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「製造業のリファレンスモデルを考える 第一部 ビジネスプロセスリファレンス-その2」
株式会社オージス総研

2012年08月号
  • 「製造業のリファレンスモデルを考える 第一部 ビジネスプロセスリファレンス-その2」
株式会社オージス総研   宗平 順己

 先月号から、製造業のリファレンスモデルについて考えています。
 今月は、前回提示した詳細プロセスリファレンスに求められる要件に合致しそうなリファレンスモデルとしてAPQC PCFとSCORという世界的に広く利用されている二つのリファレンスモデルについて紹介します。

1. 2つのリファレンスモデルの概要

1.1 APQC PCF[1]

1.1.1 フレームワーク構築の背景

 APQC(American Productivity and Quality Center)のPCF(Process Classification Framework)は,1991年に80以上の機関の参画を得て,ベンチマーキングを行うためのビジネスプロセスの分類として策定されました。
 その後新しいビジネスモデル等を反映させるために,2003年に改訂作業がなされ,現在はバージョン5がリリースされています。以降は、ほぼ完成系となったVer3.0をもとにご紹介しています。

1.1.2 フレームワークの構造

 APQC PCFは,垂直方向には,
・Category(例 8.0)
・Process Groups(例 8.1)
・Process(例 8.1.1)
・Activity(例 8.1.1.1)
 というように細分化されており,プロセス名等の先頭につく番号でどのレベルにあるものかがわかるようになっています。
 最上位であるCategoryは,オペレーションプロセスとマネジメント&サポートプロセスに大きく分類され,合計12のカテゴリが用意されています。

Operating Processes
1.0 Develop Vision and Strategy (3)
2.0 Design and Develop Products and Services(1)
3.0 Market and Sell Products and Services(6)
4.0 Deliver Products and Services(5)
5.0 Manage Customer Service(4)
Management and Support Processes
6.0 Develop and Manage Human Capital(6)
7.0 Manage Information Technology and
  Knowledge(6)
8.0 Manage Financial Resources(9)
9.0 Acquire, Construct, and Manage Property(5)
10.0 Manage Environmental Health and Safety(6)
11.0 Manage External Relationships(5)
12.0 Manage Improvement and Change(5)
  ()内は,Process Groupの数。

 なお,定義の粒度にはバラツキがあり,Activityレベルは定義されていないプロセス,逆にさらに下位が設定されているものがあります。

1.1.3 ベンチマークによるBPR

 APQC PCFのBPRは,ベストプラクティス企業とのベンチマーキングを行うことを基本としています。
 このベンチマーキングのために,表1に示すようにのプロセスグループごとに,1200もの指標を用意しています。

表1.APQCが提供する指標
APQCが提供する指標

1.2 SCOR[2]

1.2.1 SCORの体系

 SCOR(Supply Chain Operations Reference model)は1997年に米国で非営利団体として設立されたSCC(Supply-Chain Council)が策定・管理しているサプライチェーン分野での唯一のスタンダード・ビジネスモデルです。
 図1に示すように,SCORモデルではサプライチェーンをPLAN(計画),SOURCE(調達),MAKE(生産),DELIVER(配送),SOURCEとDELIVER夫々のRETURN(返品)のプロセス、および図2にはないですが各プロセスを実現するための管理・制約・条件などの要因を規定するENABLEから構成されると定義しています。

SCORモデル[3]
図1 SCORモデル[3]

1.2.2 SCORのプロセスモデル

 SCORでは,サプライチェーンプロセスを図2に示す5層構造で構成されるものと定義しています。SCORではこのうち企業の独自性が現れにくい上位3層までをスタンダードとして提供しています[2]。

1.2.3 SCORのBPRプロセス

 SCORのBPRプロセスは図3に示すU字型のアプローチを採用しており,レベル4以下で業務フローの検討をします。レベル1では,サプライチェーンに関連する組織(プレイヤ)のどこでどのような機能が働いているのかを鳥瞰し、レベル2では,マテリアルフローに着目して,地理マップ上にプレイヤを配置してレベル2のプロセスをマッピングするとともに,物流と計画系との関連を把握します[2]。

SCORのプロセスモデル
図2 SCORのプロセスモデル

SCORのビジネスプロセス
図3 SCORのビジネスプロセス

 To-Beモデルを検討する際に利用するのが,表2に示す指標です。レベル3まで指標は準備されており,かつ,プロセスとの関係,上位指標との関連も定義されています。

表2.SCORのMETRICS
SCORのMETRICS

2. 2つリファレンスモデルの要件適合性

 先月号で示した要件に対する2つの候補の適合状況を整理したものを表3に示します。

表3.APQC PCF,SCORの要件適合状況
APQC PCF,SCORの要件適合状況

 次号では、この評価結果についてさらに考察を深めます。

(参考文献)

[1] APQC PCF,http://www.apqc.org/pcf
[2] バリューチェーンプロセス協議会:「プロセス参照モデル紹介」:
http://vcpc.org/modules/d3downloads/index.php?page=visit&cid=6&lid=23
[3] SCOR: SCC Home Page.http://supply-chain.org/scor

*本Webマガジンの内容は執筆者個人の見解に基づいており、株式会社オージス総研およびさくら情報システム株式会社、株式会社宇部情報システムのいずれの見解を示すものでもありません。

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