AWSに関する日本最大級のイベント「AWS Summit 2016」が2016/6/1~3に開催されました。今年は、クラウドに最適化されたシステム開発や実践的なDevOpsのセッションが増えたり、新たにIoT専門の展示ブース「IoTパビリオン」が設置されるなど新しい動きも垣間見られたりしました。本記事では著者が聴講したGeneral ConferenceおよびDeveloper Conference(共に6/2~6/3)のセッション、IoTパビリオンを中心にイベントの模様をお伝えします。
目次
- 参加の動機
- セッション紹介(6/2)
- Day2 キーノート
- クラウドとマイクロサービスによる音声操作の新時代 - Amazon Echo & Alexa
- セッション紹介(6/3)
- 【ランチセッション】IoT プロジェクトはなぜ失敗するのか
- PARCO が進める IoT とデータ活用事例
- IoT スタートアップの小さくはじめるサーバインフラ
- IoTパビリオン(6/3)
- 機械学習を活用したデータ分析プラットフォーム Impulse
- 運転監視センサーを活用した物流業者マッチングサービス
- センサーデータのAPI公開支援サービス
- 機械学習による画像解析を活用した製造現場での工程・品質管理
- IoT パビリオン全体を通じての所感
- JAWS-UG Night in AWS Summit Tokyo 2016
- 最後に
参加の動機
筆者らは、普段、IoT に関する技術開発に携わっており、顧客案件から自社製品・サービス開発やデモ開発において毎日のようにAWSを活用しています。昨年のAWS Summit Tokyoに参加し、AWSの最新動向を把握できて有益だったため、今年もAWSの最新動向や、近年盛り上がっている分野の技術・事例動向の調査のために参加しました。特に、今年から IoT パビリオンというソリューション紹介の展示ブースができたと聞き、IoT分野で市場にどのような需要があり、各社がどのようなソリューションを提供しているか把握し、普段の業務に生かすヒントを得たいと考えました。
セッション紹介(6/2)
今回参加したDay2(6/2)のセッションについて概要と所感をご紹介します。なお、全セッションの資料と動画がすでに公開済みです。本レポートで紹介していないセッションにも興味ある方は以下を参照ください。
Day2 キーノート
AWSの今までの変遷、これからのメッセージと共に、ゲストスピーカーの方からのAWSの活用事例も紹介されていました。General Conference初日でAWSの思いも知りたい(あと、何か新サービスの発表があるといいなあ…)と思っていたため、こちらのキーノートも合わせて聴講しました。
発表者
- ホスト
- 長崎 忠雄氏(アマゾン ウェブ サービス ジャパン株式会社 代表取締役社長)
- ゲスト
- 佐藤 年成氏(日本電産株式会社 常務執行役員 CIO(最高情報責任者))
- 末延 寛和氏(株式会社ゲオホールディングス 業務システム部ゼネラルマネージャー)
- 佐々木 大輔氏(freee株式会社 代表取締役)
講演動画
講演資料
http://media.amazonwebservices.com/jp/summit2016/2Keynote.pdf
概要
- クラウドを使う事が当たり前、ニューノーマルな時代に
- AWSがスタートして10年、Tokyoリージョンが開設され、今年ちょうど5周年を迎える。当初は「クラウドに移行するかどうか」が課題だったが、今は、「どのようにクラウドを効率的に活用すればいいか」というところにシフトしてきている
- 本来焦点を当てるべき所に注力できるように
- どれだけ良いアイデアや事業企画を思いついても、時間・コストなどのITの様々な制約で実現が難しかった事も、クラウドならそれらの制約に縛られず、自由にアイデアを実現出来るようになり、顧客への価値を提供するところに注力ができるようになっている
- クラウドならできる6つの自由
- 作りたいものがすぐに作れる自由
- 顧客ニーズをすぐに手に入れる自由
- 最適なデータ移行とデバイスとつながる自由
- データベースの制約から開放される自由
- 乗り換える自由
- スピードとセキュリティが両立できる自由
所感
