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「BPI:ビジネスプロセスインテリジェンス(その2)」

2011.07.04 株式会社オージス総研  宗平 順己

 前回はBPI(ビジネスプロセスインテリジェンス)の概念についてご紹介しました。BPMとKPIを紐づける必要があるのですが、大事なのは適切なKPIを設定することです。
 今回はこのKPIに関する考察からはじめます。

1.KPIに求められる要件

 ビジネスプロセスのパフォーマンスを評価するために,どのような指標(KPI)を定義すべきなのであろうか。その要件を次のように整理してみました。

(1)ビジネスプロセスとの関係が定義されている
 当該指標の値からビジネスプロセスの良し悪しを判断する必要があることから,KPIとビジネスプロセスの関係性が明確になっていないといけない。

(2)共通的に利用できる
 異なる工場間,競合他社との比較ができるようにその指標は少なくとも同じ業態では共通的に利用できないといけない。

(3)都度変更されない
 (2)とも関連するが,同一ビジネスプロセスに対して,担当者が変わるたびに異なった指標で管理されると継続性が失われる。

 この要件を満足させるにあたって企業グループにおいて独自の指標群をセットすることも可能ですが,既存の指標を流用することが有効です。そこでBSCのテンプレートを用いてKPIを設計してみました。

2.トライアルの概要

2.1. ターゲットとするマネジメントモデル

 図1が目的とするマネジメントモデルです。

対象とするマネジメントモデル
図1 対象とするマネジメントモデル

 全社視点のKPIをモニタリングしつつ異常の兆候があった場合は製造工程のプロセスのKPIまでブレークダウンして対象を特定するという考え方です。

2.2. 対象モデル企業の概要

 KPIモデルを構築するにあたって,現業の関心を引くためには,各自の問題意識に近いケースを設定する必要があります。そこで,本トライアルではグローバル展開している製造業をとして下記のモデル企業を設定しました。

【前提】
・一般的な組み立て型製造業を対象とする
・BtoCなど家電のイメージ
・量産品(見込生産)を対象とする

【背景】
◇第1次グローバル展開
・製造コストが低い地域での生産が必要なため,海外(東南アジア)に工場進出した。
・日本での製造スタイルを(そのまま)現地に適用。
・マーケットは日本が中心(国内のデリバリーネットワークは完成している)

◇第2次グローバル展開
・海外マーケット(欧州,北米,南米)への進出
・東南アジアでは引き続き日本向けの生産を続けている。
・各国の機能と品質については,以下の通り。

機能品質
日本
欧米
南米

・ローカル仕様の製品を現地にて製造・販売,調達も現地にて実施。
・製品設計は日本にて集中実施。
・生産管理は現地にて実施。
・製造設備は現地にて調達。
・需要予測は現地にて実施。
・ローカルのデリバリーネットワークを整備。
・事業のグローバル展開に応じて生産拠点をマーケットに近接した地域に設置。
・マーケットのローカル特性に合わせた製造スタイルを適用。

【マネジメント上の課題】
・ローカル市場の特性に応じた生産システムを構築
・そのため本部から見ると入り組んだ管理状況となっており,均一的なマネジメントが難しくなった。

 さて、このモデル企業でのKPIをモニタリングできるようにしたものを以下のサイトでご覧になって頂けます。

https://demo.ahasystems.com:8443/axel/
UserNameViewer@OsakaGas.example.com
PasswordViewer
※上記のUserNameは@を全角で表示しています。ログイン時には@を半角に直してログインして下さい。

 アクセスするとダッシュボードの画面が表示されますが、
At a Glance
を選んでもらうとKPIの一覧をツリー構造でみることができます。

 このツリーの見方については、下記のPDFファイルを参照ください。
Axel使用方法説明書(簡易版).pdf

 興味をもたれたら、個別にお問い合わせください。

 次号では、このKPIの設計手順についてご紹介します。BSCをどのように使うのかの良い例題にもなっていますので、楽しみにしておいてください。

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