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「グローバル時代の製造業のIT人材 「戦うマザー工場」へのIT部門からの貢献 その1」

2013.03.11 株式会社オージス総研  宗平 順己

東京大学ものづくり経営研究センターの藤本先生へのインタビュー記事(New Leader, 2012.1)で、日本の製造拠点は「戦うマザー工場」になるべきだと言っておられました。これはどういうことかについては、次号以降詳しく紹介していきます。
このコンセプトに実は深~い関係があると、私は思っているのですが、平成24年3月に経済産業省から以下の画期的な報告書が出されました。

「次世代高度IT人材モデルキャリア開発計画事業報告書」
http://www.meti.go.jp/policy/it_policy/jinzai/FY23_ITJinzaiIkusei.htm

ここでいう高度IT人材はこれまでのSE像とは全く違って、ITを使って新しい事業を創造できる人材、もう少し別の言い方をすると「儲けるIT活用」を実現できる人たちのことを指しています。
この報告書では、ITを使った新しい事業創造の事例を95集め、さらにそこで活躍した人材41名にインタビューをして、新しい人材像を定義しています。
その結果、価値発見、サービス設計、事業創出という新製品・新サービスの創出プロセスを定義し、さらにそのプロセスにおける活動内容を定義したのちに、以下の6つの人材を高度IT人材として定義しています。

また、これらの人材は、ITSSやUISSといったこれまでのSEやコンサル系の人材体系とは全く別の人たちで、現在の教育の延長線上では育成できない人であると述べています。
実は従来、少し飛んだ発想をする人をシステム開発の現場では排除してきたのですが、これからはむしろそういう人材こそが重要になってくると言っています。
ITが効率化やコスト削減といった使い方ではなく、もっと価値のある使い方をしだしたことから、このような新しい人材が求められるようになってきたのだということができます。
以前の連載で「Crowd Sourcing」ということをご紹介したかと思います。インターネット上のコミュニティの人達の知恵やアイデア、労力を使って、イノベーションを起こすということです。
「MAKERS─21世紀の産業革命が始まる」に書かれていることも、私はCrowd Sourcingの例であるととらえています。安価な3次元プリンタや無料のCADソフトなどの普及を通じて、インターネットを介して、企業の研究所が製品アイデアを求めたり、都会のまち工房を使った多品種微量生産のビジネスが立ち上がってきています。
製造業×クラウドの新しい解が生まれようとしているのだと思います。

次月号から、新しい日本のマザー工場のモデルと次世代高度IT人材との関係を解き明かしていきます。

*本Webマガジンの内容は執筆者個人の見解に基づいており、株式会社オージス総研およびさくら情報システム株式会社、株式会社宇部情報システムのいずれの見解を示すものでもありません。

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