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「「続」スマートグリッド社会成熟度モデル(第5回)」
株式会社オージス総研

2011年07月号
  • 「「続」スマートグリッド社会成熟度モデル(第5回)」
株式会社オージス総研   乾 昌弘

1. スマートグリッドに関する課題整理

 前号(「続」スマートグリッド社会成熟度モデル 第4回)の続きを説明します。

1.1. 基本的な考え方(続き)

 図1に、課題項目間の関係を示します。
 基本的な課題には、住民・関係者の理解に対する課題、政策・法的課題、技術的課題があります。また信頼性の課題には、安全性に対する課題、セキュリティの課題、系統安定化の課題があります。そして経済性の課題には、コストに対する課題、ユーザ負担に対する課題、相互運用性に対する課題があります。

課題項目間の関係
図1 課題項目間の関係

1.2 具体的な課題整理

 さらに表1~表3にそれぞれの課題項目と他の課題項目との関係、及びそれぞれの例を含めた具体的な課題を列挙しました。表のリストはネスト化されています。

(1)基本的な課題

 政策・法的な課題は、関係者の理解を得ながら進めなければならないのに対して、技術的な課題は、より具体的な課題の中で住民・関係者の理解に対する課題、政策・法的課題と関係してきます。

表1.基本的な課題
基本的な課題

(2)信頼性の課題

 安全性に対する課題は、エネルギー媒体に起因します。セキュリティの課題は、ITに関係してきます。また、系統安定化の課題は、大量に蓄積できない電力特有のものです。

表2.信頼性の課題
信頼性の課題

(3)経済性の課題

 経済性の課題は、新しい装置などのシステムが普及するための課題になります。

表3.経済性の課題(装置などのシステム)
経済性の課題(装置などのシステム)

2.スマートグリッド展2011で印象に残ったこと

 6月中旬にスマートグリッド展2011に行って参りました。主にセミナーに出席しました。今月号のWebマガジンの〆切まで時間があまりないため、今後も追記したいと思います。

(1) 何人かの方が、「日本は優秀なプレイヤーが多くいるが、それを調整して全体の絵を描ける人がいない。」と言われていました。アライアンスを組むことは重要ですが、プロジェクトリーダあるいは、システムインテグレーターが不足しているようです。
(2) ある大手メーカーの方が「先進国は、スマートメーター導入先行、IT企業によるサービスイメージ先行で、実用化まで至っていない。」と言われていました。日本の場合は、スマートメーター導入も0.8%程度なので、まだまだこれからのようです。
(3) 東北地方の復興でのスマートシティ建設を期待する意見もありました。実証試験とは違い、地元で根付くのは間違いないと思います。
(4) 京大の依田教授が提案された今夏の電力量料金体系の紹介がありました。詳しくは、「2011年夏・大規模停電回避に向けて東電管内家庭向け電力量料金体系提案」がインターネット上にありますので、御参照下さい。

3. あとがき

 住民の理解が非常に大切と書いてまいりましたが、その理由は、一般家庭での電力量シェアは約30%占めているにもかかわらず規制が難しいことにあります。また、住民が理解することによって、住民が働き手となっている企業に対する規制も理解が得られやすいということもいえると思います。
 次回は、スマートグリッド社会成熟度モデルにおけるレベルアップするための施策及び方策について再整理をしたいと思います。

(※)以上の内容は、下記の文献をもとにやさしく解説しました。
[1] 乾昌弘、宗平順己「スマートグリッド社会成熟度モデルと課題整理」経営情報学会2011年春季全国研究発表大会、2011年5月

 執筆者略歴
乾昌弘 技術士(情報工学部門)
株式会社オージス総研 技術部 部長補佐
1979年:京都大学工学部精密工学科卒業
1981年:東京大学大学院工学系研究科修士課程修了
1981年:大阪ガス入社
1991年:オージス総研出向
2003年:財団法人エネルギー総合工学研究所出向
2006年より現職

*本Webマガジンの内容は執筆者個人の見解に基づいており、株式会社オージス総研およびさくら情報システム株式会社、株式会社宇部情報システムのいずれの見解を示すものでもありません。

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