[実世界をそのまま表現するモデルとは]
1.はじめに
前回のコラム「奇妙なクラスと実世界」では、分析段階のオブジェクト指向モデルに登場するクラスが、必ずしも実世界の実体・概念をそのまま表現するわけではないことについて述べました。
しかしこれはあくまでオブジェクトの持つ振る舞いという動的な側面に限った話です。属性や関連といったオブジェクトの構造を表現する静的な側面については、分析段階では実世界の実体・概念に一致させておく必要があります。
ところが実際にこの静的な側面について、実世界をそのまま表現するモデルを作ろうとすると、判断に迷う場面も多いものです。「オブジェクトモデルが作る人によって変わる」と言われる原因のひとつは、こんなところにあるようにも思えます。
以降では、「実世界をそのまま表現するモデルとは何か?」ということについて、いくつかの簡単な事例を検討しながら考察をしてみたいと思います。
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