既にクラウドに移行している企業が、もっとクラウドを効率的に活用していくためのニーズに答えるべく、Amazon EC2(X1インスタンス)、Amazon Aurora、Amazon Kinesis、AWS IoT、AWS Certificate Managerなどのサービスについてのアナウンスがされていました。 また、大量データのクラウドへの移行に対する新サービス(AWS Import/Export Snowball )が2016年中に東京でもサービスインされることや、今までよりも、セキュリティに重きを置いていることを強調し「『スピード か セキュリティ』だったものが『スピード とセキュリティ』へ」というメッセージもあり、まだクラウドへ移行していない企業へ向けた、クラウドへの移行を加速していこう、というAWSからのメッセージでもあるのかな、と感じました。
(矢田)
クラウドとマイクロサービスによる音声操作の新時代 - Amazon Echo & Alexa
このセッションではAmazon Echo と Alexa の概要と仕組みの紹介と、アプリケーションの開発方法について説明がありました。個人的に、手が離せない時にiPhoneのSiriを利用するなど、音声でのインターフェースに興味があることから、このセッションに参加しました。
スピーカ
Amit Jotwani氏(Senior Evangelist, AVS(Alexa Voice Service))
講演動画
講演資料
http://media.amazonwebservices.com/jp/summit2016/2Dev-01.pdf
概要
音声は今後重要なインターフェースに
- 現在はキーボード や、マウスから進化したタッチパネルがインターフェースとして使われているが、これらは全て物理的に接触して利用している。声ならば、物理的なモノを探すことなく、自然に何処にでも届くのでインターフェースとしてとても有用。
Amazon Echo、Alexaとは?
- Amazon Echoは、Alexaを利用するためのデバイス(Alexa familyのひとつ)
- Alexaはクラウドベースの音声サービス
Alexaのエコシステム
- サードパーティや開発者は、Alexaのskillを作成可能。
- ※skill はAlexaが利用者と対話して起動される機能。開発キット が提供されており、skillを作成することが可能。
デモ)ライブコーディングによるAlexaのskill作成
- AWSのサービス名を話しかけると、そのサービスの概要を答えてくれるskillを作成する
所感
音声での操作は便利ではあるものの、決まった(若干不自然な)フレーズで話す必要があり、もう少し自分好みに操作が作れるといいのになあ…と思う事もちょくちょくありました。今回、Alexaでは、簡単なskillを自分で作れたり、他の人が既に作っているskillを利用したりすることも可能な点に (英語という壁が立ちはだかってはいるものの)凄く興味がわきました。 早く日本でもEchoが発売されないかなぁ(ついでに日本語対応して)…と思っていたりします。なお、日本国内ではEchoは利用できないものの、https://echosim.io を利用すれば、Alexaを気軽に試すことができるので、興味のある方はそちらもどうぞ!
(矢田)
セッション紹介(6/3)
【ランチセッション】IoT プロジェクトはなぜ失敗するのか
本セッションでは、企業のマーケティングやIoTに関する取り組みを支援されているウフル社が過去の失敗事例を赤裸々に振り返り、IoTプロジェクトが失敗する理由、ウフル社が実践している成功に向けた取り組みについて紹介しています。筆者は普段、IoT に関する製品・サービス開発に関わるなか、主に製造業のお客様のIoT に関する PoC(事業やシステムに関するアイデアをプロトタイプで検証すること)をよく行っています。その中で、PoCは順調に進んでも実サービスの事業化目処が立たたないという事例をよく目にしてきました。おそらく世の中のPoC案件で、実際に事業化まで至った事例はかなり少ないと思われます。ウフル社自身は、この状況にどう対処しているのか興味を持ち、セッションを聴講しました。
スピーカ
竹之下 航洋氏(株式会社ウフル IoTイノベーションセンターマネージャ)
講演動画
講演資料
http://media.amazonwebservices.com/jp/summit2016/3Dev-I01.pdf
概要
