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「システムは人で動く! ~その3つの理由とは?~」

2013年07月号 全般 OCP-プロジェクトマネジャー(L5)    齊藤 剛

タイトルを見て「?」と思われる方も多いでしょう。
情報システム(以下、システム)は、コンピュータ上で動いているのは言うまでもありません。でも、長年システム開発に携わっている方ほど、「人で動く」に頷いて頂けるのではないでしょうか。

◇◇◇

人で動くという理由は3つあります。

まず、システムを望んだ「人」がいます。
システムは、ハード+ソフトだけで動かすのではありません。
そもそもシステムとは、コンピュータを使って業務を処理する仕組みのことを指しており、そこで取り扱われる業務データ、業務内容、業務を進める手順やルールまでが含まれています。
即ち、システム化を望んだお客様には何某かの業務上の課題があって、それを解決したいという想いによって、システムが出来あがっている訳です。

次に、システムを作った「人」がいます。
システムは、お客様の要件に基づいて設計・開発が進められる訳ですが、もちろんここにも人が大勢携わります。利用者が使いやすい画面デザインや操作性を考えたり、高い処理効率や生産性・品質の高い設計やプログラミングを行って、より良いシステムを作ろうとするSEやプログラマー達の想いが込められています。

最後に、システムを運用している「人」がいます。
例えば、基幹システムともなると、常時システム監視している「人」が必ず存在します。彼らはシステムのスムーズな運用に日々努めると共に、いざ障害が発生した場合は深夜でも復旧に全力を尽くしてくれます。
システムを滞りなく動かしてくれている人たちがいる事を忘れてはいけません。

◇◇◇

システムって結局は、人の想いで作られ、動いているのだと思います。
システム開発プロジェクトのPMとして、2つめは自分が直接携わっている部分なので忘れる事は無いのですが、1つめと3つめはプロジェクトの前後の事なので、結構忘れがちになります。

1つめの”システム化を望んだ「人」”の想いは、システム化の目的という形でシステム計画書に記載されます。ただ、暗黙の了解とされがちな部分も多く、何の為のシステムかをお客様側と開発側で認識が合っていない、或いは、PMは知っているが、他のメンバーまで周知されずに開発を進めるといったケースもあります。当然、そのような状態で出来上がったシステムが最良のシステムになるはずがありません。システム化の目的はしっかりとドキュメントとして残し、お客様を含めたプロジェクト全体で共有しておきましょう。
システム化の目的は、開発プロジェクト途中における様々な調整毎の判断軸になりますので、常に意識しておく事が重要です。

3つめの”システムを運用している「人」”に対してですが、運用を意識せずに開発を行うと、手順が煩雑になってやたらと人手が必要になったり、システムトラブルが頻発するといったケースに繋がります。
そうならない為には各種設計ドキュメントをしっかり残す事や、メンテナンス系機能や障害監視の仕組み等のシステム利用者(ユーザ)から直接目に触れない部分もちゃんと作り込んでおく事が大事です。
システムを運用する人の為に作る事は、スムーズな運用に繋がり、システム利用者の為にもなります。

「システムは人で動く」を忘れずに開発プロジェクトを進めると、成果物がより良いものになると思います。

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