第19回 70デザイン項目を活用してシステム、製品の使用実態や問題点を探る(7)

2011.09.02 山岡 俊樹 先生

 製品やシステムのエコロジー対応をしているのか調べることにより、その企業の社会に対する責任感や設計力の高さを知ることができる。このエコロジーデザインを行うには下記の5項目がある。この5項目を調べることによりどの程度エコロジー対応をしているのか分かる。

(1)耐久性があること
 簡単に言えば、長持ちすることである。白熱灯→蛍光灯→LEDの順で耐久性がある。
(2)リサイクリングが可能
 何回も再利用できることである。その為には、分解が容易、材料にマークをつける、部品の単純化などを検討する。これらの3項目からリサイクルが可能かチェックすることができる(図1、2)。

yamaoka19-1.jpgのサムネール画像
図1 部材毎分離して、リサイクルが可能となっている。ペットボトルとプラスチック製のシールを容易に分離することができる。

yamaoka19-2.jpgのサムネール画像
図2 ゴミの分別を行うゴミ箱

(3)材料を少なくする
 少量の材料でデザインするようにする。
(4)最適な材料の選定
 地球環境や我々の体に悪い影響を及ぼすような材料は使用しないことである。
(5)フレキシビリティのある設計(部品の交換など)
 部品の交換(図3、4)が可能なようにフレキシビリティのあるデザインにする必要がある。これにより製品の寿命を延ばすことができる。


図3  洗剤の詰め替え用パック


図4 シャープペンと替え芯

 エコロジーデザインの観点から、ユーザの行動が直接分かるわけではないが、ユーザの行動を規定する世の中の動きを把握することができる。以前はゴミを捨てるのに分別もせずに捨てていたが、時代が変わり、図2のようにペットボトル、プラスチック、紙、カンなどと分けて捨てなくてはならなくなった。ところで、ホテルの室内では燃えるゴミと燃えないゴミの2つのゴミ箱が置かれているケースが多い。宿泊客に面倒な分別作業を避けるために2つのゴミ箱にしているのかも知れない。そこにホテルのお客に対する配慮を読み取ることができるかもしれない。

※先生のご所属は執筆当時のものです。

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