- IoTプロジェクトの難しさ
- 技術的側面
- あらゆる技術領域(デバイスからクラウドまで)とフェーズ(企画から運用保守まで)にまたがっており、これら全てに長けたプレイヤーが存在しない。
- ビジネス的側面
- データ収集した後のビジネスモデルが描けない
- 新規事業の内容によっては既存事業を破壊しかねない
- 未経験のドメインに挑戦する必要がある
- 失敗例
- PoC の費用見積もりがかさんでプロジェクトがスタートしない
- 自社の不得意なところまでやって炎上する
- 実サービスのビジネスモデルが描けず、PoCで終わる
- サービスインしても実際には売れない
- 技術的側面
- ウフルの取り組み
- パターン化
- IoTシステムに必要な構成要素をパターン化し、すぐプロトタイプとして使えるようにする
- enebular:GUIで簡単にデータ連携システムを開発できるツールを提供
- プロジェクト体制
- PoCと商用化開発は性質が大きく異なるため、それぞれ適切な契約形態を取る
- 実開発前後の重要なプロセスを支援する
- PoC開始前
- ビジネスコンサル(コンサル会社の人材が多く移籍)
- PoC開始後
- マーケティング施策・クリエイティブ作成支援
- 科学的な検証を行うデータサイエンティストが在籍
- IoTイノベーションセンターが全体のコーディネートを行う
- 経営者への意志決定支援、パートナーシップの支援
- パターン化
所感
竹之下氏の講演にあるとおり、PoCおよび実サービス開発がうまくいかない理由は技術面だけでなくビジネス面に多くあるので、ビジネス面を支援するサービスを体系化している点には感銘を受けました。ウフル社は、現時点で、国内では最も迅速に IoT 向けの事業開発向けの人材を確保し、事業開発の支援を体系だって実施している企業ではないかと感想を抱きました。私自身は主に開発者としてPoC支援に関わることが多いですが、社内の他部署と連携して顧客の事業開発を支援したいと考えました。
(大西)
PARCO が進める IoT とデータ活用事例
実店舗での画像認識カメラや各種センサーを用いたIoTの事例が紹介されていました。実店舗でどのようにIoTを利用したのかに興味があり、このセッションに参加しました。
スピーカ
林 直孝氏(株式会社パルコ 執行役 WEB/マーケティング部、メディアコミュニケーション部担当)
講演動画
2016/6/15 時点で未公開
講演資料
http://media.amazonwebservices.com/jp/summit2016/3Dev-I02.pdf
概要
- Webサイトはログ解析して、次に生かすことができる。しかしリアル店舗の可視化できるツールはまだない。
- そこで仮説を元にして実測し、その実測を次(未来)に生かす。
- 実測をするためにIoTを使う
- 今回実測してみたのは以下の2つ
- 来場者の属性管理 → 客層の分析、可視化
- クラウド(AWS)・モバイル回線(SORACOM)・画像センシング技術を利用して、今まで出来なかったことができるようになった
- 気温、降雨データの取得 → 天候による売り上げの分析に生かす
- クラウド(AWS)、モバイル回線(SORACOM)、安価なセンサーを利用して、リアルタイムに把握することができ、データ分析の範囲も広がった
- 来場者の属性管理 → 客層の分析、可視化
所感
リアルな人の流れを実測・可視化・分析し、次に生かすのにIoTがうまく使われている事例だなと感じました。 しかし、来場者の属性管理の説明時にお話しがありましたが、カメラに撮られると顧客はいい気がしないケースが多い事と、画像そのものがセンシティブな情報にもなり得るとのことで、その点はかなり気をつかっている様子でした。 今回は、カメラは顧客から見えにくい位置に設置、画像情報についてはサーバーに送信する前に切り捨てて、カメラの制御アプリで年代・性別を把握した結果だけを、サーバーにアップする形を取っているそうです。 そういった個人情報保護の観点からもこの事例紹介は興味深く見ることが出来ました。 ちなみに、余談ですが以前、この事例で利用したセンサー一式で自分の顔を認識させる機会がありました。その時、何故か女性である私が「20代、男性」と認識されていました…
(矢田)
IoT スタートアップの小さくはじめるサーバインフラ
