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「消費税率変更に伴うシステム変更」
株式会社オージス総研

2012年11月号
  • 「消費税率変更に伴うシステム変更」
株式会社オージス総研   伊藤 泰子

  この原稿の執筆時点では、消費税率は2014年(平成26年)4月から8%、2015年(平成27年)10月から10%に引き上げられる事がそれぞれ予定されています。ただわかっているのは税率があがるという点のみで、合わせて実施されるはずの軽減処置については、なにかしらの給付になるのか?それとも食品など生活必需品については軽減税率が導入されるのか?よくわからない状況が続いています。
 とはいえ、2014年4月から消費税率が変更になる確率は高いため、システム屋としては管理しているシステムへの影響が気になるところです。消費税は会計システムだけでなく、売上、仕入に関わるシステムそれぞれに関わってくるため、システムとしては広い範囲で影響を確認しなければならないからです。

 1989年4月に消費税が導入された当初は、そもそも消費税というものがなかったため、システム変更は請求書などの帳票の変更もあり大きな変更となりました。またその当時消費税率3%を固定率としてシステムに取り込んだシステムについては1997年4月の消費税率5%対応が必要になり、消費税は変動するという要件を盛り込まれたシステムも多かったように思います。
 今回、システム変更という観点で一番やっかいなのは1取引に複数税率適用明細が含まれるパターンかと思っています。具体的には食品スーパーなどが例として一般的でしょう。まだ日本では適用されていないので、税だけフランスの仕組みを借りてくると、トリュフとフォアグラとキャビアを一緒に買った場合、トリュフとフォアグラは軽減税率5.5%、キャビアは19.6%で、複数税率が1取引に入っているパターンになります。このように複数税率がある場合には商品コードに適用される税率(変更になる可能性があるので、システムとしては税コードにする事が多いです)を適用してPOSなどのシステムで計算し、消費税管理、申告にかかわる会計関連システムには課税元額と、税額および必要事項を連携します。
 会計伝票としては明細毎に税分類コードを持っていても、入力を簡略化するため元システムで何かロジックを組んでいる可能性もあり、複数システムの整合性を確認する必要があります。連携時に税コードを連携元システムは1桁、会計システムは2桁で変換などをかけていたりする場合も注意が必要です。切り替えが5%→8%、8%→10%と2回行われますので、切り替え前後にはこれらの税コードが混在する事になり、テストパターンは増える事が予想されます。

 他にシステムに影響を与える用件として、経過処置として基準日をまたがる契約日と実行日をもつ取引対応があります。こちらはすでに3%から5%にあがった時にも行われていますが、今回は2段階という点での影響はないか多少気になります。

 経過処置の例の内、一番インターネットで紹介されているのは、請負工事で家を建築する場合です。経過処置期限までに契約を締結すると、引渡し時点に税率が改定されていても前の税率が適用されます。ただし経過措置の期限以後に追加発注などで対価が増額された場合、改正前の税率が適用されるのは増額前の部分に限られるなど注意事項がいくつかありますので、実際のパターンをすべてシステム化した方がよいかは注意が必要です。例外処理は基本的に全部取り込もうとすると、かかるコストは取引数にくらべて大きなものになりやすいので、費用対効果の検討が必要になります。ただ今回は2段階アップの予定ですので、通常より管理は煩雑になりやすいためなんらかの管理の仕組みはあったほうがよい可能性が高いと思われます。

 後、前売り券は実際の乗車日や公演日ではなく販売日で判断。ガス・電気などの検針をともなう請求の場合は月がまたがる場合は期限からひと月以内であれば改定前の税率なども経過処置の例になります。

  経過処置は業種毎に影響が大きく異なりそうですが、今回のシステム変更は消費税という大きな法律変更です。パッケージ、アウトソーシングという形で変更コストの分散を行っている場合はその対象になるでしょう。ただ、システムは単独で動いているわけではありません。影響範囲を把握するのは各社必要で、関係システムの管理者で対応するのか、システムモデルなどを事前に作成して管理するのか、これまたシステムの維持管理コストに関わってきます。
 今回の消費税率変更予定まで後1年半を切りました。影響範囲の把握は今年度中に終えて、システム改修は影響範囲の量で対応というのが多いパターンでしょうか。制定されれば法律の事なので対応は必須。対応完了にいたる道筋は1本ではありませんが、先の事も考えつつ効率的に進める手段をとりたいものです。

*本Webマガジンの内容は執筆者個人の見解に基づいており、株式会社オージス総研およびさくら情報システム株式会社、株式会社宇部情報システムのいずれの見解を示すものでもありません。

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