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「お客様との会話から考えさせられたこと」

2014年05月号 コミュニケーション OCP-プロジェクトマネジャー(L5)   山道 正英

かなり前のお話になりますが、基幹業務システムを本番稼動させたお客様のご担当と、ある席でばったりお会いし、その当時のお話をする機会がありました。
このご担当は、業務だけでなく情報システムの知見・経験も非常に豊富で、プロジェクト中は当社メンバーへ厳しくご指導いただきつつも、非常に温かく見守って頂きました。

今回はそのご担当との会話から、いろいろ考えさせられた内容をコラムにしてみました。

『本番稼動前に、こんなに暇だったのは初めてだ』
ご担当曰く、「今まで関わってきたシステムでは、本番稼動前はシステム側も業務側も深夜まで残業だ、休日出勤だ、と大変な思いをしてきた。しかし今回はそんなこともなく、みんな適宜切り上げ、飲みにも行けた。(笑)」と。

当社では「静かな稼動開始」を謳うプロジェクトマネジャーも多く、稼動前後でバタバタするプロジェクトは減ってきていますが、世間的にはまだまだ稼動前後はバタバタする、というのが常識(?)なのかと、この‘常識’は変えなければと再度認識しました。

『うちに欲しい』
ご担当曰く、「本番稼動後運用していく中で、いろいろ利用者から要望が出てきているが、貴社メンバーからの提案・対応が早いので大変助かる。」と。
さらに「山道さん、xxさんをうちの社員にできないか?我々は本気だ。(笑)」とも。

お客様の動向を常にチェックし、それに対して的確な提案・対応をするのは、当たり前と言えば当たり前です。でもお客様から(社交辞令とは言え)、こういう形でお褒め頂き、信頼を得ている仲間がいるのは非常にうれしく、またこうやって褒めていただけるお客様とはずっとお仕事したい、と心の底から思いました。

『PDCAのサイクルが短縮され、利用者も喜んでいる』
ご担当曰く、「システム稼動まではあくまで計画で、稼動させてからが実行。実行すれば自ずと改善点が発生するので、それを素早く修正して提供という、傍から見れば当たり前、でもこれがなかなか出来なかった...」と。

今までは様々な制約があり、利用者の要望に素早く対応できなかったようで、新システム稼動後は素早く対応できる・していることもあり、利用者からの評判も上々とのことです。まさに素早く動く、という考え方が大事なのだ、と再度認識しました。

『こうすれば出来る、と言ってほしい』
ご担当曰く、「打合せで技術的な制約事項を並べ立てて『それはできない』というエンジニアにはなってほしくない。制約があるなかで『これだったら何とかなります。』と言えるエンジニアになってほしい。」と。

もちろん技術的な制約事項があれば、それははっきり明示するのがエンジニアだとも仰っていましたが、要は前向きに考え、出来ないということで思考停止してほしくない、とのこと。「出来ない」といって終わりにしてはいけない、と再度認識しました。

『「お客様」が常に正しいとは限らない』
ご担当曰く、「エンジニアの対面となる『お客様』が、正確なことを言っているとは限らない。『お客様』が間違っていればちゃんと正してほしい。わしも100点じゃなかっただろ。(笑)」と。

我々が対面する『お客様』には、いろんなタイプの方がいらっしゃいますし、ひょっとすると我々が何か申し上げると、気分を害される方もいらっしゃるかもしれませんが、『お客様』のことを真剣に考えた上で申し上げれば、最後にはご理解いただけることも多いのでは、と思いました。

いかがでしたでしょうか? 
このような形でコラムにすると、いずれも当たり前のこととして済まされそうですが、自分だけではなくメンバー全員が意識しないとできないことです。今回は、お客様との会話から改めて気づかされたのですが、実はこのような会話ができることが重要なことだと思います。皆様もお客様から率直なお話を伺う機会を設けてはいかがでしょうか?

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