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「ソーシャルメディアを利用する企業の動向と事例 第4回」
株式会社オージス総研

2012年05月号
  • 「ソーシャルメディアを利用する企業の動向と事例 第4回」
株式会社オージス総研   竹政 昭利

 ※ 本稿は、財団法人経済産業調査会発行 「特許ニュース」No.13209(2012 年4月13 日発行)への寄稿記事です。

1. はじめに

 第3回では『業務プロセスにおけるソーシャルメディアを利用したサービス』と題して、業務プロセスとソーシャルメディアの関係について見てきた。ソーシャルメディアは、マーケティングやブランディングのためだけでなく、経営、研究、開発/製造、調達、保守など広く業務プロセスの全般と関わっている。本稿ではソーシャルメディアを利用する企業の動向と事例を紹介する。そして、ソーシャルメディアを利用する上で必要になってくるポリシーやガイドラインついて解説していく。

2. 企業の動向と事例

 アジャイルメディア・ネットワーク株式会社は、2012年3月「ソーシャルメディア活用企業調査」の中で「ソーシャルメディア活用企業トップ50」を公表している。企業のTwitter、mixi、GREE、Mobage、Facebook、ブログ、YouTube、ニコニコ動画などの活用度をそれぞれ指数として数値化して、順位付けしている。この指数は、フォロワー数、登録数、動画再生数などを元に算出されている。※1
 これによると、第1位が、日本コカ・コーラ株式会社、続いて株式会社ローソン、株式会社カプコン、株式会社スクウェア・エニックスと続いている。
 アジャイルメディア・ネットワークが行った同様の調査は2011年2月が1回目※2、2011年8月が2回目※3、今回2012年3月が3回目である。日本コカ・コーラはその3回とも第1位である。ローソンは前回第3位から今回第2位へ、カプコンは前回第9位から今回第3位と順位変動は激しい。Facebook、Twitterなどのソーシャルメディアは無料であり、参入が容易な一方で、運用を維持するのは、組織体制の整備や人材確保が必要であり、高順位を維持する事は難しいのではないだろうか。
 次に、企業が活用しているソーシャルメディアが何であるかを見ていく。Twitterは前々回は96%、前回と今回については、100%となり、上位50社のすべてが利用していることを示している。Facebookについては、前々回24%だったのが、前回は84%、今回は98%と急激な伸びを示している。YouTubeは前々回82%、前回86%、今回96%と今回はFacebookに抜かれて3位となったが、高い利用率で推移している。(図1)

ソーシャルメディア別利用率
図1 ソーシャルメディア別利用率 ※1の数値からグラフを作成

 これをみると、Twitter、Facebook、YouTubeについてはほとんどの企業が、ブログやUSTREAMについても7,8割の企業が使っている。従って企業は、ソーシャルメディアを1つだけではなく、複数組み合わせて使っていることが分かる。また、事例を見ていくと、ソーシャルメディアに限らず、他のメディアと既存のメディアとの融合もされている。

 ○日本コカ・コーラ
 それでは、3回の調査とも第1位となった日本コカ・コーラについて見て行こう。
 一般的に、Webを使用したマーケティングのフレームワークにはトリプルメディアというものがある。2009年5月に米国Frog Designのチーフ・マーケティング・オフィサー ティム・リベリヒト(Tim Leberecht)氏がCNETのブログに「Multimedia 2.0: From paid media to earned media to owned media and back」というタイトルでこのトリプルメディアについて発表した。トリプルメディアとはOwned media(所有メディア)、 Paid media(購入メディア)、Earned media(獲得メディア)である。
 米国コカ・コーラではこの3つのメディアに、Shared media(共有メディア)を加えた4つのメディアを「AN EVOLVED CONSUMER ENGAGEMENT MODEL」として着目している。Shared mediaは「Ad Age Digital Conference」で、米国コカ・コーラ本社のウェンディ・クラーク(Wendy Clarke)氏が紹介したものである。
 それぞれのメディアについて説明する。
 ・Owned media- 自社で所有しているWebサイトなどである。自社の製品・サービスや企業自体の案内を載せる企業サイトやキャンペーンサイトなどである。営業や販売促進を目的としたコンテンツが多い。
 ・Paid media- バナー広告やリスティング広告などの広告枠を、企業がお金を支払うことによって購入し、掲載してもらうメディアである。短期間に多くの人に知らせる事が出来る。
 ・Earned media- ソーシャルメディアなど、信頼性を得て関係が得られるメディアである。消費者の自発的な発言などから構成されているため、内容のコントロールはしにくい。
 ・Shared media- 他社と共同(コラボレーションして)運営するメディアである。