IoTスタートアップでの知見や、サーバーインフラとサービスの開発におけるポイントについて紹介されていました。IoTスタートアップとWeb系スタートアップと大きく違う点やIoTならではの点はどういうところか、違う視点から見た世界を知りたくて参加してみました。
スピーカ
- 高橋 一貴氏(株式会社チカク シニアエンジニアリングマネージャー)
講演動画
講演資料
2016/6/15 時点で未公開
概要
- IoTスタートアップで得られた知見が紹介されていました。
- チカクの紹介
- 「まごちゃんねる( https://www.mago-ch.com/ ) 」 というスマホで撮った子どもの動画と写真を、そのまま実家のテレビへ送ることが出来るプロダクトを作成しているIoTのスタートアップ企業
- ハードウェアが絡むと、とても大変(ハード怖い)
- ハードは量産完了まで半年以上。ソフトと感覚が違う。
- 考える領域も多岐にわたる。
- 技適、電気通信事業者、PSE、PL保険、HDMIコンソーシアムなどなど。
- 製品の保証や、故障時の対応、代替機の対応なども…
- 在庫の恐怖。さらに在庫を保管するために、床の耐荷重なども考える必要が…
- 売上げより先にでていくお金がWeb系サービスに比べて膨大。
- IoTスタートアップに足りないもの
- 人、時間、お金
- とにかく極端に足らない
- 「ちょうどぴったり」がキーワード
- インフラ、サービス設計、システム設計、実装、意思決定のタイミングと量を 「ちょうどぴったり」で考えるのが一番重要と考える。
- 目の前のものにフォーカスしてやっていく
- 先読みは難しい…
所感
実際のモノがあるだけに、ソフトウェアのスタートアップ企業とは違う部分も色々あるのだろうなあ、ということは何となく想像はついていたのですが、大変さが想像以上でした。 また、そのときそのときに合わせて「ちょうどぴったり」なものを選んでいくという考え方がすごくシックリきました。(この考え方、これから生かしていきたいです…)
(矢田)
IoTパビリオン(6/3)
今年のAWS Summit Tokyoの新しい取り組みとして、「IoTパビリオン」と題して、AWS IoTを含むAWSのサービスを活用して実現したIoT関係の製品・サービスの展示ブースが設置されました。筆者は普段、自社のIoT向け製品・サービス開発に関わる中、製造業のお客様向けにデモシステムを開発して要望をヒアリングするなどの業務を行っています。市場にどういうニーズがあり、自分がどういうサービスを提供できるかヒントを得たいと考えて本ブースに立ち寄りました。ここでは筆者が聴講したブースの内容をご紹介します。
機械学習を活用したデータ分析プラットフォーム Impulse
本ブースは、IoTパビリオン内で唯一機械学習プラットフォームの展示です。特に製造業では、設備にセンサーをつけて稼動状況のデータを吸い上げ、機械学習でデータを分析し、異常検知・故障予兆に利用するというニーズは昔からあり、各社、同様の取り組みを行っています。私自身も製造業のお客様向けにIoT向けのサービスを開発しており、機械学習を取り入れられないか検討のため出展を見学しました。
出展者
- ブレインズテクノロジー株式会社
出展概要
- Impulseの特徴
- センサーデータを含む様々なデータの蓄積
- ダッシュボードを使ったデータの可視化(リアルタイム分析・アドホック分析)・・・いわゆるBI
- 各種、機械学習アルゴリズムを適用した異常検出に対応
- メールやチャットサービスへの通知
- AWSとオンプレミスに対応
- パブリックなSaaSではなく顧客専用にシステムを構築する
- データ蓄積・分析・可視化するところまではすでにソフトウェアスタックを組んでおり、顧客ごとにカスタマイズして提供する。
- 通常、顧客に対して分析の目的のヒアリングから入り、プロトタイプでのPoCなどを実施して、仮設・検証を繰り返し、分析システムを徐々に構築していく。
参考URL
所感
すでにデータ分析から可視化を行うためのスタックを作ってあり、顧客ごとの要望に応じて既存のスタックをカスタマイズして提供することで、フルスタックより低コストかつ定期間にPoCが実施できる点はすばらしいと思いました。異常検知のアルゴリズムはかなり確立された分野で、データの特性を見てセンサーデータからいつもと異なるパターンを抽出することは可能とのこと。ただし、実際に成果が得られるまでには試行錯誤が必要であり、ノウハウが必要とのこと。機械学習は需要があり、今後、各種サービスが整備され、データさえあれば誰でも取り組める世の中になると考えられますが、成果を出すには使いこなす側の知識・スキル・ノウハウ(データの特性の把握、適切なアルゴリズムの適用、並列分散処理など)が必要であり、人材確保や育成が鍵になりそうです。
