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「スマートグリッド社会成熟度モデル Part3(第2回)」
株式会社オージス総研

2012年06月号
  • 「スマートグリッド社会成熟度モデル Part3(第2回)」
株式会社オージス総研   乾 昌弘

 

1. 住民の理解の重要性

1-1.制度で縛りにくい家庭部門

 5つの視点のうち、特に住民の理解の重要性について強調してまいりました。ここでその理由について、整理したいと思います。

(1)  前号で述べましたが、平成22年4月より施行された省エネ法の改正により、工場やフランチャイズ店を含む店舗に対しては、規制が厳しくなりました。一方、家庭部門に関しては、エネルギー消費量が年々増加傾向にあるにもかかわらず特に規制がなく、エコポイントなどを付与して省エネを促進しているというのが実態です。従って、省エネを促進するためには、住民の理解が重要となります。
(2)  住民が理解することによって、住民が働き手となっている企業に対する規制も理解が得られやすい、という効果もあります。

1-2.スマートメータに関する訴訟(米国)

  • 2010年12月(最終号)で述べましたが、スマートメーターを導入した住宅の電気料金が急に上がったという現象が発生しました。例えば、2009年テキサス州では、Oncor社を相手取り訴訟を起こしました。また、カリフォルニア州でもGP&E社の顧客が訴訟を起こしています。
  • 訴訟の原因として考えられているのが、これまでの電力量計が古すぎて正確に電力利用量を計測できていなかったこと、もう一つの原因は、気候などの影響によりスマートメーターを導入してから電力消費量が増えたことであるといわれています。
  • 原因が他にあったとしても、ユーザーは新しいものに懐疑心をいだくでしょう。

1-3.高齢化が進む日本

 高齢者の方々は若い人々に比較して、新しいものやシステムを受け入れ難くなる傾向にあると思います。やはり辛抱強く、理解を得る必要があります。

2.住民理解のプロセス

 (続シリーズ)2011年12月号で述べましたが、住民の理解の完成形は、「住民に対する啓発活動がなされ、省エネのノウハウが共有され、満足度も高い」ですが、そこに至るプロセスも重要です。ここではCoordination Process Model(協調作業のプロセス構造)[1]と住民の理解(成熟度)との関連付けを行います。(表1参照)

2-1. Awareness ⇔ 見える化

 (1) 協調作業のプロセスモデル
気付きにより、グループ共通のオブジェクトが認識されます。
 (2) 住民の理解(成熟度レベル2~5)
見える化によって、各家庭のエネルギー消費量がわかるだけでなく他の家庭との比較によって多くの気づきがあり、省エネに努めるようになります。また省エネ行動によって、新たな気づきが生まれる場合もあります。

2-2.Communication ⇔ 説明会、啓発活動、SNS

 (1) 協調作業のプロセスモデル
話し合いにより、さまざまな意見を出し合うようになります。ただし、結果の収束までには至りません。
 (2) 住民の理解(成熟度レベル2~3)
住民に対する説明会、啓発活動、SNSなどへの参加によって、単に説明を聞くだけでなく意見を述べ合うことにより理解が深まります。各自のベストの解がお互いに同じであるとは限らないため、議論の中から納得できる解を見つける必要があります。

2-3.Collaboration/Cooperation ⇔ 自治会やエネルギー融通をするグループでの話し合い-1

 (1) 協調作業のプロセスモデル
共通のタスクを実行する過程で、グループ内の意見を決定します。
 (2) 住民の理解(成熟度レベル4)
エネルギーを地域内で融通しあう場合は、話し合いで共通のルールを作る必要があります。

2-4.Coordination ⇔自治会やエネルギー融通をするグループでの話し合い-2

 (1) 協調作業のプロセスモデル
タスク遂行時に問題などが生じた時に調整を行います。
 (2) 住民の理解(成熟度レベル5)
さらに実践をつんでいく中で、問題が生じた場合は調整を行う必要があります。

 以上で、「成熟度レベルN」とは、次号で説明するスマートグリッド社会成熟度モデルの成熟度レベルのことです。

表 1 MaloneのCoordination Process Modelと住民の理解(成熟度)との関連付け
MaloneのCoordination Process Modelと住民の理解(成熟度)との関連付け

(参考文献)

[1] T. Malone. Et al., Toward an Interdisciplinary theory of Coordination," MIT Technical CCS TR#120(1991)

*本Webマガジンの内容は執筆者個人の見解に基づいており、株式会社オージス総研およびさくら情報システム株式会社、株式会社宇部情報システムのいずれの見解を示すものでもありません。

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