 日本コカ・コーラでもこの4つのメディアに沿った形で、情報を発信している。
 日本コカ・コーラではそれまで複数のブランドサイトを運営していたが、各サイト間の回遊が少ないなどの理由で、「コカ・コーラパーク」というサイトを新しく開設した。※4
 コカ・コーラパークは、自社で所有しているOwned media であるが、コカ・コーラパークのマイページからは、Facebook、Twitter、mixi、Amebaなどのソーシャルメディアに一括投稿できる機能があるなど、Earned mediaとしての特徴も持ち、外部広告への配信も2009年から行っていることから、Paid Mediaであるとも言えるのである。また、コカ・コーラパークのサイト上でMobageや日産自動車とのコラボレーションを行っており、Shared mediaとしての特徴もある。
 さらにソーシャルメディア的要素として、(Earned media)コカ・コーラパークのコンテンツには「Happyボタン」という独自のボタンを付けている。「Happyボタン」は、「気になること」や「興味のあること」、そして「ハッピーな気持ちになれること」をユーザー同士で共有し、広めるために押すボタンである。ボタンを押すとコカ・コーラパークで利用可能なポイント(50パークG)がもらえて、また自身の行動履歴にどのコンテンツに「Happyボタン」を押したかが記録される。
 2月17日から、コカ・コーラパークでのみ利用可能だった「Happyボタン」は外部サイトにも設置することが可能になった。
 このように日本コカ・コーラはコカ・コーラパークで3+1メディアを活用していると言える。
 コカ・コーラパークの会員は1,000万人を突破している。またFacebookPageの「コカ・コーラパークファンページ」※5には、16万人以上が登録している。さらに、米国のコカ・コーラではFacebookPage「Coca-Cola」※6を運用しており、全世界で4,000万人以上のファンを獲得している。
 ○ローソン
 ローソンでも、Facebook、Twitter、Google+、mixi、YouTube、ニコニコ動画、Mobage、GREE、USTREAMなど多数のソーシャルメディアを利用している。※7
 これらのソーシャルメディア上には、ローソンクルー「あきこちゃん」というキャラクターが登場して、つぶやいている。
 「あきこちゃん」は大学2年生。ユニフォームがかわいいのでローソンでアルバイトをはじめた。ローソンTwitter店勤務という設定である。
 また「あきこちゃん」以外にも、内気で物知りな「お兄ちゃん」、「しずよママ」、いとこの「ショウくん」、お兄ちゃんがつくったあきこちゃんそっくりのアンドロイド「あきこロイドちゃん」、ローソンTwitter店の「店長」、大学の友達「エリちゃん」、「ユカコちゃん」などのキャラクターがいる。
 「あきこロイドちゃん」はニコニコ動画に開設された「ローソンチャンネル」で、ニュースやキャンペーン情報を伝えるナビゲートキャラクターである。「あきこロイドちゃん」はローソンの公式キャンペーンソング「青いコンビニであいましょう」、「からあげクンの歌」をYouTubeやニコニコ動画で披露している。「あきこロイドちゃん」のコラボキャンペーンも行われており、iTunesや伊藤園などとのコラボキャンペーンに参加している。
