RESEARCH & CONSULTING

事例紹介

商品・サービス開発

シニアをターゲットとした新業態ビジネス策定のご支援ー 企業視点からユーザー視点への変換による新たな“コミュニティの場”の実現 ー

顧客名ティップネスさま

実施時期2017年(約7か月間)

概要

近年の少子高齢化やそれに伴う健康寿命の考え方が社会の変化とともにめまぐるしく再定義されていく中、ティップネスさまにおいては、プレシニアを含めたコミュニティ重視の新しい活動の“場”の提供から、一人でも多く“介護の必要ない人=元気に活動できる人を増やす”をめざして、新たなフィットネスジムのあり方を考えておられました。要介護者が少ないエリアは、社会的な負担が少なく、さらには元気な地域の創出にもつながることから、ティップネスさまは地域や“場”を大切にした「還元型の新ビジネスモデル」を実現しようとされていました。

そこで、私たちは活動目的として、『シニアも含めた新しい運動コミュニティの新業態、サービスをデザインする』をテーマに、50代(プレシニア)~60代(シニア)のインサイト(深い行動の理解とその心理洞察)の導出から、ターゲット層とそのプログラムやサービスの提供の仕方などから、コミュニティのあり方を共創形式で導出し、新業態のコンセプトからビジネスモデルを創出しました。

プロジェクト終了から2年、当時の思いをティップネスさまが心に留めて、今回、新たなコミュニティとして「喫茶ランドリー 宮崎台店」をフィットネスジム内にオープンされました。

アプローチ

1.事実から真の本質をつかみ、価値を生む

現在の仮説を一旦リフレームするべく、漠然と考えているお客さま層や既存ニーズに対してもう一度洗い出し・ディスカッションを行って可視化しました。その上で、改めて「自分達はどういう世界を描きたいか」「どういう人に話を聞きに行くか」など、“思考のリフレーム”を行い、調査の方向性設定やターゲットの人物像を描くことを行いました。

図1.思考のリフレーム

2.実際の暮らしぶり、行動からターゲット層の本質を探る

ターゲットとなる方の理解を深めるためには、実際の行動や話す内容から、背後の“文脈”を読み取ることが求められます。そこでエスノグラフィーをベースにした訪問調査を実施。住居に訪問して実際に生活をしている空間で話を聞き、表面上の内容をとらえるだけではなく、「この人はこう考えている/こういうことを行っている」から「なぜこの人はこう考えるのだろう」という思いについても伺いました。この調査にはティップネスさまにもご同行いただき“新たな気づきを得られるような”話を聞くことができました。

3.対象者の深い理解と共感ポイントを可視化する

訪問調査での観察・インタビュー結果(事実)を起点に、 ①対象者の理解と解釈 ②ティップネスさまの想いや提供したいコト・モノなどを導出しました。 時には延長戦と称して、「これからのティップネス社員として自分がすべきこと」「ティップネスさまを支えるオージス総研のあり方」を踏まえた共創ワークショップを実施。弊社で整理した事実データを読み込み、実際の暮らしぶり、行動からターゲット層のインサイトを導出。さらにそれらを俯瞰し、より深いインサイトを導きました。

4.自分達が提供する価値を明確にして、実現する方法を明確にする

3.で導出したインサイト(コンセプト)を軸に、「自分達はどういうことが実現できるティップネス社にしたいか」を問い続けました。この時は、若手メンバーと、アダルト(先輩)メンバーとに分かれて新たな事業にむけたコンセプトを導き出しました。 右図の⑤のような運動を軸にしたアイディアやコンセプトだけにとどまらず、①・②などの今までとは異なる“自分達が考える価値”を明文化することができました。

導出されたコンセプト(一例)

①自分らしく、あるがままに
②価値の複合
③達成感の共有
④共通の目的を持った個の集まり
⑤運動は手段

図2.新事業を行うためのリレーション図(左)と利用者視点の新サービス享受像(ペーパープロトタイプ)(右)

ポイント

企業視点からユーザー視点への変換

スタートワークから調査、ワークショップ(分析)、アイディア・コンセプト導出、施策提案に至るすべてにおいて、“ユーザー起点”でのとらえ方ができるように、オージス総研は、大阪ガス行動観察研究所が提唱する新たな価値を生む方法論「Foresight Creation」をベースに支援いたしました。その結果、企業視点からユーザー視点への変換が起こり、シニア事業にとどまることなく、新たな“コミュニティの場”の実現につながりました。

図3.Foresight Creationのコンセプト

図4.企業視点とユーザー視点(ユーザー視点がビジネスへ)

実現されたこと

私たちは、本プロジェクトを通じて、以下の新事業コンセプトとビジネスモデルを導出しました。

ティップネスコミュニティ

  • 人生の“旅”を健康に豊かにサポートする事業
  • 一人でもみんなでも熱中して取り組むことで、自己肯定しながら、楽しく前向きにあるがままに存在できるコミュニティ
  • 地域とつながる

プロジェクト終了後、“新たなティップネスの価値提供”に熱い思いを持ち続けてくださったティップネスさまは、2019年5月にティップネスは新規事業として「喫茶ランドリー」をオープンしました。“学び続ける”・・まさにForesight Creationの軸である姿勢を持ちながら、人と人との交流の場を提供し、「運動」にはとどまらない、“その場に集うすべての方々のためのティップネス”として、フィットネスクラブの新たな価値を提供しつづけておられます。

クライアントさまの声

これまで定量調査、デプス、グループインタビューを多用した弊社が、初めて取り組んだ「行動観察」を軸とした調査・検討プロセスでした。メンバーは実査にも同行し、調査レポートのみならず、インタビュイーの生の声を知る事により、調査結果・提案をより理解出来る環境を整えて戴きました。 調査結果・提案から新サービス実装まで些か時間を要しましたが、サービス設計、ビジネスモデル構築に大きな影響を与えたプロセスとなりました。

担当コンサルタント

矢島 彩子

フォーサイトプロデューサー

大阪ガス行動観察研究所 研究員,産業カウンセラー、交通心理士、博士(工学)、認知心理学、コミュニケーション工学

<得意領域>
●ビジネスエスノグラファーとしての新価値創造/新規事業開拓
●行動観察×ITスキーム開発 
●形式知/暗黙知 目的工学に基づく未来洞察
●Foresight Creationに基づく人材育成、組織構築支援

IT部門と現場部門両方の立場から、システム上流工程における顧客ニーズ獲得のための技法、顧客現場潜在要求の把握のための可視化技法の開発など、フィールドを中心としたイノベーションモデルの研究を行い、現場プロジェクトで企業におけるイノベーション活動・研究発展に従事してきました。行動観察を起点に、”こうありたい”を追求し、お客様と共に形にしていきます。

関連リンク

ティップネスさま「喫茶ランドリー 宮崎台店」

http://kissalaundry.com/miyazakidai/

『喫茶ランドリー』とは、洗濯機・乾燥機、ミシンやアイロンを備えた“まちの家事室つき喫茶店”です。普通の喫茶店と違い、時間とスペースを地域住民に開放します。この『喫茶ランドリー』を、ティップネス宮崎台の1F路面に併設することで、もともとの往来の多さを活かし、会員・非会員を問わない町の人々の交流の場を提供し、地域の健康増進へ寄与するとともに、地域におけるフィットネスクラブの新たな価値を創造していきます。