(大西)
運転監視センサーを活用した物流業者マッチングサービス
本セッションは、センサーで物流業者の安全運転度合を評価し、その結果を物流業者のマッチングに利用しているという事例です。センサーで安全運転度合を評価するサービスは星の数ほどありますが、実際に事業者に活用されている事例は少ないため、活用内容を把握するため参加しました。
出展者
- オプテックス社
- 日本宅配事業推進協会
出展概要
- オプテックス社はセンサーデバイスなどを開発している企業。
- OBD(On-board diagnostics)を使わず、車内に固定型の加速度センサーで運転状況を監視するデバイスを適用。
- Bluetooth、スマホアプリでデータを吸い上げ。
- 安全運転度合の評価に活用。
- 評価結果は、日本宅配事業推進協会が運営する物流業者のマッチングサービスに活用されている。
- 例えば協会が荷物運搬業者の紹介を依頼された場合に、評価の高い業者を推薦するなど。
参考URL
所感
安全運転を評価するセンサーやアプリ自体に大きな特徴があるわけではなく、サービスと事業者間のパートナーシップをうまく組めた点、データを利活用するために業務プロセスや支援システムをうまく構築できているなど、ビジネス面がうまく機能している点がポイントだと思いました。
(大西)
センサーデータのAPI公開支援サービス
出展者は元々、環境計測を行っている企業で、センサーデバイスの選定や計測にノウハウがあるそうです。もともとのビジネスを拡張して、センサーデバイスのリースや計測したデータをWeb APIとして公開するまでのサービスを展開するようになったそうです。例えば、物流業者が業務用車にセンサーを設置して、稼動状況を把握する業務システムを構築して、業務を効率化したいといった事例が増えています。データを収集したいが、機器やAPIの管理は自社ではできない企業にとって有益なサービスだと思いました。ニーズのある分野であり、ビジネスのヒントが得られないかと思い、聴講しました。
出展者
- エコモット社
出展概要
- エコモット社は、元々は環境計測などを行っていた企業。
- センサーデバイスの選定、計測のノウハウを持っている。
- 自社でセンサーデバイスの製造はやっていないので、顧客とデバイスメーカとの間に入って調整するなど。
- センサーで収集したデータと業務システムとの連携サービス
- (例)運送業の業務用車の稼動管理
- 自動車にセンサーを仕込んで稼動状況を吸い上げ、データをAPIとして公開
- 業務用車の稼動管理を行う既存のグループウェア mitoco(テラスカイ社)と連携させる。
- グループウェア上には、スケジュール(配送時間など)など業務データが登録されている。
- 実際に計測した位置情報などでどこを走っているか把握できる。
- センサーデバイスの選定やリースなど一通りの面倒を見る。
- 業務システムの一部としてセンサーデバイスからのデータ吸い上げをやりたいけど、デバイスの管理をやりたくないという企業にとって非常にうれしいサービス。
所感
今後、センサーによって収集したデータと業務システムを連動させ、業務の効率化を図る動きは活発化すると予想されます。その動きを察知し、環境計測からセンサーデータ収集~API公開のサービスに進出する動きは先見性があり、すばらしいと思います。また、センサーデータをAPIに公開するところまでに徹しており、業務システムとの連携部分や既存のグループウェアにゆだねている点も潔いと思います。変化の早い世の中では、自分の強みを見定めて、集中し、自分の不得意なところはパートナーに補ってもらう方法は、効率的かつ効果的であると思います。私もこういうやり方を業務でやれないか考えてみようと思いました。
(大西)
機械学習による画像解析を活用した製造現場での工程・品質管理
製造現場において、製造工程を撮影した画像に対して画像解析をかけることで、品質管理の見える化、品質チェックの自動化を行うという事例です。画像解析を利用した品質管理は製造業における機械学習の応用分野でよく見聞きする分野であり、興味があったので、参加しました。