 キャラクターを使う理由としては、「企業名」での投稿より、「あきこちゃん」での投稿のほうが、共感しやすく"いいね"が付きやすいという点が挙げられる。また、他の企業とのタイアップをしやすいという点もあるようである。たとえば大学の友達「エリちゃん」はHMVでアルバイトをしている設定になっている。
 ローソンでは、「けいおん」などアニメとタイアップしたフェアを行っているが、これはソーシャルメディアとの相性が良いようである。Twitterなどでつぶやくだけで広まり、ファンが店舗に殺到したということである。
 ○ユー・エス・ジェイ(USJ)
 ユー・エス・ジェイは、ユニバーサル・スタジオ・ジャパンを経営している会社だ。ユー・エス・ジェイは、"We are UNIVERSAL STUDIOS JAPAN"(以下 "We are USJ")というサイトを持っている。※8「We」とはゲスト、お迎えするクルー、エンターテイメントを提供するキャラクター&エンターティナのことを言い、"We are USJ"はそういった人たちが集うコミュニティと位置付けている。
 "We are USJ"は、Facebook、Twitter、mixi、GREE、モバゲーTown、YouTubeなどと連携しており、ソーシャルメディアも含めて「We」が交流する場を用意している。
 ユー・エス・ジェイでは、主要ソーシャルメディアに公式アカウントを開設して全体で100万人集めるという目標を定めている。これは必ずしも綿密に積み上げた数字という訳ではないが、それぞれのメディアがどのような特性や効果があるかを測るために必要と考えた母数でなのだろう。
 ユー・エス・ジェイでは、メディアの調査分析をしている。それによるとWebの公式サイトを訪問する人は、もともと来場の意思があり、さらに詳しい内容を知りたいという顧客(ゲスト)である。しかし、新規の顧客(ゲスト)を呼び込むためには、他のメディアを必要としている。
 他のメディアの一つとして、ソーシャルメディアであれば、ブログが有効である。
 また、ユー・エス・ジェイは「マジカル・モーメント・プロジェクト(MMP)」がある。MMPとは、来園者への声かけを従来以上に積極的にして、顧客満足度の向上と共に、従業員のモチベーションも高めていくというものである。
 MMPには次の3つの指針がある。従業員(クルー)が来園者に対して、(1)アイコンタクト・笑顔・あいさつをする。(2)アトラクションなど自分のお気に入りを薦める。(3)子供と友だちになる。
 MMP自体はソーシャルメディアではないが、コミュニケーションを通して顧客(ゲスト)との信頼感を得ていくという点については、ソーシャルメディアに通じるものがある。また、この顧客(ゲスト)は、MMPを体験をすることで自ら、ソーシャルメディアも含めて、口コミなどの情報発信をすることになる。
 ユー・エス・ジェイはTwitterの公式アカウントを7つ持っている。「ユニバーサル・スタジオ・ジャパン公式」、「パークコンシェルジュ」、「ピンクパンサー」、「ディーコン」「綾小路麗華」「ビートルジュース」「宮迫ユニバーサル・スタジオ・ジャパンファンクラブ会長」である。※9
 有名人やキャラクターなど、7つを使い分けをしているようである。
 また、ユー・エス・ジェイもローソン同様、ワンピースやモンスターハンターのようなアニメとのコラボ企画を行っている。この企画をTwitterでツイートした人、そのツイートをさらにリツートした人、フォロワーなどを合わせると、のべ300万人もの人に情報が伝わったということである。

