思決定の組み合わせを考えると、BI活用には図1に示す4つのフェーズがあります。[1]

BI活用の4つのフェーズ
図1 BI活用の4つのフェーズ

1)Business Intelligence
 レポーティングツールのレベルでは何が起きたのかを示す。

2)Descriptive analytics (Data mining)
 過去のデータを分析してその傾向を形式知化する。セグメンテーションやクラスタリング、関係性の発見などがそのアウトプットである。過去の失敗パターンの発見、ある商品はどの商品と同時に買われるのか、購買履歴やクレームなどに基づく顧客のセグメンテーションなどがその例である。これらの分析の結果ビジネスルールを見つけ出すことも多い。

3)Predictive analytics
 過去のデータに基づきある予測モデルを構築し、顧客の特定セグメントやサプライヤがある確率のもと将来どういう振る舞いを起こすのかを示す。将来に対する見通しを与え、予測スコアに基づき事象のランク付けを行う。

4)Optimization and simulation
 様々な制約条件化でのビジネス課題に対する最適シナリオを見つけるために最適化モデルを構築する。一般に複数の相反する要求事項を満足するための最適解をみつけるために数学的なアプローチを必要とする。

 以上の説明からは、高いステージのBIはマネジメントレベルで利用されるように考えられるかもしれませんが、成熟度の高い企業では、業務レベルにおいても利用されます。何でもマネージャに尋ねないと意思決定ができない企業と、現場に裁量権が渡され、現場レベルで顧客や取引先からの複雑な要求にも判断できる企業との差であると考えて頂ければと思います。

 次号では、BPIの適用事例をご紹介します。SaaSを使った面白いしくみもご紹介しますので、お楽しみにしておいてください。

(参考文献)
[1]James Taylor, “Intelligent, Automated Processes: Embedding Analytics in Decisions”, 2010 BPM and Workflow Handbook, 2010

*本Webマガジンの内容は執筆者個人の見解に基づいており、株式会社オージス総研およびさくら情報システム株式会社、株式会社宇部情報システムのいずれの見解を示すものでもありません。

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