出展者
- 日本電産
- ソラコム社
出展概要
- 製造現場で設備のサーモグラフィのデータを取得、SORACOM Air経由でAWSにデータを蓄積・分析する。
- 生産現場の見える化
- 将来的な構想
- 異常を検出したら工場の担当者にフィードバックを返す(パトランプを点灯させるなど)
- クラウドとPLCと連動させ、分析結果を元に制御設備へ制御信号を送る。
参考URL
所感
大量生産を行っている製造現場では、正常と異常の両方の場合のデータを蓄積しやすく、教師あり学習を適用しやすい分野であると思います。今後の展開も注目したいと思います。
(大西)
IoT パビリオン全体を通じての所感
展示内容は、データ分析プラットフォームから、製造の品質管理、資産管理(業務用者の稼動管理など)、物流業者のマッチングサービスなどなど、産業分野が多岐に渡っていました。キーノートでGEの事例紹介があったように、IoT が産業界に浸透し始めており、産業界のディジタル化が行われているのが現状だと思います。本パビリオンは、クラウドの展示会というより、産業界の経営・マネジメント層に対して日々の業務をいかにディジタル化して、効率化するかについてのヒントを与えるような内容でした。
もう1点印象に残ったのは、なんでもやりますとアピールする企業が少なく、各社とも自社の得意分野に特化し、それ以外の箇所は必要に応じて、パートナーと連携することで限られたリソースの中で自社サービスの付加価値を向上しようとしている点でした。AWSを中心にエコシステムが形成され、アマゾン社のパートナープログラムによって自社のほしいソリューションを持つパートナーを見つけやすくなっていることが要因と考えられます。今後は、自社で何でもそろえるのではなく、エコシステムの中で自社が何を提供すべきか?何を得ると自社の付加価値が向上できるのかを考える時代になっていると感じました。
(大西)
JAWS-UG Night in AWS Summit Tokyo 2016
AWS のユーザーグループ会、 JAWS-UG が主宰したナイトイベントです。
ドリンク・スナックを片手に、LTや全員参加型 AWS ウルトラクイズ(優勝者はRe:Inventへのご招待)が実施されました。
私自身は、いつもJAWS-UGのイベントでお会いしている方や、初めましての方との交流の場として楽しませていただきました。
(え??ウルトラクイズ?結果はお察しください……)
(矢田)
最後に
昨年に引き続き2回目の参加でしたが、Developer Conferenceでは、会場に入るだけでも行列が出来ていたり、セッション中も、座席が足りないばかりか、立ち見が多すぎて後方からではプレゼン資料が殆ど見えない(!)セッションもあったりと、去年以上の盛況ぶりでした。
それだけクラウドサービスに関心を持ち、参加している人が増えていて、身をもってクラウドの普及スピードの速さを体感することができた…とも言えるかも知れません。
(「来年はもっと大きい会場で実施したい」との話もあるとか…)
また、Web上でも情報を得ることは可能ですが、やはり実際に自分の身をもって場の雰囲気を体感したり、直接スピーカに話を聞いたり質問できたりする機会は貴重だと思います。今年参加出来なかった方も是非来年は足を運んでみてください。
ちなみに、東京まで行くのはハードルが高い…という方もAWS Cloud Roadshow 2016というイベントが7月以降、各地(今年は仙台、金沢、広島、名古屋、福岡、札幌、大阪の7都市)で開催されますので、可能であればお近くの会場に足を運んでみてはいかがでしょうか?
(矢田)
昨年に引き続き2回目です。今年はIoT関係のセッションや展示を中心に回りました。ソラコムでモバイル通信が、AWSでクラウド上の大規模なデータ処理が簡単に利用できるようになりました。PoCをやるため環境は年々整備されています。今後も、社内やお客様が持っているアイデアを素早く検証する方法を確立していきたいと思いました。一方で、ウフル社のセッションにおいて紹介されたように、ビジネス面の理由で、IoTにおけるPoC以後がうまくいかない状況は多くあります。この問題は一人、一社でなかなか太刀打ちできるものではないと思います。AWS Summit のような場で事例紹介を聴講したり、パートナー同士の交流の場で情報収集したり、日々の業務に生かしていきたいと思いました。
(大西)