3. ポリシー、ガイドライン

 企業がソーシャルメディアを活用するにあたっては、炎上が発生しないように、また炎上が発生したとしても、冷静に対応できるように、ソーシャルメディアの運用のポリシーやガイドラインを作っておくことが望ましい。

 ポリシー、ガイドラインとも主に下記のような内容を記述しているものが多い。
 ポリシーは、ソーシャルメディア活用に対する運用の考え方や指針を公開するものである。それに対して、ガイドラインは、具体的に社員がソーシャルメディアにおいてどのように振る舞うべきかを示している。(表1)

表 1 ポリシーとガイドラインの比較
ポリシーとガイドラインの比較

ガイドラインは、社員の就業規則にのっとっているものが多い。その上に、炎上を避けるためのソーシャルメディア上の注意点などを追加している。

(1) 社員規範、法律、ルールを順守。
(2) 自社および他社の機密保持。
(3) 真摯な態度。(読者に敬意を払い間違いはすぐに訂正する。)
(4) 責任の所在の明確化。(投稿内容は、会社の意見を代弁するものではないことを明確にする。--- 免責文を入れる。)
(5) 慎重な投稿。(インターネットに一度投稿したものは消えない。)
(6) 付加価値のある投稿。

 ○ポリシー
 日本コカ・コーラ株式会社は、「ソーシャルメディアの利用に関する行動指針」をWeb上に公開している。※10
 このポリシーを見ると、大きく2つの部分から構成されている。「個人の立場で、ソーシャルメディアを利用する場合の基本指針」と「コカ・コーラシステム※11を代表する立場で、各ブランドや企業についてソーシャルメディアを通じて語る場合の基本指針」である。
 「個人の立場で、ソーシャルメディアを利用する場合の基本指針」として、「本行動指針の基本理念」、「ソーシャルメディアに関するコカ・コーラからのコミットメント」を理解した上で、「社員及び協力会社によるソーシャルメディアの利用について」を遵守すると言っている。
 「本行動指針の基本理念」では、インターネット上の活動であるか否かにかかわらず、「リーダーシップ」、「コラボレーション」、「誠実さ」、「アカウンタビリティ」、「情熱」、「多様性」、「品質」などの価値観に準拠した行動を求めている。
 さらに、「ソーシャルメディアに関するコカ・コーラからのコミットメント」では、「透明性の担保」、「消費者のプライバシーの保護」、「第三者の権利の尊重」、「技術利用に対する責任」、「傾聴と事例の活用」などソーシャルメディアコミュニティでの価値観に準拠した行動を求めている。
 そして「社員及び協力会社によるソーシャルメディアの利用について」では、コカ・コーラシステム及びシステムで展開する各ブランドについて語ることの影響度を十分理解することと、その最終的な責任は企業であるコカ・コーラシステムが負わなければならないとして、具体的には下記の行動を求めている。

  1. 事業運営規範など、該当する方針等の厳守
  2. ブランド価値を守る"番人"としての役割を担う
  3. 否定的な投稿に対する対応は、専門家に任せて、自分の判断では行わない
  4. 仕事に纏わる記載をする場合は、特に配慮をする

 また、「コカ・コーラシステムを代表する立場で、各ブランドや企業についてソーシャルメディアを通じて語る場合の基本指針」として、「コカ・コーラシステム認定 ソーシャルメディア担当者に対して求めること」が示されている。公式のアカウントで発言する人のためのもので、コカ・コーラシステムを代表する立場というものが強調されている。

  1. 所定のトレーニングプログラムを受講して、認定を受ける
  2. コカ・コーラを代表する立場であることを明らかにする
  3. 記録を取る
  4. 迷った場合は投稿しない、を基本スタンスとする
  5. 他者の権利を侵害しない
  6. ローカルでの投稿が、世界的影響を及ぼし得ることを忘れない
  7. インターネットの恒久性を認識する

 このように、ポリシーは、心構えや考え方などを中心に書かれている。

 ○ガイドライン
 ガイドラインはポリシーと比較して、より具体的な内容になっている。
 IBMのガイドライン※12はかなり詳細な項目を規定している。その中からいくつかを抜粋してみる。

  • IBMビジネス・コンダクト・ガイドラインを熟知してください
  • 日々の仕事を忘れないでください
  • 身分を明かして活動しましょう
  • 一人称で語りましょう
  • 読者や同僚に敬意を払いましょう
  • 喧嘩を仕掛けてはなりません
  • 自分自身の誤りには、いち早く対応してください
  • 日々の仕事を忘れないでください

 これらの項目1つ1つに関してもさらに詳しく説明がされている。
たとえば、「喧嘩を仕掛けてはなりません」に関しては、次のような説明がされている。
 「メディアやアナリスト、他のブロガーがIBMについて書いた内容に誤りを見つけた場合には、当然自分のブログや、その誤りが記載されたブログのコメントやディスカッションで、それを指摘して構いません。ただし常に敬意を払い、事実に基づいて、自分のIBMでの立場を明示した上でそれを行ってください。また、競合他社について語る際には、あなたが話す内容が事実に基づいており、競合他社を非難するものではないことを必ず確認してください。不要な、あるいは非生産的な言い争いは避けてください。喧嘩騒ぎによってアクセス数は増加しますが、結局は誰のためにもならないばかりか、自分やIBMの評判に傷を付ける結果にもなりかねないことを認識してください。恨みを晴らすことや、競合他社または他人を扇動的な論争に駆り立てるような真似はやめましょう。ここでの、あるいは公開討論の他の領域では、必ず事実に照らし合わせて正しいことを語ってください。」
 このように、ガイドラインは、社員に対して、具体的にソーシャルメディアでの振る舞い方を示している。
 インテルのガイドライン※13は、まず「ガイドラインの原則」として、次のものを挙げている。

