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「そのスマートデバイス、効果出ていますか?」
株式会社オージス総研

2012年07月号
  • 「そのスマートデバイス、効果出ていますか?」
株式会社オージス総研   今井 英貴

何のためにスマートデバイスを導入していますか?

 最近では多くの会社さんで、当たり前のようにスマートフォンやタブレット等のスマートデバイスの導入が進んでいる、もしくは導入を検討されているかと思います。
 ただ、スマートデバイス導入の目的や効果を具体的に把握しきれていない会社さんも中にはあるのではないでしょうか?
 さて、まずは、なんのためにスマートデバイスを導入するのか、目的を見ていきましょう。

(1)業務の生産性向上、ワークライフバランスへの寄与。
 スマートデバイスは携帯可能であるため場所を選ばず作業ができます。そのため、隙間時間を利用した大きな業務効率向上が望めます。申請・承認作業、コミュニケーション・指示、その他、比較的操作が簡単な作業が特に相性が良いことも特徴です。
 また、業務遂行の場所や時間を柔軟に捉えることができるので、従業員のクオリティオブライフの向上、育児や介護時間の捻出等の観点から、ワークライフバランスに寄与することも可能です。

(2)コミュニケーションおよび意思決定の迅速化
 スマートデバイスは常に携帯している可能性が高いため、通話だけでなく、電子メールやSNS等を活用したコミュニケーションの活性化が図れ、結果として、意思決定の迅速化に繋がります。

(3)コストダウン
 会議資料、マニュアル、カタログ等を紙資料で印刷するのではなく、タブレットを利用した参照にするよう徹底することで、ペーパーレス化推進が可能です。結果としてコストダウンに寄与します。
 スマートデバイスと相性の良いクラウドサービスが数多く存在するので、質が良く低コストのサービスを選定することができれば、アプリケーション開発・維持コストについても削減できる可能性があります。
 また、IP電話(後述)として内線電話利用することで、内線電話のコストダウンが図れる可能性もあります。
 さらに、個人所有のスマートデバイスを業務適用(所謂BYOD(Bring Your Own Device))することができれば、さらなるコストダウンが可能であるという見方もできるでしょう。

(4)事業継続性の向上
 震災等の災害や新型インフルエンザ等の疫病が発生した場合、通勤が困難になることも想定されます。そんな中、スマートデバイスがあれば、在宅や遠隔で最低限の業務を推進することのできる仕組みを構築することが可能です。

(5)顧客満足の向上
 店舗等の施設案内や顧客向けのアプリケーションの提供等、顧客満足の向上に寄与することも期待できます。

スマートデバイスを効果的に使う基盤

 このように、うまく使えばかなり色々な経営効果が得られそうなスマートデバイスですが、しくみ面をしっかりと考えないと、効果を出すどころか、使い勝手やセキュリティリスクの面で、デメリットが発生しかねません。
 しくみ面の要素としては、アプリケーション仕様、端末管理、マルウェア対策、ネットワーク、認証・暗号化 etc..様々な観点から検討が必要ですが、今回は、紙面の関係もあり、少し唐突ですが(すみません。。)、私が今、一番気になっている以下の2点を取り上げたいと思います。

  1. コストダウン施策としての「IP電話」
  2. セキュリティ施策として「ネットワーク/認証・暗号化」

 上記2つの施策についての留意点を、以下にご紹介していきます。

 

コストダウン施策としての「IP電話」

 スマートフォンの機能の基本は「フォン」だけに、やはり音声通話です。
 「Skype」や「LINE」、「050plus」と言ったサービス名をお聞きになったこともあると思いますが、一般には、スマートフォンでインターネットや無線LANを利用した音声通話(IP電話)が普及しつつあります。
 通話料が大幅に下がるのが魅力として大きいのでしょう。特に海外との通話にはメリットが大きそうです。

 では、企業ではどうでしょうか?もともと既存の携帯電話(所謂ガラケー)でも、IP電話の機能を持った企業向け製品はありました。
 日本企業の製品らしく、無線LANの電波を効率よく拾う仕組みや転送、保留の機能等、内線電話として利用するには非常に便利にきめ細かくできていました。

 スマートフォンでも、SIPクライアント(IP電話のクライアント)やサーバは、いくつか出ていますが、今の段階では、通話の品質の面でビジネス利用はなかなか難しい場合が多いようです。
 保留や転送等の日本企業がよく利用する拡張機能も今の時点では不足しています。

 ただ、将来的には以下のような幾つかの手段でIP電話をスマートフォンで利用することができそうです。

(1) 国内外のPBXメーカー等の製品が成熟するのを待つ。
 大手メーカーを中心に対応が進みつつあります。近い将来実用レベルに達すると思います。

(2) オープンソースのSIPサーバやクライアントをベースに自社で構築・運用する。
 かなりの技術力が必要かと思いますが、成功すれば低コストで内線電話を構築できるかもしれません。

(3) キャリアのFMCサービスを利用する。
 SIPクライアントが不要で、3G回線さえあれば、スマートフォンを内線電話としても利用できるサービスです。ただ、ユーザ数の規模によっては割高になるかもしれません。

