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「デザイン思考 その9 -テスト-」
株式会社オージス総研

2014年03月号
  • 「デザイン思考 その9 -テスト-」
株式会社オージス総研   竹政 昭利

 スタンフォード大学デザインスクール「d.school」※1では、デザイン思考のステップとして、"共感"、"問題定義"、"創造"、"プロトタイプ"、"テスト"の5つを定義しています。前回は"プロトタイプ"のステップについて説明しました。今回は、"テスト"のステップについて見ていきます。

 "プロトタイプ"では、実際に目で見て、手で触れることができるものを作りました。"テスト"では、その"プロトタイプ"で作成したものをユーザに試してもらい、解決策のアイディアが適切なものであるかを検証します。

spacer アクティングアウト
図1 アクティングアウト

 "テスト"では、ユーザ(またはユーザ役)に実際の利用状況をイメージしてもらうために、アクティングアウトと呼ばれる寸劇を行います。(図1)この寸劇にはユーザもいっしょに参加します。

 アクティングアウトは、単にストーリーを説明するだけではなく、共感が得られるような内容になっているのが理想的です。
 短いストーリーで共感が得られるものとくれば、ストーリー性のあるCMが参考になるかもしれません。
 ソフトバンクモバイルの「白戸家」シリーズ、トヨタ自動車の「トヨタウン」という街でおこるいくつもの物語。部下の抱く理想の上司像が崩れる宝くじ「ロト7」など最近はストーリー性の高いものが多くあります。これらは、単に商品の宣伝をするのではなく、見ている人に共感の種を植え付けていくものです。アクティングアウトでもそのストーリーを通してユーザから共感が得られかどうか確かめます。
 アクティングアウトでは、まず状況の簡単な説明をして、それから実際にユーザに試してもらいます。アクティングアウト中は、ユーザを観察し、ユーザの表情や、思った通りに使ってくれているかを確認します。
 もちろん、ユーザにアクティングアウトを通してアイディアを評価をしてもらいます。評価には、フィードバックマップ(図2)を使うのも良いでしょう。

spacer フィードバックマップ
図2 フィードバックマップ

 フィードバックマップは、左上に良い点を示すプラス、右上に改善を示す三角形、左下に疑問点を示すクエスチョンマーク、右下に新たなアイディアを示す電球マークを書きます。
 それぞれの領域に評価コメントを書いたポストイットを貼っていきます。
 "テスト"のステップでの評価の結果によっては、"共感"、"問題定義"、"創造"、"プロトタイプ"など前のステップに戻ります。
 "創造"でアイディアを出し、"プロトタイプ"でそのアイディアを形にしましたが、そのアイディアが適切かどうかを"テスト"で検証します。ユーザの反応が芳しくない場合は、"創造"に戻り、新たなアイディアを考えます。
 また、"共感"のステップにおいて、ユーザ自身も知らないインサイト(洞察)を探り、"問題定義"でインサイト(洞察)と思われるものを仮説として定義しました。"テスト"において "問題定義"でのインサイトの仮説が間違っていれば、"問題定義"に戻ります。

 "テスト"のステップにおいて、うまくいっているかどうかを確かめることも重要ですが、「素早く失敗する」ことも重要です。実際にアイディアを実行に移すより前に、できるだけ早い段階において「素早く失敗する」ことでより早く正解にたどりつくことが可能になります。

※1 スタンフォード大学デザインスクール(「d.school(Institute of Design at Stanford)」)
※2 デザイン思考家が知っておくべき39のメソッド P40
スタンフォード大学  ハッソ・プラットナー・デザイン研究所
慶應義塾大学 SFC デザイン思考研究会[編集]
柏野尊徳[監訳]木村徳沙/梶希生/中村珠希[訳]

*本Webマガジンの内容は執筆者個人の見解に基づいており、株式会社オージス総研およびさくら情報システム株式会社、株式会社宇部情報システムのいずれの見解を示すものでもありません。

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