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「UMLビジネスモデリングのご紹介」
株式会社オージス総研

2011年07月号
  • 「UMLビジネスモデリングのご紹介」
株式会社オージス総研   小山 孝司

 ちょうど一年前に「業務の見える化とは?」という拙稿の中で紹介をお約束していた「UMLビジネスモデリング」について、今回ご紹介させていただきます。

1.業務を可視化する視点

 UMLビジネスモデリングでは、いきなり業務フローを書き始めるのではなく、可視化したい業務を以下の視点で整理します。
 「どんな業務」を「どのように実現」するのかを表す「プロセスビュー」と、それを「誰が実施するのか」を表す「組織ビュー」については必ず作成します。「何のために」業務を行うのかを表す「目標ビュー」と「どこで」業務を行うのかを表す「ネットワークビュー」は必要に応じて作成します。

ビジネスを整理する視点
図 1 ビジネスを整理する視点

 この「プロセスビュー」と「組織ビュー」の作成においては、以下の視点で可視化を行います。「外部的視点」は、外部のお客さまや自部門以外に対して「どんな業務」(機能、サービス)を提供しているのかを表します。「内部的視点」は、その業務を「誰が」(静的視点)、「どのように」(動的視点)に業務を実施するのかを表します。
 可視化の手順としては、まず、可視化したい業務を「外部的視点」として明らかにし、次に選んだ業務について「内部的視点」を明らかにしてきます。

ビジネスを可視化する視点
図 2 ビジネスを可視化する視点

2.可視化する業務の選択

 業務改革や改善、業務統合のための比較、業務のマニュアル化などの目的のために業務可視化を行います。このため、まず、可視化する業務を選択します。
 現行業務の可視化であれば、現行組織の業務分掌や業務分類の小分類、中分類程度を選択することが現実的です。一方、将来業務を設計する際には、現行組織や業務分類にとらわれず、本来あるべき「業務の固まり」を選択すべきです。その際には、経済産業省の「経理・財務サービス・スキル スタンダード」やAPQCの「プロセス分類フレームワーク」などのリファレンスモデルを参照することをお勧めします。これらは、各業務のベストプラクティスであり、自社業務のやり方を改革するヒントになります。

3.業務に係る組織と資産の明確化

 次に、選択した業務を担当する部署や担当者(~さんという個人でなく、~担当者という役割)、業務で利用する伝票や帳票、台帳など、また、利用する情報システムを洗い出します。これらを、部署ごとの資産として、人的資産、情報資産、外部資産、財務資産、知的資産に分けて整理します。これにより以下のような組織ビューを作ります。業務を実行する資産が整理され、分かりやすくなります。

組織ビューの例
図 3 組織ビューの例

 さらに、静的視点を表す業務鳥瞰図を作成します。資産の中で、業務の実行を担うものとして担当者、情報システムおよび受益者を配置し、その間に何らかのやり取りがある場合には、線を引きます。伝票や台帳などの情報資産は図が煩雑になるので配置せず、次に作成する業務フローに登場させます。業務フローでは、ここに現れる登場人物等をレーン(縦線で区切られた領域)として表現します。

業務鳥瞰図の例
図 4 業務鳥瞰図の例

4.業務の実行手順の明確化

 最後に、動的視点としての業務フローを作成します。先程の業務鳥瞰図の登場人物やシステムをレーンとして配置し、それぞれのレーンに各担当が実施する作業項目を配置します。作業項目の間を実行する順に矢印でつなぎます。伝票や帳票、台帳など重要な情報資産を、作業項目が作成・更新または参照する形で表現します。作成・更新や参照も矢印で表しますが、色を変えるなどすると分かりやすくなります。
 システムのレーンの作業項目をまとめると、そのシステムの機能一覧とすることができます。
 作業項目の細かさ(粒度)は、目的に応じて変わります。業務マニュアル(作業手順書)では、かなり細かく記述しますし、業務統合の検討などでは全体の流れが一目で分かるように粗いレベルで記述します。気をつけなくてはならないのは、同一目的で作成する業務フローは粒度を揃えることです。通常は、いくつかの業務をサンプルとして可視化したうえで、その目的に応じた「記述ガイドライン」を作成し、それに従って後の業務の可視化を組織的に進めます。

業務フローの例
図 5 業務フローの例

5.業務フロー利用上の注意点

 業務フローは業務を理解するうえでの大きな助けになりますが、万能ではありません。例えば、2社が統合する場合に、業務を統一すべく業務フローを作成し、並べて比較しても、その差異や統一すべき方法が「自ずから」見えてくるわけではありません。業務フローにすることで業務の解釈は楽になりますが、やはり、十分な業務知識がある方が、何をしているのかを分析しながら比較する必要があります。

 以上、簡単ではありますが、UMLビジネスモデリングを紹介させていただきました。ご興味を持っていただければ幸いです。

*本Webマガジンの内容は執筆者個人の見解に基づいており、株式会社オージス総研およびさくら情報システム株式会社、株式会社宇部情報システムのいずれの見解を示すものでもありません。

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