 上記のように、近い将来、内線電話は、スマートフォンでもIP電話で代用できるようになりそうです。コストダウンの施策としては、非常に魅力的に思えます。

セキュリティ施策としての「ネットワーク/認証・暗号化」

 スマートデバイスを業務利用する場合のアクセス環境ですが、セキュリティ(特にネットワーク、認証、暗号化)と使い勝手の観点から、主には、以下の3種類くらいの形態に分類できると思っています。

(1) Webアプリケーションに限定して、SSLでアクセス
 通信路はSSLで暗号化します。必要であれば、シングルサインオン(SSO)のゲートウェイを挟むこともできますし、電子証明書やワンタイムパスワード(OTP)の認証も追加可能です。
 また、認証ゲートウェイはクラウドサービスを利用することも可能です。
 さらに、Webですので、データはローカルに残さない前提にしやすくなります。

 Webアプリケーションの作りをスマートデバイスに最適化してやれば、セキュリティを保ちつつ、使い勝手の良い環境ができると思います。

(2) VPNを利用して、クライアントサーバのアプリケーションを利用
 VPNを張れば、Webだけでなく、クライアントサーバのアプリケーションも幅広く使えます。
 ただ、クライアントサーバアプリは、クライアント側のネイティブアプリをスマートデバイス側に配布する必要があるので、管理が大変です。
 また、ローカルにデータが残らないようにする、もしくは、データ保管時に暗号化するには、アプリ側でしっかりと責任を持つ必要があります。
 後は、社内LANに接続されるので、マルウェア発生時には注意が必要でしょう。

(3) VPNを利用して、仮想デスクトップ環境を利用
 仮想デスクトップ環境を利用して、スマートフォンからセンター側のWindows環境にアクセスできる環境を構築します。
 Officeファイルの編集をはじめ、Windowsでできることは何でもできますが、Windows(少なくとも7まで)は、キーボードとマウス操作が前提ですので、スマートデバイスの環境では著しく使い勝手が悪くなる可能性があります。
 写真は、まだ検証環境ではありますが、私のGalaxy Noteで、実際にやってみました。
 画面をよく見ていただくと、Windowsが動いているのがわかると思います。このWindowsは弊社データセンターで仮想環境として動いているものです。VPNを張った上で、Citrix Receiverというソフトを使って繋いでいます(本当は、大きなディスプレイで映したかったのですが、周囲にHDMI出力できるディスプレイが見つかりませんでした。。)。


 ダブルクリックや右クリックに多少コツが必要で、慣れるまではなかなかうまく使えない人(私。。)もいます
 中には、スマフォの画面でWindowsのマウス操作を行うことが気にならない強者もいらっしゃると思いますが、おそらく、多くの方が、結局、外付けキーボードやマウス、ディスプレイが必要になってしまうと思われます。(タッチ操作前提のWindows8が出れば変わるかもしれません。)

 ということで、あくまで私の感じ方では、

 使い勝手では、(1) > (2) > (3)
 できることの多さでは、(1) < (2) < (3)

ではないかと思います。

 「使い勝手が良い」と「なんでもできる」はなかなか両立が難しいですよね。

 上記より、スマートデバイスのアクセス環境の設計を始められる場合は、「自社の利用用途として、どこまでのことができれば良いのか?」をしっかりと定義した上で進めていかれることをお勧めします。

 

おわりに

 今回は、スマートデバイス導入の目的や効果を整理した後、実際の導入にあたって、私が現在最も気になっている2点について、お伝えさせていただきました。

 スマートデバイスを効果的に活用することで、ワークスタイルはより柔軟に自由になっていくと思います。

 場所や時間、そして設備も選ばない。

 結果として、冒頭で述べたような、生産性の向上等の様々な経営効果が得られるかもしれません。また、特に、数値にはしにくいですが、良いアイデアがたくさん沸くかもしれません(アイデアは「ふと」した時に降りてくるものだと思ってますので)。

 そして、もうひとつ、これは私見ですが、自分も含めた従業員の「幸福感」の醸成につながればいいなと思っています。
 お子さんや家族と過ごせる時間が増えるかもしれません。介護しながら働ける環境も作りやすくなると思います。残業時間も減るかもしれません。
 そして、「ふと」した瞬間を求めて、その日は海辺で仕事をしたいと思うこともあるかもしれません。そういうことが叶う可能性を持っています。

 そういうことも考えつつ、スマートデバイスを安全で便利に使うためのソリューションを考えていきたいと思います。

 個人アカウントではありますが、facebookをやっております。よろしければ、スマートデバイスに関わらず、情報交換させていただけますと幸いです(私の方は面識の有る無し、特にこだわりません。)。

 http://www.facebook.com/hideki.777.imai

 よろしくお願いいたします。

*本Webマガジンの内容は執筆者個人の見解に基づいており、株式会社オージス総研およびさくら情報システム株式会社、株式会社宇部情報システムのいずれの見解を示すものでもありません。

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