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「ビジネスを解析する手法とその比較(上)」

2014.09.19 株式会社オージス総研  乾 昌弘

1. はじめに

BA(Business Analytics)という言葉が注目されています。少し抽象的な言葉であるため、その捉え方は多種多様です。一般的な考え方としては、BIと比較して予測や最適化ができるソリューションとして捉えられています。
ここでは、予測や最適化ができるソリューションを含め、以下の4種類のビジネスを解析する手法(ソリューション)を紹介して、それらを比較します。
(1)数理計画法
(2)BRMS(Business Rule Management System)
(3)統計解析(データマイニング)
(4)行動観察

2.数理計画法

2-1.数理計画法とは、

(1)数理計画法は最適化手法の一つです。最適化とは、ある制約のもとで評価関数の最小値または最大値を求める事です。

(2)制約には、ハード制約ソフト制約があります。ハード制約とは、いわゆる制約のことで、この条件を満たさないと解にはならないということです。ソフト制約とは優先順位を表します。これらの制約のもとで、評価関数の最小値あるいは最大値をもとめます。

(3)制約式、目的関数を決めれば、現実問題を簡単化したモデルができたことになります。一般的にモデルが現実と違わないかの検証が重要となります。

2-2.非線形問題

(1)ビジネスの世界は多くの場合、非線形状態です。その解法を山脈に例えてみましょう。目の前に山脈があり、一番高い地点は何処かを探すとします。晴れている時は容易に見つけられますが、雲が掛かっていて輪郭が見えないため実際に登って確かめると仮定します。高い地点が見つかったとしても極大値かもしれません。ちなみに極大値でも実用上問題がない時も多くあります。いずれにしても最大値あるいは最小値を求めるには、労力と時間が掛かることがわかります。

非線形問題
図2.1 非線形問題

(2)例えばRed Hat社製のOSSであるOptaPlannerは最適化アルゴリズムとしてDepth-first-search、Hill-Climbing、Simulated Annealing、Genetic Algorithmなど(経験的手法を一般化した)メタヒューリスティックを含む15種類が用意されています。対象領域やアプリケーションによって、どのアルゴリズムがよいかが違ってきます。極端な場合ですが、もしどれがよいかわからない場合は、全部試してみるのも一つの方法です。

参考文献:「OptaPlanner User Guide」

2-3.事例

当社Webサイトのビッグデータのページを御参照下さい。

参考記事1:「オープンソース最適化エンジン「OptaPlanner」を利用したシフトスケジューリング作成支援ソリューション」
参考記事2:「オープンソース最適化エンジン「OptaPlanner」を利用した業務最適化支援」

3.BRMS(Business Rule Management System)

3-1.ルールベースの概要

ルールベースは、もともとエキスパートシステムの中心的な機能として、一世を風靡しました。その後BRMSとして復活を遂げたのです。
(1)一つ一つのルールがグループ化されたルールベースは推論エンジンにより実行されるのですが、ルールの順番に関係なく実行していくので、ルールの追加が容易でプロダクションシステムとも呼ばれています。
順番が重要になるBPMと使い分けて使用する場合もあります。
(2)Forward Chaining事実からルールを次々と芋づる式に実行して結果を求めるのが、Forward Chainingです。逆に仮説が成り立つかを確かめるため、ルールを逆に辿っていくのが、Backward Chainingです。BRMSは、通常Forward Chainingが使われています。

ルールベース
図3.1 ルールベース

3-2.BRMSの目的

規約などたくさんのルールをプログラムの中で書いていくとわかりにくいために、ルールだけをBRMSで管理する方法が幅広い分野で用いられています。こうすることによって、ミスを少なくし保守性を向上させることができます。

参考記事:「Red Hat社が提供するビジネスルールマネジメントシステム(JBoss BRMS)」

3-3.事例

保険会社をはじめとする金融関係の審査業務やエネルギー料金計算、商品管理などに用いられています。
参考記事:「『超高速開発』が日本を救う」日経コンピュータ2012.3.15号

4.統計解析

4-1.データマイニング

統計解析の中でも特にデータマイニングは、一見関係のないデータどうしの相関関係を見つけるのに役立っています。データマイニングの手法は幅広いですが、例えば、クラスター分析、アソシエーション分析、決定木、ニューラルネットワーク、テキストマイニングなどがあります。

4-2.統計解析の留意点

(1)目的をはっきりさせる
「予算があるので統計解析をして何か有用な結果を得たい」といったお客様もおられます。まず、統計解析をする目的を明確にすることをお薦めします。
(2)データのクレンジング
前処理として、欠損値や外れ値をおさえておくのも重要な作業です。
(3)解析結果の解釈
結果の確からしさを検証して、思い込みを避ける必要があります。

ちなみに、大阪ガスグループ内に対して行っているデータ分析講習を、オージス総研が外向けのお客様にも行っています。コースは以下のようなステップからなりたっています。

ステップ
図4 コースのステップ

参考記事:トレーニングコース「データ分析の設計とその解釈」

4-3.事例

参考記事:「データ分析・利活用、高度分析コンサルティング」
を御参照下さい。

この続きは次号で行います。

*本Webマガジンの内容は執筆者個人の見解に基づいており、株式会社オージス総研およびさくら情報システム株式会社、株式会社宇部情報システムのいずれの見解を示すものでもありません。

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