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2010年11月26日(金)

行動観察と社会心理学

第10回 どうすれば優れたチームワークを育むことができるか(1)-チーム・マネジメントの心理学①-

 個々のメンバーが担当する役割を十分に達成すれば、おのずとチームワークも十全に完遂されると思いがちである。しかし、それは、積み木で家を建てることと似ていて、非常にもろいものであると思っておかなくてはいけない。個々のメンバーの仕事を連結させ、ずれないようにバインドして、頑健な全体を編み上げる「連携の活動」なしに、高品質で効率的な仕事を実現することは難しい。チームワークという言葉が、本来の「チームで行う仕事」の意味以上に、この「連携の活動」という意味で使われることを考えると、チームによる仕事の成果の良し悪しは、連携のありようにかかっていると、多くの人が感じているといえそうだ。

 良いチームワーク、優れたチームワークとはどのようなものだろうか。簡潔に定義すれば、チームの目標達成を促進する働きを持ったメンバー間の連携活動といえるだろう。もし、チームとして連携するための行動があらかじめ決められていて、その通りに行動しさえすれば優れたチームワークが発揮できるのであれば、メンバー各自があらかじめ決められた行動を間違いなく実践しさえすればよいということになる。しかし、実際のチーム活動はそれほど単純ではない。互いの活動を円滑に連携させるには、相手のようすをよく観察してタイミング良く間合いを取る必要があるのは、誰もが経験的に知っていることだろう。そもそも、あらかじめ決められていた通りに行動すればうまくいくときだけならば楽なのだが、時には想定外の事態も発生するのが現実であり、そんなときにこそ、チームワークが求められることが多いのである。メンバーが互いの活動状況に関心を配り、自分の仕事の進め方を調整しあったり、不測の事態でも円滑に連携して問題に対処したりするためには、それなりの心理的な基盤が形成されていることが必要である。チームワークは、行動レベルの連携と、心理レベルの連携の両者が融合して形作られているといえるだろう。

 チームワークは、メンバー全員が一緒に仕事をする中で、次第に学習されていくものである。下図に示したように、メンバー間でコミュニケーションをとって、連帯感や我々感情が醸成される中で、「チームの志向性(チーム全体に共有されているチーム活動に対する心構え)」と、一人ひとりが発揮する「チーム・リーダーシップ(管理者やキャプテンなど特定の立場の個人だけが発揮するのではなく、各自がチームの目標達成を促進させようと発揮する影響力)」の二つの心理的な要素が形成されてくる。そして、実際にチームワーク行動を経験するなかで、互いの行動をモニターして、気づいたことがあれば、それをフィードバックして教えあったり、仕事がはかどらずに苦しんでいるメンバーに気づいたらそれを支援したりして、そうする過程で発生する仕事の負担の偏りや歪みを相互調整してチーム全体のパフォーマンスを高めていく。こうした経験は、チームの指向性とチーム・リーダーシップの成長に影響を及ぼし、次なるチームワーク行動の充実にかかわってくる。yamaguchi10.jpgのサムネール画像 チームワークは経験を経て、チームの中で学習され発達してくものである。パソコンのアプリケーション・ソフトのように、買ってきてインストールすればすぐに機能するという性質のものではない。したがって、その育成にも時間がかかることをあらかじめ想定しておく必要がある。しかも、チームワークは変動性に富んだ双発特性であり、ただ成行きにませていただけでは、優れたチームワークに成長するとは限らないことも覚悟が必要だ。優れたチームワークを育成するには、的確なチーム・マネジメントを行う必要がある。それはどんなものなのだろうか。次回は、この問題について議論しよう。 

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