  • 自分の専門分野との関連で、インテル、そして世界中で何が起きているかに対するユニークで個人的な見解を述べましょう。
  • 意味があり、他人を尊重する意見を投稿してください - つまり、スパムや、主題からはずれたり、人を傷つけるような書き込みはしないでください。
  • 投稿する前に、必ず一呼吸置いて考え直してください。一方、返答が求められる場合は、速やかに返答してください。
  • 所有権情報や内容を尊重し、秘密を守ってください。
  • 他のユーザーの意見に反論する場合は、適正なマナーで丁重に行いましょう。
  • インテル行動規範 とインテル・プライバシー・ポリシーに従ってください。

 そして、更に詳細な、「エンゲージメント・ルール」を記述している。
 「エンゲージメント・ルール」は、「率直な態度で臨む。」「思慮深い態度をとる。」「知っていることを書く。」「イメージは現実です。」「これは会話です。」「付加価値がありますか?」「あなたの責任。」「活発な交流。」「リーダーシップ。」「しくじった?」「ためらいを感じたらしばらく待つ。」などの項目別に、説明を設けている。
 たとえば、「率直な態度で臨む。」の説明としては以下のようなものである。「ソーシャルメディア環境では、誠実さ、不誠実さはすぐに気付かれます。インテルでの仕事についてのブログでは、実名を使って、その仕事のタイトルとあなたの役割を明確にしましょう。あなたが既得権益を持つ内容の書き込みをする場合、そのことを自ら指摘してください。あなたの身元やインテルとの関係に関しては透明性が要求されます。インテルの所有権所持情報やコンテンツの機密性は守る必要があります。」
 インテルのガイドラインは、IBMのものほど、具体的ではなく、ソーシャルメディアに対する心構えを示すもので、ポリシーをそのまま詳細化したようなものである。

4. 組織、人の課題

 アジャイルメディア・ネットワーク株式会社の「ソーシャルメディア活用企業調査レポート」によると、「ソーシャルメディア活用においてもっとも課題となっているもの」として1番多くの企業が回答してたのは、「対応する組織や体制の確立」であり58%に及んでいる。次に「傾聴や分析をする仕組みの確立」46%、「社内教育やトレーニングの仕組みの確立」42%、「ポリシーの策定」40%と続いている。
 これを見ると、ポリシーの策定も重要な課題であるが、ソーシャルメディアを運用する組織や人材をどのように確立するかが最も重要な課題となっている。※14
 ○組織
 さらに、この調査レポートの「ソーシャルメディア専任担当者数」を見てみると、85%の企業でソーシャルメディアの専任者が1人もいないという結果である。続いて、1~3人が11%、4~6人が2%と続いている。日本の企業で専任者を設けているのが15%にすぎないということになる。ほとんどが兼任で、専門の部署がないままにソーシャルメディアの運用を行っている。
 次に兼任者としてソーシャルメディアを担当している人の数を見てみると、1~3人が53%、4~6人が23%となっている。過半数が、少人数の兼任者だけで行っている。まだ組織的には脆弱であると言える。一方、20人以上14%、10~19人が8%と、多人数で少しづつ支えている様子も見て取れる。※15
 ○人の課題 --- ソーシャル疲れ
 ソーシャルメディアを運用する上で、「人材育成」と担当している人の「ソーシャル疲れ」が課題としてクローズアップされている。
 企業の広報、マーケティング担当者はソーシャルメディアを広告宣伝に利用しているが、当初期待していたほどの効果は得られない。その上炎上に対応したり、炎上しないまでも炎上回避のために色々と気をもんでいる。その疲労が蓄積されている状態をソーシャル疲れという。
 企業の広報、マーケティング担当者は、今まで主にマス広告を使っていた。マス広告は、費用はかかるが、その効果がどのくらいあるかなども比較的目に見えやすい。それに対してソーシャルメディアは無料で利用できるが、すぐ効果が出てくるものではない。ソーシャルメディアを通じて顧客と徐々に信頼関係を築いていくことによって、じわじわと効果が出るものである。この違いがマス広告に慣れた担当者がソーシャル疲れする理由である。
 だからと言って、ソーシャルメディアが効果がないわけではなく、またマス広告の効果は昔ほどはないので、ソーシャルメディアを無視することはできない。
 まずは、ソーシャルメディアの効果に対して過度の期待を抱かず、場を完全にコントロールすることはできないと理解すべきである。その上でポリシーやガイドラインにあるように、真摯な態度で間違いはすぐに訂正する。迷ったら投稿しないなどをあたりまえの事として守っていくことが必要である。

