[UMLとオブジェクト指向分析・設計が開発リスクを軽減する]
開発環境について
最後に今まで述べてきたようなことを実現するための開発環境について少しだけ触れたいと思います.
まず,実装時の言語の問題ですが,最近は組み込み系のチップ向けのC++コンパイラ等も増えてきており効率やサイズ等の問題が解決されれば十分使用可能なレベルに向かっているといえます.
次にRTOSの問題があります.一般のRTOSを使用する場合,オブジェクトの生成や削除などで発生するメモリのアロケーション管理などがサポートされている必要があります.これについても,VxWorksや一部のμITRON環境などではすでにサポートされており,実際の開発現場でも使われ始めています.今後,環境の標準化とクラスライブラリの充実などが進めば,さらに使いやすい環境になっていくでしょう.
最後に
冒頭でも触れたように,組み込みシステムに対するオブジェクト指向開発はまだまだ進んでいないのが現状です.本稿を読むことで,組み込みシステムに携わるエンジニア方々のオブジェクト指向に対する疑問や敷居の高さを少しでも取り除くことができたなら幸いです.
■羽生田栄一
オージス総研オブジェクト第一事業部開発技術コンサルティング室室長.オブジェクト指向開発技法,モデリング技術の研究開発とそれらをベースにしたコンサルティングを行っている.近年は,UML,デザインパターン,ソフトウェアアーキテクチャ等の普及に努めている.
■渡辺博之
主に通信機器のファームウェアや通信アプリケーションの開発に携わっていたが,Windows
3.0の頃からオブジェクト指向に傾倒し始め,96年オージス総研に入社.最近は,開発コンサルティングの傍ら「オブジェクト」と「組み込み」の2語にどっぷりはまった毎日を送っている.
★注1…『オブジェクト指向における再利用のためのデザインパターン』(Erich Gamma,Richard Helm,Ralph Johnson,John Vlissides 著/本位田真一,吉田和樹 監訳/ソフトバンク)
★注2…『REAL-TIME
UML』(Bruce Powel Douglass 著/Addison-Wesley)
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