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「業務棚卸しのススメ」
株式会社オージス総研

2013年06月号
  • 「業務棚卸しのススメ」
株式会社オージス総研   小山 孝司

 昨今、企業内で「スマートワーク」や「ワークダイエット」というような表現で業務の効率化を目指す動きが高まっています。業務を効率化することによりコストダウンを図るとともに、空いた時間を重点業務(コア業務)や個人のスキルアップ活動に割り当て、有効に活用しようというものです。
 一口に業務の効率化と言っても、いろいろな手段があります。今までの業務のやり方そのままで生産性をアップすることは困難です。業務のやり方を根本から見直すビジネスプロセスリエンジニアリング(以下BPR)という手法があり、比較的業務プロセスが長く複雑な、営業系や生産系の業務では大きな効果が期待できます。しかし、経理、総務、人事などの間接業務はどちらかというと定型の小さなプロセスが多く、BPRの効果は出しにくいといえます。ここでは、どこの企業にもあり、コストセンターとして位置づけられることが多く、効率化を求められる経理、総務、人事などの間接業務について考えてみます。
 間接業務の効率化の手段としては、マニュアル化(属人性排除、生産性向上)、外注化(ビジネスプロセスアウトソーシング、以下BPO)、システム化などがありますが、どの業務でもこれらの手段がとれるわけではなく、これらの手段に向いているかどうかを判定する(仕分けする)必要があります。
 業務を仕分けるためには、その組織にどのような業務が存在するのかが明確になっていないとできません。実際に業務が回っているのだから、それくらい分かるだろうと思われるかもしれませんが、意外に網羅的には把握できていないものです。そもそも担当者しか業務の存在を知らなかったり、手順が担当者の頭の中にしかなかったりと、属人化していることが往々にしてあります。どの組織にも「業務分掌」という形での業務一覧は存在するのですが、非常に粗いものであったり、組織間で書き方が全く異なっていたりと、統一的に使える業務一覧になっていないことが多いです。このため、まず、粒度を揃えた業務一覧を作ることから始める必要があります。
 弊社では、お客様の業務棚卸し(仕分け)作業をご支援する場合、「図1. 業務棚卸しのステップ」に示す手順で作業を進めます。

業務棚卸しのステップ
図1 「業務棚卸しのステップ」

以下、簡単に手順をご説明します。

1. 計画・準備

 まず、組織の業務分掌などから、できるだけ小さな業務の塊(作業手順の集まり)を洗い出し、なるべく粒度(レベル感)を揃えた業務一覧を作成します。業務の内容が分からない場合は、次のステップの現状調査で業務一覧の分割、結合を行い、粒度を揃えます。
 次に、どの業務効率化手段に仕分けるかを判定するための評価項目を、お客様の業務特性に合わせて設定し、担当者に記入してもらう業務調査シートを作成します。表1.に業務調査シートの例を示します。

表1 「業務調査シート(例)」
業務調査シート(例)

 評価項目は複数あり、直接業務効率化手段とは結びついてはいませんので、複数の評価項目の値から特定の業務効率化手段に仕分けるための判定基準を作成します。(表1.には記載していません)
 業務調査シートが完成したら、担当者グループ(同一業務を担当)ごとの業務調査シート記入とヒアリング実施のスケジュールを作成し、適切な対象範囲ごとに説明会を実施します。ここで大事なことは、担当者に業務調査の目的をきちんと理解してもらうことです。このような調査は、自分の仕事がなくなるのではという疑心暗鬼に陥りがちですので、そうではなく、目的は業務削減や業務効率化、相互補完体制作り、付加価値の高い仕事へのシフトなどであることを、組織長から伝えてもらうことが重要です。

2. 現状調査

 スケジュールに従い、担当者に業務調査シートを配布して期限までに記入してもらいます。調査シートの業務が粗い場合には行(小分類)を追加してもらいます。
 業務調査シートを回収し、予め目を通してヒアリングポイントの整理などの準備を行います。
 業務仕分け基準を意識しながら、業務調査項目を中心にヒアリングを実施します。必要に応じて行(小分類)の追加や結合を行い業務の粒度を揃えます。
 業務概要や業務調査項目についてのヒアリング結果を業務調査シートにまとめ、業務仕分けの仮判定を行います。表1.の上2行はこの状態の例です。

3. 業務仕分け

 適切な対象範囲ごとに、業務仕分けの本判定を行います。マニュアル化は全ての業務で可能ですので、マニュアル化することに意味があるかどうかという判定になります。また、マニュアル化は他の手段と排他的ではありませんので、マニュアル化を行ったうえで外注化する、というような組み合わせの判定結果もあります。システム化が可能な場合には、それを実施した後でマニュアル化を行う方が効率的です。頻度の低い小さな業務などでは現状維持という判定もあります。
 また、図1.には明示していませんが、対象業務が十分に効率化されていない場合には、「業務改善」のステップを置く方が望ましいです。その中で業務の「廃止」、「頻度削減」、「集中化」、「均質化」、「簡素化」などを検討します。
 業務仕分けの結果をお客様(事務局や管理者)に確認してもらい、認識の相違がある場合には再検討、調整を行ったうえで決定します。

4. 改善計画策定

 業務仕分けの結果に基づき、お客様の改善方針や優先度を考慮して、各業務効率化手段による改善計画の策定を支援し、組織長への答申ができるようにします。

 以上のように、業務棚卸しは労力がかかりますが、お客様ご自身で行うことができますので、業務効率化のニーズがあれば是非取り組まれることをお勧めします。
 マニュアル化については、「「業務の見える化」とは?」 をご参照ください。
 また、外注化の参考として、「BPOに活かすITガバナンス」もご参照ください。

*本Webマガジンの内容は執筆者個人の見解に基づいており、株式会社オージス総研およびさくら情報システム株式会社、株式会社宇部情報システムのいずれの見解を示すものでもありません。

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