5. おわりに

 ソーシャルメディアを利用している企業は、着実に増えてきている。それらを有効に利用している企業は、1つのソーシャルメディアだけを利用しているのではなく、Facebook、Twitter、YouTubeをはじめとして複数のソーシャルメディアを組み合わせていることが分かる。さらには、ソーシャルメディアだけではなく、既存のメディアとの融合もされている。そしてこれらの企業に特徴的なのは、業種を越えて他企業とのタイアップをしている点である。ソーシャルメディアでキャラクターを利用することで、他企業とのタイアップのハードルが低くなっているようである。
 企業がソーシャルメディアを利用する上で、ソーシャルメディアポリシーやガイドラインは欠かせない。内容としてガイドラインはかなり詳細なものもあるが、最終的には本人の意識の問題になり、心構えを問うようなものが多い。
 また、ソーシャルメディアを運用する上で、組織や人が一番の要であり、ソーシャルメディアの正確な理解と共に、今後さらに力を入れて取り組むべき問題である。

参考文献(リンク)
※1 第3回ソーシャルメディア活用企業調査
  http://agilemedia.jp/pressrelease/amn350.html
※2 第1回ソーシャルメディア活用企業調査
  http://agilemedia.jp/pressrelease/amn50.html
※3 第2回ソーシャルメディア活用企業調査
  http://agilemedia.jp/pressrelease/amn250facebook2484.html
※4 コカ・コーラパーク
  http://c.cocacola.co.jp/
※5 コカ・コーラパークファンページ
  http://www.facebook.com/cocacolapark
※6 FacebookPage「Coca-Colal
  http://www.facebook.com/cocacola?ref=ts
※7 ローソン ソーシャルメディアネットワーク
  http://www.facebook.com/lawson.fanpage?sk=app_221381277906527
※8 We are UNIVERSAL STUDIOS JAPAN
  http://www.usj.co.jp/wau/?area=e_top_wau
※9 ユニバーサル・スタジオ・ジャパン Twitter公式アカウント
  http://www.usj.co.jp/twitter/?area=w_h_twitter
※10 コカ・コーラシステム ソーシャルメディアの利用に関する行動指針
  http://www.cocacola.co.jp/info/social_guide01.html
※11 コカ・コーラシステム-日本コカ・コーラ株式会社と、製品の製造・販売を行うボトラー社や関連会社
※12 IBM ソーシャル・コンピューティングのガイドライン
  http://www-06.ibm.com/ibm/jp/about/partner/scg.html
※13 インテル・ソーシャルメディア・ガイドライン
  http://www.intel.com/sites/sitewide/ja_JP/social-media.htm
※14 ソーシャルメディア活用企業レポート
  http://agilemedia.jp/files/111031SocialMediaResearch_whitepaper.pdf P19
※15 ソーシャルメディア活用企業レポート
  http://agilemedia.jp/files/111031SocialMediaResearch_whitepaper.pdf P23

*本Webマガジンの内容は執筆者個人の見解に基づいており、株式会社オージス総研およびさくら情報システム株式会社、株式会社宇部情報システムのいずれの見解を示すものでもありません。

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